写真屋はどこへ

デジタル時代の写真屋の居場所について考える・・・

Photoshop の「生成塗りつぶし」をやってみた件

2024年04月14日 | Mac and Photoshop



                                  <元画像>

 <チャットGPT>が話題になって以来、<生成AI>という言葉があらゆる分野で盛んに使われている。真っ先にPhotoshopでも使われたのは当然のことだろう。写真の合成処理も日々の仕事のうちだが、私の作業は新規に撮影した画像にライブラリなどから選んだ画像を合成する場合が多い。合成にどの画像を使用するかは大抵プランの段階ですでに決まっていて私が関わることはまずないが、入れ込む画像データを星の数ほどあるライブラリーの中から探すのは大変面倒な仕事だ。Photoshopの「生成塗りつぶし」ではこの「見合った画像データ」を探し出し、それを使って瞬時に合成作業までしてくれるという夢の様な機能。さらに商用での使用においても選ばれた合成用画像の使用料も不要とのこと。(一部制限はあるらしい)果たして皆の仕事が楽になるのか、それとも我らの仕事がなくなるのかいずれであろうか・・・

 上の写真は先日散歩中にFUJIFILM X-T2 で撮ったもので元の画像数は約2000万画素。この画像のほぼ対角線右上半分を投げ縄ツールで選択して<生成塗りつぶし>を選択し、文字入力欄に「春の光」と入れてみた。処理時間は計らなかったが、「待つ」というほどの感覚もなく、すぐに以下の3種類の合成済み画像が表示された。

 思い描いていたイメージとは異なるが悪くはない。自分でライブラリーから使えそうなデータを3点探し出すとしたらそれだけで数時間はかかるだろう。3点とも陰影と濃度は違和感なく処理されていて、このサンプルデータくらいのサイズなら問題ないレベルには仕上がっている。

 しかし部分的に拡大してみると(上の画像)合成用に選ばれた画像の解像度は明らかに低いのがわかる。ベースの画像に見合う解像度のデータが見つからなくてこうなった可能性もあるが、全てこの程度だとすれば印刷原稿として問題なく使えるのはA5サイズ以下になろう。実際のところはもう少し使い込んでみないと分からないので、別案で再度やってみるつもりだ。          


FUJINON GF23mmF4 R LM WR

2024年04月05日 | レンズ

 先日、富士フイルム GFXシリーズ用の超広角レンズGF23mmF4 R LM WR(USED)を購入しました。発売されたのは2017年半ばですがその後20-35mmの超広角ズームが発売され、昨年はこの23mmの中古価格が急激に下がりました。しかし最近はその性能が見直されて中古市場では値上がりの傾向でしたので購入を検討していましたが、運良く良品を比較的安価に入手することができました。
 昨日はお天気も良かったので一昨年はPentax Q-S1を携えて行った桜咲く白鳥公園へ「慣らし撮り」に行ってきました。巷の評価に違わず中〜遠景では絞り開放時から隅々まで実にシャープな描写をします。下の画像は絞り開放(f4)での撮影ですが、f8との画像と比べても遜色ありません。これは凄い!

 近接撮影の場合ではどうかと思って撮ったのが最初の写真です。絞りは開放、手前の桜まではカメラから40cm前後の距離ですが、深度は結構浅くて完全にピントが来ているのは花の一部のみ。背景は大きくはボケませんが味は悪くないと思います。

 ※ 以下から原サイズのデータをダウンロードできます(JPG 各 約35MB)

 近接画像 

 中・遠景 


COMMERCIAL PHOTO 12月号

2024年01月05日 | 写真

 写真関係の月刊誌が次々に廃刊していく中で健闘する玄光社の<COMMERCIAL PHOTO>。12月号ではウエディング撮影の特集が組まれた。俗に「嫁撮り」とも呼ばれる婚礼写真は「写真館」の歴史的トップビジネスだ。これを写真館とはあまり縁のない この月刊誌で扱うのはどうもテリトリー侵害のような気がしてならないが、これは現在の読者への事業転換のすすめか、でなければ部数維持のために「写真館」も読者に取り込もうという企画なのだろうか。
 写真のデジタル化が落ち着いた頃、同社刊行の「VIDEO SALON」という専門誌に同期したのか、主な記事がTVCMに振れた時があった。2023年のCOMMERCIAL PHOTO誌はポートレート系の記事が多かった印象だが、ポートレートは商業写真でも重要な要素だ。婚礼特集についても否定はしないけれど、コマーシャルフォトというジャンル消滅の兆候のように思えてならない。

 

 


AdobeBridge のプレビュー異常その後

2023年08月14日 | 日記

 Adobe BridgeのRAWデータのプレビュー異常は3月に改善した筈だったが翌月に再発した。SDカードの読み取り不良も一因かもしれないがどうも根本的な原因はソフトウエアかと思われる。ひと月の間にAdobeBridgeのアップデートがあったのでこれが原因かもしれない。
 WEB上に「<環境設定>で<ソフトウエアレンダリングを使用>にチェックを入れるとよい」という情報があったが私の場合は効果がなかった。

 同じBridgeの設定メニューには他に「CameraRaw環境設定」というのもあるので、これを上掲の画像の設定にしたところプレビュー画像は正常に表示されるようにはなった。この設定はデフォルトではないので何か欠落する機能があるかのもしれないが、とりあえずプレビューの異常はひとまず治まり8月に至る。

 

【新たな不具合】
 数か月前からBridgeよりPhotoshopoのバッチ処理を指定すると上掲の警告文が現れて複数のデータのバッチ処理ができなくなった。「最新バージョン」はすでにインストール済みなのに一方的に叱られてしまうのだ。これに関してAdobeフォーラムには多くの苦情が寄せられていたが、AdobeSystemsはクレームに一切回答しないし、復旧のアナウンスもしない。これはAdobeの既定路線である。数か月の間、数回のアップデートがあった復旧されず、先週のアップデートでようやく警告文が消えてバッチ処理ができるようになった。ならば、もしかすればGPU不具合の件も改善されているのかもしれないと思い<グラフィックプロセッサーの使用>をデフォルトの<自動>に戻してみたところ、この状態でも問題なくプレビュー画像が表示されるようになった。

 Photoshopがパッケージ版の時代、バージョンアップは2~3年に1回といったペースだったと思う。サブスクリプション契約となってからバージョンアップは頻繁に行われるようになったが、最近はその頻度が次第に上がっているようだ。AIの進化への対応や新しい顧客の獲得のためなど、それは理解できることだが、先走りしすぎてバグフィックスが追い付いてないのではないだろうか。
 今回の私のBridgeの不具合は3月より始まり、8月にようやく収束したが、果たして、メデタシメデタシ と言っていいのどうか・・・

 


AdobeBridgeプレビュー画像の異常

2023年03月31日 | Mac and Photoshop

  スタジオの常設カメラをNikon D850に切り替えてからしばらく使っていなかったD800Eを久しぶりに使う用件ができた。テストにパシャパシャと撮ったSDカードのデータをAdobeBridgeで見て驚いた。上の画像のようにサムネイル画像が飛び飛びに異常な状態になっている。こんな画面が出たのは初めてだ。記録設定がRAWとJPGの共に書き込みにしてあるのだが異常が起きているのは全てRAWデータのみ。これらのプレビュー画像の異常なデータをBridgeのCameraRawで開いてみると正常に現像できるデータと全く壊れているデータとあることがわかった。
 D800Eでバックアップ記録しているCFカードのデータには異常がないのでおそらくD800EのSDスロットの接触不良と思われる。確かSDカードスロットの清掃キットという商品があったと思い探してみるとこれがすべて販売停止になっていた。どうやら使用上で不都合があったらしい。ニコンへ修理に出そうかと思ったがD800Eのサポートはすでに終了していた。

 仕方がないのでSDカードの大きさと厚さに合わせてボール紙を加工しアルコールを浸ませてスロットへ出し入れを何度も繰り返してみる。多少改善はされたもののまだ数枚のエラーは発生する。ネットでの検索によればSDカードの接触不良もやはり接点復活剤が有効らしい。KUREの復活剤が手元にあったので、アルコールと同様に厚紙に浸ませて使ってみるとエラーは出なくなった。カメラが原因と思われるエラーは一応これで解消されたはずだったのだが・・・(続く)


2台目のMac Mini M1

2022年12月07日 | 日記

 主に自宅で使用していたMacBookProの代替として Mini M1を購入してから既に1年が過ぎた。スタジオでの画像処理用には先月までアルミ躯体の最終モデルであるMacPro 2012を騙し騙し使ってきたがこのモデルの最終OSのMojaveではPhotoshopの頻繁なバージョンアップについていけなくなっている。Mac Mini M1 を1年間使ってみて4億画素のデータ処理にもたつく事もなくPhotoshopでの静止画の処理には十分な能力があることがわかったのでMacProもMac Mini M1に入れ替えることにした。使用中のMacMiniはメモリが8GBのモデルだが、ネットで16GBの中古品を探すとSofmap系の店舗 で数多く販売されているのを発見、価格もリーズナブルな設定であった。型番から見ると販売品のほとんどは北米モデルで、海外からまとめて輸入された商品のように思われたが今の円相場から考えると昨年までに買い付けたものだろうか。程度は全てBランクの中古品となっていたが手元に届いたものは底部に僅かな擦り傷が一筋あっただけで上々のコンディションであった。USBポートが少ないのでSSDを仕込んだドッキングステーションに載せているが、それでも MacProと比べると驚異的に軽くて小さく、処理能力もはるかに上回る。これで数年はこのままいけそうである。


GFX100sのカメラブレ対策

2022年07月20日 | 撮影機材

 GFX100sを入手してから1年以上が経過しました。以前から絵画の撮影でフィルム時代の4x5~8x10に相当する解像度のデータを要望されていましたが、以前は5千万画素を超える機材はPhaseOneやHasselbladなどしかなく、どれも本体のみで500〜700万円ほどのタグがついていてとてもコストに見合うものではありませんでした。GFX100sの登場でようやく「見合う」価格帯に入ってきました。
 今の所GFX100sを業務で使用したのは絵画の複写のみで出番は少ないです。一般的に印刷原稿で5000万画素以上の画素数を要求されることはほとんどなく、私の現在の主力機Nikon D850の4575万画素でも大きすぎるという苦情がたまにあり、仕方がないので1/3か1/4に縮小して納品することもあります。取り回しの良さやアオリレンズが使用可能なことから普段のほとんどの撮影はD850でしています。
 昨年のことになりますが、フィルム時代の8x10に匹敵すべく、4億画素のデータを生成するGFX100sのピクセルシフトでの撮影を行いました。16枚の画像を連続で撮影し、それを基にPCで専用ソフトを使って画像を生成するものです。専用ソフトではピクセルシフトでのテザー撮影も可能で、撮影データにエラーをがあればその場で検出してくれます。カメラをしっかりと固定した上でまずはテストも兼ねて10点ほどの作品を撮影しましたが数点に不良が見つかりました。ワンショットの1億画素のデータに異常はありませんので原因は連続撮影中のカメラブレしか考えられません。不良の画像は全てカメラを縦位置にした時のものでした。普段はNikonD850で使用しているスタジオスタンドに取り付けたベルボン製アングルチェンジャーに装着したのですがどうやら<GFX100s+GF45-100mm > の重量に耐えられなかったようです。

チェンジャー専用のシューアダプターにはカメラの回転どめのピンがついているのですが・・・

 

 結論は雲台の見直しに余儀なく、専用のL型カメラブラケットを装着するとともに結合面が広いアルカスイス型雲台に変更することにしました。

 

これで縦位置で撮影してもデータ不良は出なくなりましたがこの状態ではカメラのポートが塞がれてPCとの連携ができません。


ブラケットを伸ばせばコードを繋ぐことはできますがカメラは不安定になりブレは確実に発生します。

これは困りました。ネットを探し回った結果、これを見つけました。

購入したブラケットと同じメーカー(SmallRig)の製品で日本の個人ユーザーの発案、設計による商品のようです。意外に安価でした。これでようやく目的が達成できました。

専用ブラケットは多くのメーカーが販売していますが値段がピンキリで、選択が難しい商品です。特に縦位置で使う場合には吟味が必要です。


さくら咲く

2022年03月28日 | カメラ

 昨日、日差しに誘われて久しぶりにカメラを持って外出した。桜はまだ満開ではないからか、白鳥公園は空いていた。持って行ったのは最近入手したPENTAX Q-S1。「コンパクトカメラ」に分類される軽くて小さなカメラで一見おもちゃみたいだが、実は本格的なレンズ交換式「ミラーレス一眼」。上の写真は「01 STANDARD PRIME」という準広角単焦点レンズ撮った1枚。短焦点のレンズだが解放では結構ボケるようだ。軽い軽いカメラはフットワークも軽く撮影が楽しい。画素数は1240万だが、優れたレンズ性能と相まって上位機種に負けない画像を生成する。思い起こせば 以前使っていたキャノン最初のフルサイズデジタル一眼レフ、EOS 1-Ds が当時では「驚異の1100万画素」で、価格が100万円越えだったのが今では懐かしい思い出。


キエフの涙

2022年03月13日 | カメラ

 キエフという都市名を最初に知ったのは世界地図でも社会科の教科書でもなく、カメラの名前からでした。いま私の手元にあるキエフの名を冠したカメラはソ連崩壊後にウクライナの販売店からネット通販で入手した中古品で、価格は数千円だったと思います。元々はドイツ製のコンタックスというカメラですが第二次大戦後の賠償としてソ連に製造設備ごと接収されてキエフで作られるようになりました。私がこのカメラを入手した頃はまだキエフのアーセナル工場ではハッセルブラッド1000Fのコピーカメラ(安いので結構人気のカメラでした)や35mm一眼レフなど製造していて工場の前には直営の販売店もありました。その店舗は数年前に閉鎖されたとも聞きますが事実はわかりません。少し以前のものですが新宿のコンタックス専門店、極楽堂さんの記にキエフの街やアーセナル工場のレポートが載っています。数日中にこの美しい街も工場もみな瓦礫となり多くの市民の命が奪われてしまうのでしょうか。1日も早くウクライナに平和が戻るのを願ってやみません。

 


あけましておめでとうございます

2022年01月03日 | Mac and Photoshop

新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

年賀状の写真にPhotoshopの新フィルター「風景ミキサー」を使ってみました。いや、凄いですね。。奥のフェンスの上部にまで蔦が絡んでいます。この合成画像があっという間に生成されます。植物の解像がちょっと甘いですが、ベース画像にPhotoshopの「プリセット」画像を使ったからかもしれません。「カスタム」から自分の写真も使えるようですのでまたトライしてみようと思います。木漏れ日を作ってみましたが、オリジナルブラシに木漏れ日作成用と思われる葉っぱのシェイプがあるのを初めて知りました。


Mac mini M1 を買う

2021年12月22日 | Mac and Photoshop

 最後に新品のMacを買ったのはもう15年ほども前のことです。その頃はまだMacの性能は安定せず、2〜3年ごとに新機種に入れ替えねばなりませんでした。フラッグシップ機がPowerMacからPacProに代わったころから、MacはPhotoshopを使うのに十分な性能になり、最新型がでるたびにに買い替える必要がなくなってきました。
 ここ数年間、スタジオではMacPro 、自宅ではMacBookProで画像データを処理してきました。MacPro (Mid2012)は性能的には写真編集にまだまだ使える機種なのですが、昨年にこのMacで使える最終OS(Mojave)では新しいPhotoshopが「非互換」となり、ついに代替わりの時代が来たようです。MacBookPro(Mid2014)はOSをBigSurへアップすることで最新のPhotoshopが使えますがGFX100sの1億画素を超える画像の処理には力不足は否めません。最近のMacProはパワーも価格も大仰すぎて、写真の編集程度にはむかない機種になってしまいましたので、M1搭載となったMac mini をMacBookのかわりに自宅用のデスクトップ機として購入することにしました。外部接続のポート数などは少ないので専用のドッキングハブとその中に仕込む1TBのSSDを追加してあります。ハブはサードパーティ製ですが値段(6,898円だった)の割に外装、機能ともよく考えられていて良い買い物でした。
 Mac miniのメモリ(増設不可)はこれまで使ってきたMacBookProと同じ8GBですが起動も早くて快適に動きます。コンパクトな躯体が狭いデスクには有難いですね。メモリにもう少し余裕を持たせ、外部ストレージとの接続を工夫すれば、現在使用しているMacPro(3.2 GHz Quad-Core Intel Xeon/メモリ56GB)の代替機としても十分あるいはそれ以上かと思われます。近々にMac mini M1の新型も噂されているようですが、MacProの入れ替えは暫くは様子を見てからにしましょう。



『スーパー解像度』と『Pixel Shift』の4億画素を比較する

2021年10月28日 | Mac and Photoshop

 今年Adobe Photoshopに追加された機能の一つに「スーパー解像度」があります。画像を面積比で4倍に拡大する機能で、GFX100sのPixelShiftは16枚の画像を連続撮影して4倍の画像を生成するのに対して、「スーパー解像度」は1枚のRAWデータから4倍の画像を生成します。CameraRawのメニューではなぜか『強化』という名称ですが、上の写真は前回の掲載写真をPixelShiftで撮影した時の16枚のソース画像うちの1枚をPhotoshopで『強化』したものです。前回の画像と違って1枚の写真ですから動くものもそのまま写っています。
 これまでphotoshopでは画像拡大についてなんども改良がされてきましたが今回の「スーパー解像度」は別格です。Pixel Shiftの生成画像と比較しても、遜色がないといっても良いかもしれません。やや滑らかさに欠ける感はあるものの、シャープ感はPixelShitを上回っていて印刷原稿としては十分な画質です。Pixel Shiftの場合、三脚の固定による複数枚の撮影と専用ソフトウエアによる処理の手間、そしてなによりも動くものには使えないことから「スーパー解像度」の利用価値は大きいと思います。

上の「強化」済み画像のフルデータはこちらのGoogleDriveからダウンロードできます。


GFX100sの4億画素作例 追加

2021年10月14日 | 撮影機材

 先回のサンプルは全体画像が小さ過ぎて感覚的に捉えにくいかもしれません。今のところ屋外へ撮影に出かける機会がなく、このフルデータの画像は2階の窓から適当に撮ったものです。この画像には動くものが含まれていてPixelShiftには向かない被写体です。撮影中に通過していった車両や、風になびく植物などがギザギザしたシルエットになって写っています。使用レンズは <GF50mmF3.5 R LM WR>。実データはこちら(GoogleDrive)からダウンロードできますが容量があるのでご留意ください。(約90MB/展開後約1GB)

 


富士フィルム  GFX100sの4億画素作例

2021年10月05日 | カメラ

 業務上の撮影でで5千万画素以上の画素数が必要とされることはほとんどありません。普段私がスタジオで使っているNikon D850(4689万画素  )でもほとんどの場合オーバースペックで、撮影画像をわざわざ数分の一に縮小してお渡しすることもあります。依頼を受けた撮影で5千万画素以上の画像が必要とされるのはほんの一握りの用途に限られます。実際、販売側もこのクラスのカメラの用途を大型屋外パネルの原稿や美術品等のデジタルアーカイブの作成などに主眼を置いています。富士フィルムはもともと写真館向けの需要が多かったからでしょうが、銀塩時代の8x10カメラに匹敵すると解説し百人を超えるような集合写真の用途をうたっています。このカメラでA4サイズの印刷物内に収まる大きさの写真を撮るのは、いわゆる「大根を正宗の名刀で切る」ようなものでしょうか。

 私が携わっている撮影で現在この画素数が必要な仕事は1案件だけですが、その用途は複製版画の製作です。銀塩からデジタルに移行後、サイズによってはこれまでの8x10や4x5のポジフィルムに匹敵する画質を確保できなくなり、なんとかならないかといつも相談を受けていました。しかし1億画素を超えるカメラを準備するにはまだ約500万円以上の出費が必要な時代で、対応は難しい状態でした。「時代」といっても、それはたった1〜2年前までのことです。

 複製画のサイズはまちまちですが大きなものは長辺が1mを越す作品もあり、原寸複製では1億画素でも不足しますので、GFX100sの「ピクセルシフト」によって4億画素の撮影ができるのは大きなメリットです。本格的な撮影はまだこれからですがテストとして数点を撮影したうちの1点を紹介します。(トップの画像/縮小してあります)

 原画の大きさは728x1030mmで、ピクセルシフトで撮影した画像解像度は原画サイズの複製画を製作するのに十分な余裕があります。解像度はそのままで部分トリミングしたものをここ(google drive 約6.8MB)にアップロードしました。

直販をされている<Emerald Forest> では複製画だけではなく、種々の画集や関連作品を以下のサイトで扱っています。よろしかったらご訪問ください。

HIROO ISONO WORKS


富士フィルムシステムの準備中

2021年06月27日 | 日記

  

  富士フィルムから一億画素を超えるミラーレスカメラ"GFX100s"が発売されました。”マルチピクセルシフト”の機能により静止物に関しては4億画素の画像作成も可能です。しかもこれまでのこのクラスのカメラの価格に対して挑戦的な値付けがされました。主に北欧の企業ですが、PhaseOneやHasselbladでは以前より1億画素を超えるカメラを販売しています。しかしどれも500万円以上という非現実的な価格でしたので、このGFX100の登場でついにデジタルカメラの新しい時代が始まったと言えましょう。いや、富士フィルムはすごい企業です。
 時代がフィルムからデジタルに移行してからずいぶん年数が経ちましたがその間に「これまで撮ってきた4x5リバーサルフィルムに匹敵する大きな画像データが欲しい」という要望が時々ありました。しかし使用中のニコンは最新機種とは言え現在ようやく約4,600万画素であり、数カットを分割撮影してつなぎ合わせるという作業を経ないとと作れませんでした。被写体は静止物に限りますが4億画素のデータでは350dpiでも畳1畳を越えるプリントサイズも十分にカバーできます。
 私が仕事で使っているのはニコンのシステムですが、私的には富士フィルムのXシステムのX-Pro1とX-T1を以前から愛用していてXシステムには馴染みがあり、よって迷わず購入することにしましたが、発注時には注文が殺到していたため手元に届くまで1ヶ月ほどかかりました。まずはソフトウエアから周辺システムの準備をしていきます。