2年前の入院中のこと。
理学療法士から麻痺した左半身が再び動くように施術を受けている間、
私は仕事のことや趣味のロードバイクについて話していた。
「海外出張でインドやタイなど色々行った」
「ロードバイクでツールドおきなわに出場した」
そんな過去の栄光を自慢げに話しながら、
でも心の中では「もう二度とそんな生活には戻れないだろう」と思っていた。
こうやって昔の思い出を語りながら、後世を過ごしていくのだろうと。
でもまさか、脳梗塞になってから
日本国道最高地点に登頂できる日が来るとは!
私は4月19日が誕生日。
桜や菜の花など色鮮やかな季節。
ゴールデンウィークもある。
だから昔から一年で一番好きな時期。
それと同時に2年前に脳梗塞になった時期。
脳梗塞そのものは辛い病気だったが、
リハビリを頑張って良かった。
また自転車に乗れて良かった。
人生色々。
たしかに折り返し地点をとうに過ぎたかもしれない。
でもまだ人生捨てたもんじゃないんだな。
志賀草津道路、国道292号の話に戻す。
殺生ゲートを過ぎると、
まるでグランツールの超級ステージのような景色が広がっていた。
斜度5%ほどだろう。
日光のいろは坂のような路面。
だが、延々と斜度が続く。
ペースを一定に。無理をしない。
あと何km上ればフィニッシュだとか、先のことを考えず、
景色を見ながら、苦しみも楽しむようにして。
ただただ前へ進んだ。
途中、先日の雪の影響で片側通行地帯があったが
路面凍結も無く、無事に国道最高地点へ。
まだ山々はうっすらと雪化粧。
見てない景色はまだ沢山ある。
さぁ、次は何処へ行こう?