日本全史、とあるが、古代、中世についての記述は比較的少なめ。
(古代中国の歴史書での日本についての記述も限られちゃうしね。)
中国と日本の双方の歴史の絡まり方を論じる者としては近代現代編が見ものだろう。
また、時系列的に古代から現代へ、と時代の順番を追うよりは、
ある一定のテーマについて、前後関係・時代に伴った推移を追うかたちなので、
時代が行ったり来たりして若干混乱したりもする。
ま、総じて興味深かい本だった。
しかし、歴史家の中性的な立場というよりは著者自身のイデオロギーを踏まえつつの解釈となっている部分もあって、いかにも大学の先生が書いた本らしいなぁ、と思った。
中国の「皇帝」
日本の「天皇」
欧州の「Emperor」は、もともと別概念で、イコールで結べるような訳語ではない。
諸侯の中の王、天命を帯びし王、神の子孫・・意味が違う。
その説明はなるほどな、と思った。