○ 当選賞金が高額な宝くじでは、1等が当たる確率は1000万分の1にさえなるという。しかし、1000万分の1といわれても、具体的にイメージするのははなはだ難しい。Excelを使って具体的に考えてみよう。
1000万日を年で換算する。
ここでは1000万を「1000万日」と日数で考えてみたい。この1000万日を年に換算すれば、1000万という数を少しはイメージしやすくなりそうだ。
ご覧のように、「27,397.2603」と返った。つまり1000万日を年に換算すると「2万7397年」になる。手元の日本史年表を見ると、紀元前2万5000年頃は、後期旧石器時代に当たる。諸説はあるものの縄文時代の始まりが紀元前1万年頃と考えられているから、それよりもはるかに昔のことだ。
つまり1000万分の1とは後期旧石器時代から現在の間のたった1日になる。確率1000万分の1と聞くと、わずかでも当たる可能性があると考えがちだ。しかし、1000万分の1という確率はほぼゼロだと考えてよい。
ちなみに私たちは、客観的な確率が低いときに実際よりも高く感じ、客観的な確率が高いときに実際よりも低く感じる。このメカニズムには、確率加重関数という難しい名前がついている(ノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者ダニエル・カーネマン氏、それに故エイモス・トヴェルスキー氏が命名した)。
もっとスマートかつ厳密に年換算する。
いま計算した日数の年数換算は、CONVERT関数を使うことで、もっとスマートかつ厳密に計算できる。
=CONVERT(数値、変換前単位、変換後単位)。
数値の単位を変換する。
①数値 変換する値を指定する。②変換前単位 数値の単位を指定する。
③変換後単位 結果の単位を指定する。
ご覧のように、CONVERT関数では「2万7378」年という結果になった。先の結果より値が微妙に小さくなっているのは、CONVERT関数がうるう年もきちんと勘案して計算しているからだ。よって今回の場合、単にスマートさのみならず、結果の厳密性の上からも、CONVERT関数を使うほうが適切なのだ。
以上、1000万分の1の確率がほぼゼロに近いことが分かった。それでも宝くじに夢を賭けようとするのは、人が持つ確率加重関数のなせる業なのであった。