前回、「シンクロダビング法」によりバックアップテープを作製したものの100%読込には程遠いです。
そこで今回は、原盤テープでは起動するのにバックアップテープがロードエラーになる原因を考えてみました。
以前、Bluetoothカセットアダプターを作った時に見つけた古いカセットアダプターでは
ヘッドの高さを調整出来る物理的な機構が付いていました。
なので「カセットデッキのヘッド位置って、思ったより誤差があるのでは?」と言う発想になりました。
つまりヘッド位置が微妙に違う為に、ちょっとした事で読み取り位置がズレてロードエラーになる事はないでしょうか?
データレコーダーや高級カセットプレイヤーは、その辺りの機構が精密なのかもしれません。
●またまたカセットデッキの構造を考える
カセットドライブが横置きのX1Cの場合、カセットテープ上下位置(高さ)を決めているのはカセットデッキの土台ですが
X1Cはカセットデッキとカセットスロットが分離する構造になっている為に、
カセットを収納するスロットの位置がコンマ数ミリでも変わってしまう可能性はあります。
たしかに、ケース一体の蓋は生産コストを下げる事が出来たでしょうが
やはり経年劣化やメンテナンス等により、ズレが生じる可能性は否定できません。
結局、シンクロダビングしたテープを「斜めロード戦法」で微妙なテープ位置を調整するのが現在一番可能性のあるロード方法。
しかし、それでも全く読まないソフトも多くある上に、「テグザー」クラスのカセット制御ともなると危険が伴います。
それとも、ロードだけでは無くてシンクロダビング時の書き込み位置に問題があるのでしょうか?
相変わらず素人妄想全開ですが、分からないものは分からないから仕方ありません。
と言う訳で、再びカバーを外した状態で色々とロードの検証をしてみることにしました。
当面の目標は「X1カセットテープ版”テグザー”の起動」です。
テグザーは「シンクロダビング法」でバックアップしたソフトのうち
何度かロードにチャレンジしましたが今まで1度も起動した事が無いソフトです。
その他「シンクロダビング法」で取ったバックアップソフトで
起動はするがA面が読めてもB面が読みにくい、またその逆になる事もあったりします。
これらは素人判断では、テープの位置が悪いのか、テープに書き込まれた位置が悪いのか
読み取るヘッドの位置が悪いのか、その辺りが原因な気がします。
テープの位置を変更するには「斜めロード戦法」の様な無理やり何かを噛ますしか方法がないので
カセットデッキのホームページ等を巡った結果、本当は触らない方が良いのだろうけどアジマスを調整してみる事にしました。
アジマスとは、要は磁気ヘッドの高さ(傾き)を物理的に調整する機構で、ネジを回すことで微妙な高さ(傾き)調整が可能です。
「(傾き)」と書いた通り、磁気ヘッドは左右のネジで止まっているのですが、実際に調整出来るのは左側のネジだけで
そのネジにスプリング機構があり、緩めると右下がりに、締めると右上がりに微妙な傾きを調整出来る仕様の様です。
以前はピンチローラーのガタが原因でテープが真っすぐに走行していませんでしたが
今は巻き込まなくなったので現在の位置で読み取れる様に調整してみたいと思います。
●X1Cカセットテープデッキのアジマス調整を試みる
普通のオーディオカセットデッキの場合、基準の波形を録音したカセットテープを再生し
PCのライン入力で解析してアジマス調整出来る様ですが
X1Cの場合は再生音が出ない&ボーレートが違う?ので標準ソフトで判断出来ず、X1で基準波形のプログラムを作るか
オシロスコープみたいに直接波形が見れるものが必要なのではないでしょうか。
素人がそんなもの所持している訳もなく...
・カセットテープの書き込み位置
A面 L-----
A面 R-----
B面 R-----
B面 L-----
この書き込まれたLRの間隔が0.3mmあり、記録されている幅は0.61mmだそうです。
一番外側にも僅かですが0.055mmの空白地帯がある様です。
素人の予想では、モノラルのデータ専用ヘッドの場合、書き込みもLR両方に渡って書き込まれる。
しかし、ステレオダビングしてしまうと空白の0.3mmが出来る事になり、
テープの書き込まれた位置によっては、ロードエラーを誘発する原因なのではないかと考えました。
そこで、中心の右チャンネルの読み取りを捨てて、左チャンネル一択の位置に調整出来ないかと考えました。
つまり、標準より外側の位置に調整する訳です。
まずは、シンクロダビングでも読めなくて比較的ロード時間が短い「任天堂 ゴルフ」で調整してみます。
1回転緩めてみる>読まず。
さらに1回転緩めてみる>読まず。
「この作戦、ダメっぽい?w」
どうやら0.61ミリはかなりシビアな様で、ヘッダ部分すら読まなくなります。
ネジ位置を元に戻して、少しずつアジマスを調整しながらロードテストを繰り返してみると
今まで読めなかったソフトが読むようになりました。
そのままの状態で裏面もテスト。そしてロードエラーorz
何度か調整してみましたが「コレ両面読める位置って存在するのだろうか?w」と言うぐらいシビア。
よくよく考えると、アジマスは読み取りヘッドの傾きを調整するのがメインであって、高さ調整は意図しない調整方法なのでしょう。
それでも「斜めロード戦法」と同じ調整を標準機構で調整出来るメリットは大きく、実際に以前よりも読める様になっています。
他にカセットテープ側の問題もありそうです。古い原盤テープを見ても巻き取りムラがあるのは間違いありません。
目に見える程度なので、コンマ数ミリのズレは生じているはずです。
つまり、新品の状態で録音するからダメなのであって、X1Cで再生なんし巻き戻してX1Cの位置にテープを合わせてから録音する。
次はコレを試してみましょう。
おぉ?X1Cのテープ位置に合わせてから録音して、さらにアジマス調整するとA面B面読むようになりました。
だが、まだ安心はできません。
片面しか読まなかった別のソフト「アイスクライマー」で実験してみます。
ん~同じ位置ではロードエラーです。
このソフトは何度かシンクロダビングしなおしたので、録音時の位置がずれてる可能性がある為、再度シンクロダビングしてみました。
1度目はリードエラーが出ましたが、そのまま2度目のロードで成功しました。
やはり原因はテープ巻き取りの微妙なズレが原因なのでしょうか?
1度目の再生でロードエラーになったあと、X1C実機で巻き戻す事によりX1Cで読み取れるテープ位置になる可能性があります。
もう一つ。どうやらミニコンポも早送りや巻き戻しでかなり巻きムラが出るようで、これも関係ある可能性があります。
再生の時はピンチローラーで押さえますが、早送りと巻き戻しではフリーなんですよね。
なので、どのカセットデッキでも巻き取り誤差が出やすい様で、巻き戻すカセットデッキによってコンマ数ミリの誤差が出るようです。
この辺りは、かなり微妙な調整が必要なので一筋縄ではいかなさそうです。
デッキ自体の経年による変形や分解清掃による微妙なズレがあると思うので、徐々に直していくしかなさそうです。
ミニコンポ側でダビング位置がずれている事により、X1での読込も微妙にずれると言うのが今の所、有力でしょうか。
特にカセットテープが水平になるX1Cでは、カセット内でのテープ位置がズレ易い気がします。
そうこうしているうちに、またまたテープを巻き込む現象に遭遇orz
シンクロダビングでバックアップソフトの読み取りテストをしている時に、新品のカセットテープなのに巻き込みました。
やはり、蓋がある場合はテープが少し浮いた状態になる為、安定していただけで
カバーを外して正規の位置でロードすると巻き込む事がある様です。
前回の修理でガタを無くした今、巻き込む原因はピンチローラーのゴムローラーぐらいしか考えられません。
「もうこうなったらピンチローラーのゴムローラーを修理するしかねぇ!」
●ピンチローラーの再修理
どうにかピンチローラー機構をバラせないかと、色々試している時に
ローラー部分の軸を押してみると、軸が動いて抜けそう?
「グググッ」っと棒を押し込んで、なんとかローラー部分だけ外れました。
金属部分はカセットデッキに付いたままなので、本当にプラスチックとゴムのローラー部分だけ...
(赤丸印の軸が抜けました)
外し方は分かったので(本来はピンチローラーASSYを外してから、このローラーを外すと思われます)
試しにローラーの表裏を返して取り付けて実験してみます。
そうすると、今度はワカメテープが下に流れるようにナリマシタ...これで100%確定です。
ピンチローラーのゴムの傾きが、ワカメテープを巻き込む原因でした。
このピンチローラーに替わるゴムローラーを探すのは難しそうなので
取りあえず、前回同様ピンチローラーを削る方法で平らにしてみましょう。
普通にローラーのみを転がして削るとムラが出来たり傾きが分かりにくいので、
X1Cカセットデッキをテストしてきた中で思いついた
「モーターの力でピンチローラーを回しながら削る作戦」で行こう。これなら均等に丸く削れるはず。
まず、カセットテープが入っているか判定するスイッチを抑えます。
これで再生すれば、普通にピンチローラーも回るので
その回っているローラーにサンドペーパーを当てて削ります。
サンドペーパーを見ると黒くなっているので削れている事がわかります。(写真は撮影の為に停止中)
相当傾いている可能性があるので、念入りに流れる方向と反対側を削って、さらに中央部分を削ってツライチにします。
しかし、平らになっているかどうかは削りながらの”勘”という...
これでワカメバリバリのテープを回してみると、静かに巻き取っていきます。
ピンチローラー機構のガタは前回の修理で加締めてあるので駆動中に多少ピンチローラー機構を触っても巻き込む事はありません。
ゴムのローラーの変わりを探しておいた方が良いかもしれませんが、なかなか良さそうな物がありません。
多少厚くてもスプリング機構があるので大丈夫ですが、ヘッドが下がった時にカセットから完全に抜けるサイズでなければいけません。
まぁ、今後ヘタってくる可能性は高いですが、念入りに削ったので当面は大丈夫でしょう。
出かけた時に、ゴムパッキンなど気をつけて見るようにするしかないですね。
●テグザー&ゼビウスの完全ローディングを目指して調整
巻き込みの心配は現状ホボ無くなったものの、だからと言ってシンクロダビングテープを読み取ってくれる訳ではありません。
○さらにアジマス調整(シンクロダビングの「テグザー」に合わせる)
まずは何を標準とするかを決めた方が良さそうなので、自分はシンクロダビングテープを基準としました。
素人の推測ですが、原盤などのモノラルは書き込みの範囲が広いと予想され、多少ズレても読み取れる気がしましたが
ステレオダビングしたテープでは、かなりシビアになっていると思ったからです。
このシンクロダビング位置で調整すると、他のカセットデッキでダビングした場合は読めない可能性もありますが
ミニコンポ「DENON D-07」が正常な今は、そこまで気にする必要もなさそうです。
ピンチローラーの修理でテープ位置が安定した様で、テグザーの特殊ローダーに入るまでは確実に読むようになってきました。
蓋が無い状態でテストし続け、特殊ローダー部分も時々通過する様になりました。
○テープエンド判定機構の修理
何故か今まで動いてた自動停止が急に利かなくなりました。
まぁ、もともと利かなかったし後回しで良いかと思っていましたが、
ロードしようとしてもスグに止まるようになったので分解してみると、部品がバラバラになっていました....(あぶねぇぃ)
どうやらココ(赤丸)がテープエンドを判定する装置の様です。
落下した部品のせいでショートしていないか心配でしたが、元通りに組み直してみると問題なさそうかな?
バラバラになる前の写真が有って助かりました。
電気的に壊れると修理が大変そうなので、ちょっとヒヤヒヤした故障でした。
○テープデッキ部分、取りあえず完全動作中。
更にアジマスを微調整して、シンクロダビング版テグザー&ゼビウスの特殊ローダー系のカセット制御にて100%ロード成功。
数回テストしてみてもロードエラーは出ません。
テグザーは、何処で死んでもステージ1のロードが始まる地獄仕様。
ゼビウスは、ステージ3以降は1ステージ毎にロードが入ります。
どちらも、ロード終了後いきなり始まるので適当に放置出来ない「中身の人縛りゲー」です。
●まとめ
結局の原因は、全てピンチローラーのヘタリにあった気がしないでもありませんが
アジマスの調整で多少のズレはカバー出来る事と、
謎のプーリーがテープエンド判定機構だと分かっただけでも、有意義な調整だったと思います。
ダビングテープが使える派と使えない派の違いは、録音Wラジカセの違いとか
X1の磁気ヘッド位置やピンチローラーの個体差があるからかもしれませんね。
ひょっとすれば、モノラルヘッドのWラジカセがあればバックアップに最適なのかもしれませんが
オーディオでそんな物は無さそうなので、データレコーダーからデータレコーダーへのバックアップが
必要だったのかもしれません。
取り合えずはこれで、当時に近いカセットデッキの状態までは戻ったのではないでしょうか?
30年と言う歳月は経年劣化するには十分過ぎる時間で、まだまだトラブルが出てきそうな気もしますが
調整したり直したりしながら、大切に使っていこうと思います。
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