「ちまちま」のゲーム日記。

現在は、シャープX1と、レトロPC&ゲームの記事が中心です。

CZ-800C(X1マニアタイプ)の修理-その3

2017年09月29日 08時09分21秒 | レトロゲーム

X1マニアタイプ修理の続きです。

ボロいCZ-800C(X1マニアタイプ、ローズレッド)を手に入れたものの、初めての修理で分からない事だらけ。
IPL待ち受けまで行かないと言う事で、粉吹きバッテリーを取り外し、各部清掃して、一部のパーツを交換してみるも変化なし。
どうもIC周りが怪しい訳ですが、現状どうしようもありません。
その他カセットドライブも怪しい所満載で、もう1台ジャンクのX1マニアタイプを待っていたのが前回までのあらすじ。

そうこうしてる内に、怪しいマニアタイプが出てきました。
-------------------
・電源が入らない
・ハドソンのカセットが入っているが出せない
・蓋を開けてHDDとBDを確認
-------------------
怪しいw

まぁ自分は完動品にはあまり興味は無く、怪しい人から買うのが結構楽しみで仕方ない。
マニアタイプは本体のみの出品も多い為、キーボードも欲しかった自分は躊躇っていたのですが
前回はその問題をクリアしていた為キーボードとG-RAM目当てでの落札でした。
本体も結構遊べているので、なかなか満足しております。まさか、ジャンクでここまで遊べるとは...

今回は主に部品取り用途での購入なので、通電不可なものをチョイスしました。
生きている個体から部品取りするとか勿体ない!!

兎に角、1台では何がOKで何がダメなのか判断すら出来ないので、レッツ!トライ♪



●CZ-800C(X1マニアタイプ)の内部点検-その2

到着しました。
ブログ中では書きやすい様に、最初に手に入れたCZ-800Cを「レッドマニア」
今回手に入れたCZ-800Cを「シルバーマニア」と表記しましょう。

ボディが思ったよりもかなり綺麗で、多少の擦り傷等はあるもののフィルムカバーが付いています。
これ、新品の時のものでしょうか?
フィルムをめくって磨けば擦り傷が消えるかもしれませんが、あまりにも綺麗なので、フィルムはそのままで。
   

中身はG-RAMも拡張スロットもありませんでした。
最初の選択は間違ってなかった...直せるかどうか分からないけどw


まずはバッテリーを見てみます。

まずまずの劣化具合?
黒ビアは少なく、抵抗のハンダがヤバそうですが全体的にICのプリントも綺麗に残っていて、
最初のレッドマニアより良い状態に見えます。

カセットデッキの裏側を見てみると、巻き取り駆動ベルトとカウンターベルトは付いていますが
平ベルトは完全に溶けて、そのまま下に落ちている感じ。
レッドマニアに無かったフライホイールの軸受は付いてます。よかった...
  
最初、巻き取り駆動ベルトがブチル系だと思ってたのですが、マニアタイプはX1Cとは違い平ベルトがブチル系の様です。

そして、中に入ったままのカセットを見てみると...
 
「ザ・スパイダー」ですが、「パソピア7」の文字が...
これはこれでレアな気がしないでもないですがX1用では無くて残念。
カセットテープの磁性体を見てみると最初は「それほど悪くないかな?」と思いましたが
一部虹色になっている所があったので、ソフトとしては生きて無いかもしれませんね。
一応保管して検証用などに使ってみたいと思います。

写真では分かりずらいですが、カセットデッキの中が凄く綺麗。

これは恐らくカセットテープを入れたまま保存していたからで
空気の入る隙間が少ない為に湿気や液漏れの蒸発気体が入りにくく、腐食や劣化を免れたのではないでしょうか?
長期保存する場合はカセットテープの中身を取り出して、空のケースを入れておくと良いのかもしれませんね。
ただし、カセットを押さえるスプリング機構にダメージが出る可能性は否定出来ませんが...

その他、メイン基板に液体がかかった様な跡と、その部分の抵抗に錆が出ています。
 

ただし、それらの部分以外は比較的綺麗なんですよね。
 
まったく掃除していない状態でこれ。

状態は大体わかりました。
いきなりレッドマニア用に部品取りするより、まずはこの機体が修理出来ないか色々試してみたいと思います。

大まかな手順と優先度は
・メインボードのバッテリー取り外しと清掃
・バッテリー付近の抵抗等のパーツの取り換え
・電源基盤の清掃と電解コンデンサ交換
・メインボードとカセットボードの電解コンデンサ交換
・カセットデッキの修理
って感じでしょうか



●シルバーマニアの分解

一旦バラバラに分解してから作業を進めていきましょう。
分解し始めると、なにやらパラパラと落ちてきます。

黒いカスの様な?
潰してみると...

ギャー!!まさかベルトの残骸?
そう言えば平ベルトの方がトロケルタイプなのでした。

レッドマニアの方は、なぜ巻き取り駆動プーリーにブチル系ゴムの残骸が巻き付いてたのか...
平ベルトがモーターに絡まる>巻き取り駆動ベルトがブチル系ゴムを巻き込んで回転
>「会心の一撃!!巻き取り駆動プーリーへ大ダメージ!!」こういう事かorz

こちらのシルバーマニアは配線が物凄く綺麗に束ねられています。新品から一度も手が入っていなさそう。
 
レッドマニアのカセット基盤に付いてた同軸ケーブルは、こちらには有りません。レッドマニアは改造品確定でしょう。

電源が外れました。液漏れでここまで酷くなるものでしょうか?液漏れ+水濡れとかあったのでしょうか?
   
左写真は電源横のメインボード下。
右写真の電源ですが、白いモヤモヤが結構広がっています。

底面パネルが外れました。

ベルトって、ここまで綺麗に落ちるものなんですね。黒い横線がそれです。
ブチル系ですがドロドロ度はマシで、ドロドロを通り越した乾燥の為か結構こびり付いています。



●シルバーマニアの基盤メンテナンス

いよいよ基盤救出作戦。
パッと見はレッドマニアよりかなり良い状態かと思いましたが
メインボードを外してよく見てみると結構ヒドかった...

レッドマニアは広範囲にダメージを受けていましたが、このシルバーマニアは
範囲は狭いですが、かなり深いダメージを負っている模様。

バッテリーを外してみると、黒化が前回の比じゃありません。

表面にはハンダが乗りそうになかったので、裏面から吸い取ります。

レッドマニアは裏面はキレイでしたが、シルバーマニアは裏面もヤバそうでパターンが盛り上がってます...


幾つかのスルーホールの裏面からハンダを吸い取ってみるも、今回は全く貫通しない所がチラホラあります。
表側を見ても、レッドマニアは表面がパリっと餃子みたいな感じでしたが、今回は突いても崩れる気配なす...

バッテリー下のみですが6カ所も貫通しないビアがあります。

ハンダを流し込んでみたり、無水エタノールで掃除しながら突いてみますがビクともしません。
ちょっと強力になってダメージも増えるけど、パーツクリーナーを使ってみるも変わらず。

何か方法が無いか考えてる時に閃いた
「酸化して固まってしまっているなら化学反応に頼るしかねぇ!」
ググってみると、”お酢” が使えるらしいのですが、生憎うちにあるお酢は調理酢で色々混ざっているので使えない。
接点復活剤なら、そう言うのに強いはず。と見てみると
「”αオレフィン炭化水素”!!なんか凄そう!!(よく分かってないけど)」

早速吹きかけてコツコツ突いてみると、中まで詰まっている黒化ビアがザクザク音を立てて貫通しました。
そして、黒い塊がゴロゴロとw


「こりゃいけるぜぃ」と、ほぼ表から裏まで埋まっている所もゴリゴリ削りながら堀り進めて何とかビア全部が貫通しました。
接点復活剤ですが容量が少ないのに値段が高いだけの事はありますね。
しかし、あとで調べてみると”αオレフィン炭化水素”は、単なる合成油の名称だった模様?w
でもプラスチックにも使え、耐薬品性に優れているとかで、やっぱり凄そうではあります。
色々試してる過程で柔らかくなっただけなのかもしれませんね...


う~ん。これは何となくパターンが死んでる気がする...
ハンダが乗らなかった時点で金属部分が侵食されてしまっている可能性が高いです。
3層以上の基盤とかだと完全にお亡くなりかもしれませんが、見た感じ表と裏だけの様なので
一度テスターを当ててみて、ダメそうなら銅線を通してジャンプさせる方法で復活するのではないでしょうか?

シルバーマニアで1カ所、ビアに見えない所があったのですがレッドマニアのパターンを確認してビアと断定して貫通させました。
これシルバーマニア1台だけで初めての作業だったら詰みそうw
レッドマニアで練習してて良かったと思った瞬間でした。


それではオペに取り掛かります。
4本ぐらいのスルーホールがダメっぽいので、パーツの余った足を差し込んでジャンプさせる方法で。

すぐ隣のヒドイ所は、取りあえずレジストを剥がして導通チェック。

あ、思いっきりトランジスタの頭を焦がしてしまいましたorz
替わりがあるので取り敢えずバッテリー下の修復を優先で...
   
バッテリー下のモコモコしたパターンもダメかと思ったのですが、削ってみると意外と綺麗?
削った所にハンダを盛ってパーツの足でジャンプさせます。
基盤面でジャンプさせて、さらにビアにも1本差し込んでハンダ付け

 
裏面のパターンが完全にダメになっていたので、折り返して隣のスルーホールに繋げます。

表に戻って一旦休憩。
そこから抵抗まで伸びているパターンに全く導通がないので、こちらもレジストを全て削ってみました。
もうパターンと呼んで良いのかすら分からない残骸しかなかった...



隣の侵食が酷い抵抗群もついでに交換します。
抵抗3個を取り外してみると、やはり錆びていた真ん中の抵抗のスルーホールがダメそうです。
ん~。ここまで伝播するものなのかぁ...
 

先程の一旦休憩した所の足を曲げて、パターンの一部とします。


  
先に抵抗を取り付けて、回路図に無い後付けっぽい330Ωの抵抗の足でパターンを繋げました。

ゴテゴテして綺麗ではありませんが、何とか素人修理の完成です。



●シルバーマニアのカセットデッキの分解

今回のカセット部分は結構キレイだったので、カセットドライブの整備も少しやっておきましょう。

フロントパネルを丸洗いするので、基盤ごとゴッソリ外しました。

上部に擦り傷が一か所あるものの、フロント部分がこの上なく綺麗なんですよねぇ。
この本体が生き返ったら、取り合えずこのシルバーマニアを使うのもアリかもしれません。
    

カセットデッキはかなり綺麗な状態なので、軽く清掃とグリスアップをして
仮のゴムベルトを付けておこうと思います。


○ゴムバンドベルトの製作
X1センターさんのデータによるとモビロンゴムバンドバラエティー?が使えるようで探していたのですが見つからず。
カールコードを探しに大阪日本橋をフラフラ彷徨っている時に、ふと立ち寄ったダイソーで
見た目は近そうなゴムバンドを発見していました。
サイズを見てなかったのと、X1Cにも使えるかもしれないので折径80と100で太目のものをチョイス。
 
もちろん、これだけ入って108円です。

これの切幅を半分以下にする必要があるのですが、これが結構難しい。
ハサミが切れないからなのか、ゴムがゴツイからなのか真っ直ぐ綺麗に切れません。
このまま使うと他の場所に干渉しそうで少し怖いです。
試しに付けてみると、幅が広いと一番下の電磁ソレノイドや巻き取り駆動用のベルトに干渉してしまいますね。

どうにかならないかと色々考え、綺麗に切る良い方法を見つけました。
両面テープを使い固定する作戦。

内側に貼って。

 
カッティング台にも貼り付ける。ただそれだけw
たったそれだけの事ですが安定性が雲泥の差。
あとは定規でズレない様に抑えてカッターでザックリ切ります。

良く切れる刃でないと厳しいので新品の刃を使いました。完璧っ!(細い方を使います。)
ゴムシートベルトの時と同じ様に、ネバネバする両面テープだとこの後苦労するので注意。


ハサミを替えてみたり細いのを作ってみたり試行錯誤した様子。
少々失敗しても精神的ダメージが少ないのが良いですね。


まだ慣れていないせいか、マニアタイプのベルトが何気に付けにくい...
巻き取り駆動ベルトは適当に引っ掛けて、あとからプーリーに入れる感じで
平ベルトの方を意識しつつ取り付けます。
  
この最後の金具の引っかかり(一番右の写真)が意外と曲者w
こちらに気を取られると、平ベルトが外れてしまいます。


こんな感じにベルトがクロスするので、ゴムバンドそのままの幅ではベルトとベルトが干渉してしまうのです。



●シルバーマニアの電源修理を試みる

こちらは電源が入らない様なので一旦バラシてみましょう。
水濡れか何かで完全にショートした可能性が高いので直せるかどうか分かりませんが、少しだけ見てみようかと思います。


基盤表側はかなり綺麗に見えます。
 
ん~。素人目だと結構綺麗なので、外のモヤモヤの原因になった様な大きな液漏れは見当たりません。


「ショートしてヒューズが飛んでるだけなら良いなぁ~」とか思っていましたがヒューズは切れてなさそう。
取り外して導通テストしてみましたが問題ありませんでした。

電解コンデンサだけ交換してみましょう。
本体も含め、長時間起動した感じが無く、液漏れ等はまったくありませんでした。
レッドマニアの電解コンデンサと比較してもこの差。
 
左がレッドマニアのコンデンサ、右がシルバーマニアのコンデンサ。
シルバーマニアは全体的に綺麗な状態と言う事で、かなり早い段階で動かなくなってしまった可能性はありますね。

基盤清掃と電解コンデンサを交換してみましたが回復しない模様。
コンデンサ交換後は橙色の5Vだけ出ているようです。
何処が悪いのか全く見当がつかないので、この電源修理は自分には早すぎるようだ。



●CZ-800C(シルバーマニア)の初動テスト

メインボードの故障が先で、2次的に電源が破壊されてしまったらと考えると別電源で基盤を動かすのは躊躇われますが
このままではどの道レッドマニアもシルバーマニアも動きません。
仕方ないのでレッドマニアの電源を使って、シルバーマニアのメインボードを起動してみましょう。

いざ、電源ON!!

シーン...
しまった、マルチタップのスイッチ入れ忘れてたw


気を取り直してスイッチON!

  
キターーー!!!!!!orz


電源を入れ直しても同じです。

どうやら、どこかの表示系のICがお亡くなりになってる風でしょうか?
自動でイジェクトしない事から、IPL待ち受けまでは行ってないのでレッドマニアと同じ所で止まっているか
それ以前で止まっている可能性が高いです。
しかし、シルバーマニア本体のボタンからのイジェクトが生きている事からカセット制御系は生きてそう。
とするとイジェクトが効かないレッドマニアはIPLの動作がダメでイジェクトしないのではなく
カセットドライブ、カセット基盤、カセット制御系のどれかが壊れている可能性がありますね。

シルバーマニアはレッドマニアより重症の様で、これは素人の自分には手に負えそうもありません。



こうしてレッドマニアとシルバーマニアの2台を見た感じ、起動する個体もそこそこ存在するのでしょうが
マニアタイプでそのまま使って問題無さそうな個体は、かなりレアかもしれません。
ベルト交換ぐらいで済めばいい方で、バッテリーの侵食からのダメージがある可能性が非常に高そう
ハンダコテを握れない場合は、余命を待つだけになってしまいそうです。
まぁハンダ付けなら当時の中学生で習う事なので、昔を思い出しつつ少し練習すればバッテリーの取り外し自体は可能だと思われます。

しかし、シルバーマニアを見る限り起動時間や保存状態に関わらず周りのパーツにもダメージが及んでいる可能性があり、
状況によっては回路図と現品を見ながら部品を揃えられないと、厳しくなってきそうです。
レトロ機器の特殊なIC関係は基本的に売ってないと思った方が良さそうで
似たものはあるかもしれませんが、同じ型番が無い場合は代替え部品は自力で探すしか無さそうです。


「電源はダメでも、最悪メインボードだけレッドマニアに移植すれば良いやっ♪」
とか簡単に考えていましたが、どちらのメインボードも正常でないとなると色々苦労しそうですorz



つづく

→CZ-800C(X1マニアタイプ)の修理-その4へ


コメント    この記事についてブログを書く
« CZ-800C(X1マニアタイプ)キー... | トップ | CZ-800C(X1マニアタイプ)の修... »

コメントを投稿

レトロゲーム」カテゴリの最新記事