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○ 用途によっては低価格製品でも十分、タブレットの選び方。

今回はタブレットの選び方を解説する。電子書籍の閲読や動画の視聴がメインであれば低価格製品でも十分だ。

パソコンはオフィスアプリのほか、画像や動画の編集アプリでコンテンツを作り出すことが主な用途だ。一方、タブレットは電子書籍を読んだり動画を視聴したりといったコンテンツ利用が主目的となる。タブレットは、パソコンより手軽に使え、スマホよりも大画面でコンテンツを見やすいことが大きな魅力だ(図1)。

タブレットのメリット
Θ タブレットのメリット。
図1、タブレットのメリットは上の通り。バッテリー駆動時間が長く、スリープからの復帰が速く、使いたいときにさっと使える手軽さなどが魅力だ。

現在販売されているタブレットは主に、アップルのiPadOSを搭載した「iPad」、グーグルのAndroidを搭載したAndroidタブレット、アマゾン・ドット・コムのFire OSを搭載した「Fireタブレット」、マイクロソフトのWindows 11を搭載した「Surface」の4種類だ(図2)。このうち、Surfaceはタブレットというよりはタブレットのように使えるパソコンで、ほかの3機種とは少し趣きが異なる。また、グーグルのChrome OSを搭載したタブレットも販売されているが、これもどちらかというとパソコン寄りの製品だ。パソコンより手軽に使えるタブレットが欲しい場合は、iPad、Androidタブレット、Fireタブレットの3機種が実質的な選択肢となる。

タブレットOSの種類と違い
Θ タブレットOSの種類と違い。
図2、タブレットは主に上の4種類に分けられる。マイクロソフトの「Surface」はパソコン用OS「Windows 11」を搭載している点がほかと異なる。このほか、グーグルのパソコン向けOS「Chrome」を搭載するタブレットなどもある。

パソコンと同様に、OSが違えば使えるアプリが異なる。そうした面でiPhoneユーザーはほぼ同じiOSアプリが使えるiPadが、AndroidスマホユーザーにはAndroid用アプリが使えるAndroidタブレットがお薦めだ。FireタブレットのFire OSはAndroidベースだが独自のカスタマイズが施されており、Google Playで提供されるAndroidアプリは原則使えない。

※全てのスマホ用アプリがタブレットで使えるわけではない。

タブレット選びの基本。

まずは、全種類に共通したタブレット選びの基本から解説していこう。

最も重要なのは画面(ディスプレイ)サイズの選択だ。用途により画面のサイズで使い勝手が大きく変わるからだ。現行のタブレットの画面サイズは、主に8型以下、10~11型、12型以上の3種類。主な用途とそれぞれのサイズの適応性は図3の通りだ。解像度は画面サイズで判断する。8型以下であれば1280×800ドットで十分だが、10型以上になるとフルHD以上が望ましい(図4)。

サイズは用途で選ぶ
Θ サイズは用途で選ぶ。
図3、タブレットのサイズと主要用途の適応具合について表にまとめた。◎〇△×の記号は用途に対する便利さを順に示す。
 
解像度の選び方
Θ 解像度の選び方。
図4、解像度が高いほど表示が精細になり、文字なども見やすくなる。選択の目安は上の通りだ。

通信機能も重要だ。Wi-Fiにのみ対応する機種と、さらにLTE通信にも対応する機種がある。LTE通信対応であれば格安SIMなどを使って、どこででもデータ通信が可能になるが、本体価格が若干高くなり、月々の維持費もかかる。Wi-FiモデルとLTEモデルのメリットおよびデメリットを図5にまとめたので、それを参考に自分に必要か判断しよう。

通信機能の選び方
Θ 通信機能の選び方。
図5、タブレットはWi-Fiのみに対応したものと、Wi-Fiに加えLTE通信も可能なものがある。外出先での利用が主という人はLTE対応モデルが便利だ。

iPadは高性能、高機能。

タブレットで人気があるのは、アップルのiPadシリーズだ(図6)。クリエイター向けの「iPad Pro」を筆頭に、高性能モデルの「iPad Air」、買いやすさ重視の「iPad」、携帯性重視の「iPad mini」が用意されている。

人気のiPadは充実のラインアップ
Θ 人気のiPadは充実のラインアップ
図6、人気のiPadは、クリエイター向けのProシリーズから持ち運びやすいminiシリーズまで、幅広いニーズに対応する充実したラインアップを誇る。表には掲載していないが、Lightning端子を装備する第9世代iPad(直販価格:4万9800円~)もある。

全ての機種で生体認証やWi-Fi 6以上をサポートするなど、高機能で使い勝手が良い点が魅力。表には記載していないが、全機種でLTE対応モデルも用意されている。キーボードなどのオプションも充実し、Apple Pencil(第2世代または第1世代)による手書き入力もサポートしている。数あるペン入力デバイスの中でもiPadの手書き入力機能は秀逸だ。手書き機能だけでもiPadを選択する価値は十分にある。

あらゆる用途に快適に使えるタブレットが欲しい人はまずiPadに注目してみよう。ただし、ほかのタブレットに比べて高価な点が悩ましい。

製品数が多いAndroidタブレット。

Androidスマホユーザーで機能が充実したタブレットが欲しい場合はAndroidタブレットに注目しよう(図7)。Android OSの開発元であるグーグルの「Google Pixel Tablet」のほか、多数のメーカーから発売されている。高性能、高機能な高価格帯製品から機能を絞った低価格モデルまで、まさに多種多様。その中から自分のニーズに合ったものを選べる。

Androidタブレットは多数のメーカーが発売
Θ Androidタブレットは多数のメーカーが発売。
図7、Androidタブレットは、Android OSの開発元であるグーグルのほか、多数のメーカーから製品が発売されている。高価な高性能モデルから低価格モデルまで、多種多様な製品が選べる。

製品数が多くて選べないという人は。NECパーソナルコンピュータの「LAVIE Tab」シリーズに注目だ。NECは、長年コンスタントに新製品を発売しているなど、Androidタブレットに力を入れている。また、製品の品質とサポートにも定評がある。中国メーカー製と比べると価格は少々高めだが、長期間安心して使いたいという人にお薦めだ。

現行製品の中では、充実した性能と機能を持つ11.5型の「LAVIE Tab T11」がコストパフォーマンスが高い(図8図9)。オプション類が充実している点もポイントだ(図10)。

NECのLAVIE Tabシリーズが充実
Θ NECのLAVIE Tabシリーズが充実。
図8、NECのAndroidタブレットは魅力的な製品が多い。本機は、性能と使い勝手に加え、コストパフォーマンスも高い。
 
図9 11.5型(2000×1200ドット)のIPS液晶パネルは発色が良い上、視野角も広く高品質だ
図9、11.5型(2000×1200ドット)のIPS液晶パネルは発色が良い上、視野角も広く高品質だ。
 
図10 オプションでスタンドカバー付きキーボードも用意されており、これを使用すればパソコンのように使える。また、オプションの専用ペンなら手書き入力も快適。手書き対応メモアプリなどもプリインストールされている
図10、オプションでスタンドカバー付きキーボードも用意されており、これを使用すればパソコンのように使える。また、オプションの専用ペンなら手書き入力も快適。手書き対応メモアプリなどもプリインストールされている。

価格重視ならFireタブレット。

電子書籍やビデオが楽しめればよいという人にはFireタブレットが有力な選択肢だ(図11)。基本的にはKindleや「Prime Video」などのアマゾン・ドット・コムのサービスを利用するためのデバイスだが、アマゾンのサイトから各種アプリをインストールすれば、Androidタブレットのように幅広い用途で活用できる。

電子書籍が主目的ならFireタブレット
Θ 電子書籍が主目的ならFireタブレット。
図11、アマゾン・ドット・コムのFireタブレットは、ほとんどの機種が2万3000円以下と低価格ながら、電子書籍や各種動画配信サービスの動画を楽しむには十分な性能を有している。趣味にタブレットを活用したい人は要注目だ。

現在、Fireタブレットは、11型の「Fire Max 11」、10.1型の「Fire HD 10」、8型の「Fire HD 8」、7型の「Fire 7」など6種類の製品が販売中だ(図12)。

7型から11型まで多彩なラインアップ
Θ 7型から11型まで多彩なラインアップ。
図12、手書き入力に対応した最新の11型モデル「Fire Max 11」から7型の「Fire 7」まで多彩なラインアップ。「Fire HD 10 Plus」のように製品名末尾にPlusの文字が付くものは、ワイヤレス充電に対応している。

電子書籍やビデオを大画面で楽しみたければ、「Fire HD 10 Plus」がお薦めだ(図13図15)。2万円台前半のタブレットとしては性能、機能ともに充実しており、充電スタンドはオプションとなるがワイヤレス充電にも対応している。

注目は10.1型のFire HD 10 Plus
Θ 注目は10.1型のFire HD 10 Plus。
図13、電子書籍の使用がメインなら2万円台前半で購入できる10.1型の「Fire HD 10 Plus」に注目。
 
図14 内蔵ストレージ容量は32GBだが、microSDカードスロットを装備しており、最大1TBを追加できる
図14、内蔵ストレージ容量は32GBだが、microSDカードスロットを装備しており、最大1TBを追加できる。
 
図15 別売のワイヤレス充電スタンドを使えば、タブレットを充電しながら「Showモード」で使える
図15、別売のワイヤレス充電スタンドを使えば、タブレットを充電しながら「Showモード」で使える。

ディスプレイの解像度は1920×1200ドットで発色も良く、カラーの漫画や雑誌なども見開きで楽しめる(図16)。電子書籍アプリは「Kindle」しか用意されていないが、「ジャンプ+」「BookLive!」「ebookjapan」などの電子書籍サービスはWebブラウザー経由でなら利用できる。

見開きで漫画を読める
Θ 見開きで漫画を読める。
図16、10.1型であれば漫画や雑誌も見開きで楽しめる。発色も良く非常に見やすい。Kindleアプリの操作性も良く、快適に読書できる。

月額で見放題などのサブスクリプションの動画に関してはアマゾンのPrime Video以外も、多くのサービスがアプリで視聴できる(図17)。電子書籍やビデオを楽しむにはまさに最適なデバイスと言える。

他社のサブスク動画もアプリで楽しめる
Θ 他社のサブスク動画もアプリで楽しめる。
図17 アマゾンのPrime Videoの動画のほか「Netflix」「U-NEXT」「Hulu」「ABEMA」などの動画配信サービスの動画もアプリで視聴できる。

もし、オフィスアプリの使用やビデオ会議などビジネス用途も考えるなら「Fire Max 11」が有力な選択肢となる。少々高価だが性能が強化されている上、ディスプレイの品質も向上している。Fireタブレットとしては初めて専用ペン(別売)によりペン入力にも対応している(図18)。

ビジネスでも使いたいならFire Max 11
Θ ビジネスでも使いたいならFire Max 11。
図18、2023年6月に発売が開始されたばかりの新モデル。従来製品よりスペックが向上し、新たにペン入力に対応するなど使い勝手も向上している。

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