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→♂♀←_no.4_2010:獣の奏者_完結編

2010-09-04 23:26:51 | 今月のお薦め_XX.20XX
獣の奏者_完結編
上橋 菜穂子 講談社

完結編のあとがきでも書いてあったがシリーズ全体の完成度が下がることになろうとも、
王獣編の続きを読みたい多くの人々のためを含め、作者自身による新しい解釈・再構成の可能性を
見出されたことも合わさり、書かれたであろう、探求編と完結編。

完結編の印象は「続きを作る」という作業の必然性として、幾多の想定できる物語の結末の内で
作者が選ぶ終着駅が作品テーマにおける集中と選択を実施させてしまった、である。
はっきり言ってしまえば、シリーズ全体の規模縮小を観察した気分である。
世界観縮小の証拠として顕著なのはエリン達が住む世界における自然現象、原理原則の
特定・限定が発生している点などがある。

だからといって、物語がつまらなかったといっているわけではない。
楽しく、熱く、読ませていただいた。作者に感謝である。

韓流ドラマ「チャングムの誓い」が好きな私にとって、エリンとチャングムという2つのキャラクターは大変、ダブる。
二人のような「独力」力の優れたキャラを長いスパンで描くと、兎角、複数の人格・人物が入った
超人になりがちであるが両作品におけるエリンとチャングムは1人の人間で
出来得る範囲を超えない(といっても、現実には存在し難いだろう)様に
きちんと抑えられているので作品がご都合主義にならない。

それでも、エリンより特殊だったのはリランちゃんであったと、完結編を読み終えて改めて思うのであった。
エリンの好奇心より、リランのエリンに対する気持ち(に含まれる人への好奇心)あっての展開だったと強く感じる。

作者の選んだ終着駅が何であれ(完結編がどう締めくくられようが)、王獣編でリランちゃんが再び、
その瞳を輝かせた事象が獣を、奏者を、読み進める私の救いなっている。

王獣に対して、気持ちという表現を使ってよいものか、私も分からないが
エリン同様、リランの気持ちが知りたい。

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