〇 ますます活用範囲が広がるチャットボット。
多くの企業で導入が進む「チャット・チャットボット」。その効果的な活用領域の1つとして注目されているのが、顧客や社内からの問い合わせに対応するコンタクトセンター/ヘルプデスクである。
スマートデバイスを毎日扱う現在の人々にとって、情報検索や問い合わせなどをテキストベースで行うことは当たり前の行為になっている。「電話よりメール」「メールよりスピード感のあるチャット」。このような発想から、チャットでの問い合わせを好む人は増えている。さらに最近は「有人よりボットの方が気兼ねしなくてよい」という声も聞こえるようになってきた。こうしたニーズに応えるため、多くの企業がコンタクトセンター/ヘルプデスクへのチャットボット導入を進めている。これにより、質の高い顧客体験(CX)/従業員体験(EX)を提供しようとしているのである。
一方、そこで問題になるのが運用側の負荷だ。顧客/社員とのオンラインの接点はチャットボットだけではない。例えば、よくある質問をまとめた「FAQページ」を設置することで、利用者に自己解決を促している企業は多いだろう。
ここにチャットボットが加わると、回答内容などのコンテンツの作成・追加やシステムのメンテナンス作業がFAQページと二重に発生することになる。そもそも、企業がFAQページやチャットボットを導入する大きな理由の1つが、担当者の負担軽減にあることは周知の通りだ。問い合わせが殺到し、現場のリソース不足やCX/EX低下を招かないようにと導入したチャットボットが、かえって現場の負担増につながる。これでは本末転倒だ。
このジレンマを解消し、持続的なCX/EX向上を実現するにはどうすればよいのか。具体的な方法について考えてみよう。
運用不可のジレンマを解消し、CX/EXを高める方法は。
前ページで紹介した運用負荷のジレンマを解消し、高品質なCX/EX実現を可能にするチャットボット製品が「ChatPlus」だ。2022年7月時点の累計導入実績は1万6000社と、国内トップクラスを誇る。多くのユーザーの声を取り込みながら、日々進化を続けているソリューションである。
「ChatPlusの最大の特長は、特定のユースケースに当てはめるのではなく、お客様のニーズにあわせた柔軟な使い方が実現できる点にあります。『チャットボットによる自動応答』『有人のみ』『有人+ボット』『分析機能あり』『AIとの組み合わせ』などの多彩なプランから選択できるほか、お客様独自のカスタマイズも承ります」とチャットプラスの三浦 東平氏は紹介する(図1)。
また、チャットボットの効果を引き出す上で、注力すべきなのが運用フェーズだ。継続的なメンテナンスによってボットの回答内容などを最適化する。この点についても、チャットプラスの経験豊富な担当者が伴走しながら、カスタマーサクセスに向けた支援を行うという。
「チャットボットを組織に定着させるには、お客様ごとの使い方や課題を見える化し、設定変更やトライアル&エラーを繰り返す必要があります。この点について当社では、多くのお客様との取り組みで蓄積したノウハウを基に、お客様をサポートすることが可能です」(三浦氏)
加えて、その過程で聞き取った顧客の要望は随時、ChatPlusの機能にも反映していく。顧客とのコミュニケーションを通じて進化し続けるチャットボット、それがChatPlusなのである。
チャットボットとFAQページのデータを一元化。
多彩な機能の1つとして新たにリリースされたのが、「FAQオプション」である。これが、冒頭で紹介したジレンマを解消するカギになる。
「ChatPlusのボットの回答内容や設定は、すべてChatPlusのデータベースに保存されています。FAQオプションを利用すれば、このChatPlus内部のデータと外部のFAQページのシステムが利用するデータを一元化できます。これにより、ChatPlus側で追加・更新した内容を、FAQページにも同時反映することが可能です」(三浦氏)
手順は、チャットボットに新たなコンテンツを登録したのち「FAQを作成」というボタンをクリックするだけ。これだけで、コンテンツがFAQページにも追加される。
新しいコンテンツをチャットボットに追加したものの、FAQ側には同様のコンテンツが存在しないという状況は往々にして起こりがちだ。これではチャネルごとの問い合わせ対応品質に偏りが出てしまうが、FAQオプションを使えばそのような事態は防げる。コンテンツをFAQページ向けにリッチにしたい場合などは、FAQページのデータを追加更新すればよい。その際も回答内容の整合性を取りながら進めることができるだろう。このオプションも、ある顧客とのプロジェクトで出た要望を基に作成し汎用化したものだ。
「『FAQページとチャットボット、どちらか片方あればよいのでは』と考える人もいるでしょう。しかし実際は、利用者層が異なるため、両方あったほうがよいのです」と三浦氏は付け加える。FAQページは、質問したいことが明確なユーザーに適している。一方のチャットボットは、もう少し漠然とした悩みにも柔軟に対応できる窓口となる。確かに、より高いCX/EXを目指すなら両方あるのが望ましいだろう。FAQオプションは、ChatPlusのAIライト以上のプランで追加可能だ。
類語登録が不要な新しい形式のチャットボットも選択可能に。
ほかにもChatPlusは、ユーザーや管理者のメリットを生む様々な機能強化を随時行っている。
2022年7月からサービス提供を開始した「AIライトプラン」では、ユーザーの入力途中に、知りたいことの候補を自動で表示する「サジェスト機能」や、Q&Aの登録後にワンクリックで想定類義語が提案される「自動キーワード機能」、固有名詞などの独自の言い回しを一元管理できる「辞書機能」が追加された。「チャットボットの設定にかかる手間を減らしながら、問い合わせに対し適切にナビゲートできます。上限なくQ&Aを登録できることから網羅的な問い合わせに対応できる」と三浦氏は説明する。
またAI機能もアップデートしている。ChatPlusは、バックグラウンドでAIが稼働するプランを複数用意しているが、2022年4月から、そのAIエンジンを選択可能にした。具体的には、かねて提供してきた「IBM Watson」に加え、「Sōseki(そうせき)」というAIエンジンを選べるプラン、「オートAIプラン」を用意したのである。
「市場でも新しいAIエンジンであるSōsekiは、一般的なAIモデルと異なり、類義語登録や教師データを用いた事前学習が不要です。この強みを生かし、FAQを登録するだけで、様々な言い回しに対応した回答を実現できるようにしました」と三浦氏は述べる。
FAQオプションをはじめ、多彩な機能・オプションを備えるChatPlusは、活用ニーズが高まるチャットボット市場で強力な存在感を放つソリューションといえる。ユーザーの声を吸い上げながら、その進化はこれからも続いていく。チャットボット導入を考える企業は、ぜひ一度検討してみることをお勧めしたい。