付き添うリハビリ士を見た瞬間から
ああ、今日は筋トレの日だとわかった。
リハビリ士がとにかくマッチョなのだ。
挨拶してストレッチやマッサージをしながら雑談。マッチョの趣味は『ジムで筋トレ』だという。ガチやん。
「先日のレッグプレスしてる姿を見て、一度ハシモトさんに付いてみたかったんです!とても嬉しいです!!」
マッチョは目をキラキラさせていた。
おいおい、ここはマッスルジムかよ。と心の中でツッコミを入れつつ、体の中で気になっている部位を問われたので、
素直に
「今は腕の筋力アップですねぇ」
と答えてしまった。
上下方向、高さのある動作がブレるのだ。
「なるほど…ちょっとお待ち下さい!!」
マッチョはそう言って棚に向かい
目をキラキラさせながら
ダンベルを手にして戻ってきた。
「腕のウェイトトレーニングしましょう!」
いや、俺の知ってる腕のウェイトトレーニングってのは、マシンで全身の筋肉を動かした後、腕は追い込みきれない部位だから補填でやるもんだぞ。いきなり腕のみの筋トレって…マッチョ界ではスタンダードなのかもしれないが、ここはリハビリ界なんだぜ?
心の中で抗議しつつ、黙って従った。
「ではまずダンベルカールから!」
いや横文字で言われてもわからんし。
マッチョからダンベルを渡される。
ずいぶんズッシリしとるなぁ。
っておい、これ5kgあるやんけ。
「遅筋を育てるにはギリギリ10回できる重さで!」
いやそうかもしれんけど、
5kgって棚にある一番重いダンベルやん。
普通3kgと5kg持ってきて、
軽いものから試すやん。
なぜ5kgの一択なんや…。
と心の中でマッチョにツッコミつつ、
なんとか10回をクリア。
「では次にトライセプスキックバック!」
だから横文字やめぇ。
キツ…これも5kgでやるもんなん??
「あ、すんません、3kg持ってきます」
ほらみぃ、最初から3kg持ってこんかい。
ダンベル3kgでギリギリ10回達成。
「素晴らしい!では休憩して、もう1セット!」
マジかよ…いややるけど。
腕をしっかり追い込んだ後の
自主練のエアロバイクは時間の都合でプリンまで。
今日もよく眠れそうだ。