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 ライトノベルの新レーベル・講談社ラノベ文庫。その第1弾にラインナップされた「おジャ魔女どれみ16」を読了しました。



以降、大きなネタばれはしていないつもりですが、「おジャ魔女どれみ16」の若干のネタばれが含まれている可能性があります。未読の方はご注意ください。



 本書はアニメ版のラストで小学校を卒業してから3年後、高校1年生となったどれみたちを描いています。新キャラも登場しますけど、どちらかといえばアニメ版から引き続き登場しているキャラの方が出番が多いですかね。みんなそれぞれ、3年間で変わったところもありながら、しっかりとそのキャラクターらしく成長した姿を見せてくれています。
 本文がどれみの一人称で書かれているということも、とっつき易さの一因ですかね。著者の栗山緑はアニメでも多く脚本を担当していた人ですので、雰囲気はかなりアニメ版に近いものになっています。アニメを見ていた人でも、違和感なく、すんなりと物語に入っていけるんじゃないでしょうか。

 全6章で構成されていまして、全体を貫く大きなストーリーがあるわけではなく、小さなエピソードを積み重ねる形で物語は進行していきます。内容的には1エピソードでアニメの1話分くらいにはなりそうですね。ただ、ひとつひとつのエピソードが割とあっさりしていて、問題発生→いろいろと活動→解決までが結構短いので、そのままアニメ化したらちょっと尺が足りないかなぁと思います。
 その辺りはアニメと小説における描写や演出の違いの問題で、アニメ化するならもっと細かい描写が追加されてそれなりの尺になるんでしょうけど、もう少し引っ張るのかと思っていた話が案外あっさりと終わってしまい、ちょっと拍子抜けした部分もありました。
 そう考えると、どれみはお話としての良さは当然あるんですけど、キャラクターの表情や動き、間の取り方、音楽の使い方など、アニメ的な部分もとても優れた作品でしたね。他のメディアと比較することで、そのことがより鮮明に浮かび上がってきました。

 アニメ版のラストで魔法を捨てたはずのどれみたちが何故またおジャ魔女になったのか、という点が本書の最大の注目だったと思うのですが、正直、ちょっと弱かったですかね。いや、きっかけ自体は弱いっていうほど弱くもないんですけど、アニメ版のラストを考えれば、どれみたちも、魔女界の人たちも、再び魔女見習いになるという話がすんなり進みすぎた気がします。
 高校生になって魔法を使わなくてもできることが増えていることもあり、小学生時代ほどホイホイ魔法を使用しているわけでもありませんけど、全体的に魔法のウエイトをもう少し下げても良かったんじゃないかと思います。次巻以降はともかく、この巻くらいはね(少なくとも、2巻が出るのは間違いないようです)。



 きれいに完結したアニメ作品の続編が小説で登場ということで、楽しみでもあり、怖くもあり、といった感じだったのですが、まずはうまく立ち上がったといったところでしょうか。コレじゃない感はほとんどなく、紛うことなく「おジャ魔女どれみが帰ってきた」と言える作品になっていると思います。
 ただ、本書と同じくテレビシリーズ終了後に製作されながら、テレビシリーズと同じ小学生時代を描いた「おジャ魔女どれみ ナ・イ・ショ」とは異なり、「おジャ魔女どれみ16」はテレビシリーズよりも後の話を描いています。ということは、必然的に小説オリジナルの要素をどんどん追加していかなくてはならなくなります。本作ではまずまず成功していますけど、アニメシリーズからのファンを納得させられるような形で新要素を追加して、なおかつきちんとした結末を書き上げるというのは、なかなかハードルが高い仕事だと思います。
 本書で触れたけどまだフォローされていない話題もありますし、本書では出てこなかったキャラクターも大勢います。不安もないではありませんが、次巻以降にも期待したいですね。



 ああ、それと、FLAT4のレオンのことも、少しは思い出してあげてくださいね。



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