天真寺日記

天真寺の日々を綴ります

歌舞伎

2006-07-28 23:52:59 | 日々
昨日何年かぶりに歌舞伎を観ました。
とても大好きながら、最近はすっかりご無沙汰。
7月は、演目が泉鏡花の作品なのと、玉三郎と海老蔵の共演でかなりの人気のようでした。

泉鏡花は、金沢生まれの大正時代の人。
鏡花の作品は、妖怪が現れたり、登場人物は人間界から異界へと自由自在に飛び回ったり、その幻想的な世界観に魅了されます。

演目『海神別荘』では、
海底の御殿の主人が、些細な宝で陸の人間たちが満足するを聞き、笑う場面があったり、
海月は醜い人間の魂であると表現するなど、
人間界にとどまった見方をしないからか、客観的な人間観も面白く感じました。

鏡花は9歳の時最愛の母を病気で失い、母を恋しがる幼い鏡花を連れて信心深かった父清次は、摩耶夫人(お釈迦さまの生母)像を詣でたそうです。そしてこの時以来、摩耶夫人のなかに母の面影を見出し、生涯を通じて摩耶夫人信仰を深めたというから、仏教的なものの見方に触れていたのかもしれません。

そういえば。。。登場人物の一人が、
「私は本願寺派の僧侶、文学博士・・・」と自己紹介するセリフもありました。
浄土真宗と言うだけでなく、本願寺派と「派」まで指定するくらいくらいですから、仏教に詳しかったんでしょうか。

とはいえ、原作にあるセリフかどうかも分かりませんが・・・
今度泉鏡花の作品を読んでみよう、という気になりました。

久々の歌舞伎。
楽しかったから、また行きたいな~と思っているところです。

(静)