我々の世界とちがう場所、ちがう時代……。 タンキリエ王国をほぼ中心に抱く巨大な大陸が、君の冒険する世界である。タンキリエ王国ともうひとつ、大陸の西に位置するホープ王国が人間を国王とする最も強力な国家だが、他にも森の中に住むエルフ族や、大陸一の女戦士で知られるアマゾン族など、さまざまな種族がこの大陸の各地で生活を営んでいる。 この大陸には、魔法や妖精、竜などが、単なる伝説ではなく実在している。君が人里離れた深い森を歩いているときに、美しい樹妖精(ドライアド)に突然であったとしても少しも不思議ではないのだ。 魔法が根強く残っていることが、かえってこの大陸の科学技術発達をさまたげているといえるかもしれない。船といえば木造帆船、武器といえば剣や弓より進んだものはないからだ。もっとも、はるか昔は、西の海の彼方に高度な科学文明を誇った国があったそうだが……。 この大陸に、何度目かの災厄が起こった。十数年間行方不明になっていたタンキリエ王の弟・ネクロスが、暗黒の魔術師として舞いもどり、悪の軍団を率いて大陸を蹂躙しはじめたのだ。 彼が行方不明の間、何があったのかは誰も知らない。だが、昔とはまったく人が変わり、悪の心に染まりきっていることだけは確かだった。 何年にも及ぶ戦争は、圧倒的にネクロス軍が有利であった。彼にしてみれば、わざと手加減してタンキリエ王たちをいたぶっていただけかもしれない。そしてついに彼は、卑劣な手段でタンキリエ王の娘である王女をさらい、それをいけにえにして太古の邪神・ネクラーガを呼び出そうとたくらんだ。 王女の、そして世界の危機! しかし、ちょうどそのときタンキリエの城を訪れた8人の者がいた。出身地も目的もちがう8人の兵者たちが、時を同じくしてタンキリエに集まったことは、人々に何か運命的なことを感じさせた。「8」は、この世界において調和と安定を意味する神聖な数字なのである。 8人は苦しい戦いの末、力を合わせてネクロスを破り、王女を無事救い出した。人々は、彼らを、「8勇者」と呼び、讃えた。 暗黒の帝王は倒れ、軍団は滅びた。 ひとつの物語が終わったかのようだった。だが、君の冒険は、実はここから始まるのである。 ネクロスが滅ぼされ、一見平和になったかに見える世界。だが、その裏では……新たなる冒険が、君を待っている。 「ネクロスの要塞」マニュアルより
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