社会思想社・現代教養文庫、イアン・リビングストン著のゲームブック、「トカゲ王の島」をプレイ開始。
これ以降、「トカゲ王の島」のネタばれを含んでいます。ご注意ください。
あたし、レイン・デシンセイ。19歳のか弱い女の子、兼、凄腕の剣士をやってます。
旧友のマンゴに会うために立ち寄った小さな漁村・オイスターベイ。しかしその村は、近くにある火山島に住むトカゲ男の脅威に晒されていたのです。
マンゴと2人でその火山島に乗り込んだあたし。しかしマンゴは、砂浜にいた巨大蟹の手によって、命を落としてしまった。
あたしはマンゴの無念を胸に抱き、トカゲ王の打倒を誓ったのでありました。首を洗って待ってろよ、トカゲ王!
<現在の状況>
技術(9):9
体力(21):12
運(12):3
金貨:
宝石:
飲み薬:
食料:2
装備:剣、革の鎧、ザック、金のかたまり、かもめの羽、菓子類
しばらく進んでいくと、左手に丘が現れた。そしてその丘の中腹には、洞穴の入り口が見える。
呪術師を見つけるためにはどんな手がかりも見逃すわけにはいかない。あたしは丘を登っていった。
その入り口は明るい色を塗られた岩で彩られていたのだけれど、そのうちの一つに頭蓋骨が乗せられているあたり、いい趣味をしている。
!
その洞窟に行く途中、あたしは足元に張られていた見えない糸に足を取られ、転倒してしまった。それに連動してごろごろと岩が大きな音を立てる。どうやら、侵入者を知らせるための仕掛けのようだ。
やがて、毛皮だけを身にまとい、槍と石の棒で武装した野蛮人の女がやってきた。そしてあたしに向かって、手にした槍を投げつけてくる。
あたしはその槍を避けようとしたけれど、そこは岩がごろごろとしていて足場が悪く、あたしは槍を太ももに受けてしまう。
その女は歓喜の声を上げてあたしに向かって突進してくる。あたしも痛みをこらえて太ももから槍を抜き、剣を構えて迎え撃つ。
ボカ、スカ。
傷の痛みのせいで少し苦戦をしいられたけれど、その女は元々大した戦闘能力は持っていないようだ。あたしはその女を切り捨てて、洞穴の中へと足を踏み入れた。
洞穴の中はむっとするような悪臭に満ちていた。食べ物の腐ったような臭いと、体臭だろうか。よくこんなところで暮らしてられるなぁ。
洞窟内を漁ってみると、ほとんどがゴミみたいなものばっかりだった。まあ、あんな野蛮人が大した物をもっているとも思えないけどね。
あきらめて洞窟を出ようとしたとき、あたしは洞窟のくぼみの奥に隠されていたつぼを見つけた。中には赤い粉が入っている。
なんだろ、これ?
あたしは興味本位で、それを顔に塗ってみる。この手の人たちって、よくやってるじゃない、こういうの。
あたしは指を顔に走らせ、何本かのラインを引く。鏡がないからよくわかんないけど、こんなもんかな。
まあ、鰯の頭も信心からというし、もしかしたら威嚇されて逃げ出す相手もいるかもしれない。あたしはなんとなく強くなったような気がして、意気揚揚と洞窟を後にした。
道中食事休憩を挟みながら、ようやくあたしは火山のふもとまでたどり着いた。しかし肝心の呪術師はまだ見つからない。本当に火山にいるのかもよくわからないんだけど。
あたしはとりあえず、火山のふもとをぐるりと歩いてみることにした。
しばらく行くと、きつい硫黄の臭いが広がってきた。さらに少し進むと、ぶくぶくと泡が立っている、黄色い泥の池が現れた。まさに地獄の池という感じだ。
そのほとりに、石と木の枝できた何かの巣があった。その中には大きな卵が2つある。
こんなところに巣づくりをするなんて、一体どんな生き物なんだろう。ちょっと相手をするのは、大変かもしれない。
あたしはその卵には触れないことにして、火山を登っていくことにした。
火山を登っていくと、道の端に丸い石が環状に並べられていて、その中にいろいろな品物が散乱している場所があった。腕輪や人形の他、ビールのジョッキやベルトのバックルなど、しようもないものまで置いてある。
そうか、これ、呪術師に対する貢物を置いておく場所なんだ。こんな変なものでいいなら安いもんだ。あたしも置いておこう。
で、ザックを漁ってみたけれど……、あたし、ほとんど物を持ってない……。剣と鎧を除けば、あとはかもめの羽と金のかたまりと、樫や果物などの食料品だけ。
うーん。羽は手放すわけにはいかないし、やっぱり菓子類かな。腐ったりしなければいいと思いつつ、あたしはそれらを石の真中に置く。
そのとき突然、山肌にはりついていた一列の岩が赤く変わった。その様子はまるで、あたしに道を指し示しているかのようだ。
あたしはその赤い岩に沿って、火山を登っていった。
岩を攀じ登っていると、一人の男性が後ろにある岩からひょっこりと顔を出した。その人の頭は色のついたビーズと鳥の羽で飾られている。手にはやっぱり羽がついている杖と、二本の動物の骨を持っている。
この人が捜し求めていた呪術師だ。あたしは早速、ここへきた目的――トカゲ王が寄生させているゴンチョンを何とかする方法を尋ねた。
呪術師は始めのうちこそ静かにあたしの話を聞いていたけれど、ゴンチョンの名前を聞いて、急に顔色を変えた。彼にとっても、ゴンチョンがこの島にいるということは予想外のことだったらしい。
あたしの話を聞き終わった呪術師は、ゆっくりと口を開いた。
ゴンチョンを倒すには、あたしは幾つかの秘密の魔術を習わなくてはならないらしい。そしてその魔術の力を得る権利を得るためには、難しい試験を受けなくてはならないそうだ。
呪術師はあたしに決意の程を尋ねる。当然、こんなことで逃げるレインさんじゃあないのは言うまでもない。あたしはその試験に立ち向かうことにした。
試験は運の試験、恐怖の試験、苦痛の試験、忍耐の試験、力の試験、器用さの試験の6種類。そのうちの3つを選択して、全てに合格しなくてはならないという。
とりあえず、運は問題外だ。あとは正直なところ、よくわからない。
あたしはまず、苦痛の試験に挑むことにした。これなら根性だけでどうにかがんばることもできるだろう。
呪術師はあたしに2本の骨を手渡して、それを両手に1本ずつ持っているよう告げた。
始めのうちはなんともなかったけれど、次第に身体がおかしくなってくる。筋肉が内側から膨張してくるような感じだ。このままじゃ、あたしの身体、爆発しちゃう!
全身に苦痛が広がる。そう、文字通り、耐えられないほどに。しかしあたしはぎゅっと骨を握り締め、この耐えがたい苦痛の字義に抗って、必死に耐える。
あたしの意識がほとんど消えかけた頃、不意に痛みは消え去った。呪術師があたしから骨を取り上げる。どうやら苦痛の試験をパスしたようだ。
しかし試験は後二つある。次は、力の試験にしよう。
呪術師は近くにあった丸い石を示し、あたしにそれを持ち上げるよう指示する。
あたしはその石に手をかけ、力を込める。重いっちゃ重いけど、別にどうしようもないという程ではない。あたしはゆっくりとその石を持ち上げた。
呪術師の合図と共に、あたしは石を落とした。力の試験も合格のようだ。よしよし、あと一つだ。
最後の試験には、恐怖の試験を選択した。
呪術師が指先であたしの顔に触れる。すると頭の中に、形容しがたい、恐ろしいイメージが渦を巻き始めた。それはとても荒々しく、イメージのくせに具体性をもってあたしに襲い掛かってくる!
思わず声を上げそうになったけれど、あたしは次第に落ち着きを取り戻す。あれほど荒れ狂っていたイメージも、不思議なくらいおとなしくなっていった。
やがて、呪術師はあたしの顔からゆっくりと指を離した。どうやら最後の試験にも合格したらしい。
あたしは大きく、安堵のため息をついた。あー、しんどかった。特に、苦痛の試験なんか死ぬかと思ったよ。
なにはともあれ、これで対ゴンチョン用の秘密の魔術とやらを教えてもらえるわけだ。
(つづく)
<現在の状況>
技術(9):9
体力(21):17
運(12):4
金貨:
宝石:
飲み薬:
食料:0
装備:剣、革の鎧、ザック、金のかたまり、かもめの羽
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