写真屋はどこへ

デジタル時代の写真屋の居場所について考える・・・

中華機材の日本語説明書

2020年08月21日 | 撮影機材

 スタジオの移転後、多くの照明機材を中華製品で切り替えました。地方ではプロ機材店というものが消滅してしまったこともありますが、それよりなによりとにかく「安い!」からです。操作が複雑な製品については当然ながらマニュアルがついていますが、言語は中国語と英語のみのものがほとんどで、たまに仏語、独語、西語などが加わっても日本語はまずありません。このことから日本はプロ機材のマーケットとして重要視されていないことが分かります。説明書の英語に難解な表現はないので、読めば大体わかりますが操作がややこしいところなどはやっぱり日本語のほうが素早く理解できます。

 写真機材ではありませんが、先月ドライブレコーダーを購入しました。中華人民共和国製。前後カメラがついて5千円以下! 民生品は販売競争が激しいためか、同梱のマニュアルには日本語も記載されています。しかしそれを読んでみると意味不明の部分が多く、どうもgoogle翻訳などが生成した文章をそのまま載せているようです。結局、英文を読まないと理解できず、日本語のページは客寄せパンダのようでした 。日本語は世界ではマイナーな言語なので周囲には読める人が誰もいなくて、多くの中国製品の日本語マニュアルはこの様な状態ではないでしょうか。救いは日本での販売取扱店からgoogle driveを通して正しい日本語版が配布されていることでした。

 

 コロナ騒動のなか、しばらくブログもお休みしていましたが今年は盆休みがあまりに長く、暇つぶしに以前購入したSentry ST522  という「色彩照度計」の日本語マニュアルを作りました。この製品は中国製ではなく台湾製ですが説明書は英文のみでした。
Google Drive

 

 まだ時間に余裕がありましたので、Godox V1と連携して使うワイヤレスコマンダーX1t(ニコン用)の日本語化にも手を付けました。時間的に全ページの日本語化はできませんでしたが操作上主要な個所はほとんど処理しました。また暇があれば全頁を完成させたいと思っています。

※追記:後日、ほぼ全ページを和訳しました。「CustomFunction」や「Operation Method」などの箇所では何が目的か理解できない部分もありましたが、実際に操作してみれば分かるのかしれません。

GoogleDrive

 

 昨年、GodoxのクリップオンフラッシュV1(ニコン用)のマニュアル全ページを日本語化しましたが、 良くできた X1tのマニュアルと比べると、V1のは編集が粗削りで、英文の説明通りに操作できない個所も見受けられました。キャノンやソニーなど数機種用のマニュアルを一度に急いで編集したような印象で、校正に手間どりました。この冊子はレイアウトが縦長だったのでスマホで読みやすい形態のPDFにしています。
GoogleDrive

 


続:MacPro 光学ドライブのシャッターが閉まらない問題

2020年02月05日 | Mac and Photoshop

 

一昨年の冬、MacPro(Mid 2010)の光学ドライブのシャッターが閉まらなくなり、その時は簡易的な処置で回復したのでしたが一年経った昨年末ににまた閉まらなくなってしまいました。前回とおなじ方法では全く改善しないのでどうも他に根本的な問題があるようです。分解してみないと何が原因なのかわからないので、この分野で有名な「Vintage Computer」の記事(YouTube)や、先人のブログなどから分解方法を探しましたがなんの情報も得られませんでした。ここは機械的な構造部分であり、もし失敗してもなんとかなるであろうと進めてみたのが今回の結果です。以下は自身の備忘録としての記載で、お勧めはいたしません。

 分解した印象は、Appleらしいというか、凝りすぎですね。ドライブが開いた時に扉を収納するための「戸袋」が内部の見えないところに外装と同じメッシュのアルミ板で作られていました。しかし、これが何の役に立っているのか全く不明。扉は2枚のメッシュ板に挟まれるため、扉を上下に開閉するプラスチックの部品を取り付ける時に微妙な調整が必要になります。この調整を左側のネジ1本で行う構造のようです。メッシュ板に歪みがあると調整は大変困難なことになります。私が分解した時には戸袋の板が少し変形したため何度やってもうまくゆかず結局のところこの戸袋を切除しました。アルミ製ですので数回折り曲げてやれば簡単に切除できます。取ってしまってもなんの問題もありません。
 作業で一番リスキーなのはプラスチックのフレームを外す時です。本体を寝かせて作業した方が良いしょう。先に扉の裏のネジ4本を外し扉とフレームを分離します。左側の1本だけのネジを外し、フレームを奥に強く押し込みながらフレームを右に開きます。この時に戸袋のアルミ板が引っかかり曲がってしまうかもしれませんが、切除するので構うことはありません。戸袋のアルミ板がフレームに干渉していないのを確認したらフレームを引っ張り出します。根元は楔形の2本の爪で引っかかっていて容易には外れません。ドライブ室の奥の平板アルミパネルも外した方がやり易いでしょう。なんとか外れたらあとは戸袋の板を切除し、先に扉をフレームに取り付けてから全てを元に戻せば完了です。

  もうこれで冬が来るたびに開閉を心配することはないでしょう。

 

 

 


あけましておめでとうございます

2019年12月31日 | 日記

明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。

ニッカはニッポンカメラの略語。キエフは当時はソ連だったウクライナの首都名。このキエフは10年ほど前にウクライナの店から数千円で購入したものです。Kievカメラの始まりついてははこのWikipediaに載っています。


X-Rite「 i1 STUDIO 」による DELL U2410 再設定

2019年09月08日 | Mac and Photoshop

 数ヵ月前、Photoshop CC からのカラープリント出力で特定の色再現に不具合があって、キャリブレーター「colormunki」のソフトウエアから「既存のプロファイルの最適化」を行おうとしたところこれが作動しなかった。MacのOSを<Mojave>にアップデートした直後だったのでこれは多分OSが原因だろうと、X-rite社のサイトを確認したがアップデートの記載はなく、サポートに電話で問い合わせてみることにした。なかなか繋がらないのではと思ったけど意外にあっさりと繋がり、状況を説明するとMojaveにはX-riteの現行モデルである「i1 STUDIO」のソフトウエアが対応していて、これがcolormunkiでも使用可能とのこと。教えられたURLからダウンロードしてプリンタのキャリブレーション最適化は無事解決した。サポートでは正規ユーザーであるかどうかの確認はあったが電話に出た方(男性)の対応は親切で好印象だった。X-riteはユーザーサポートの良い会社のようで喜ばしい。使用中のNECのモニターはハードウエアキャリブレーション対応機であったのでその時は「i1 STUDIO」によるモニターキャリブレーションは必要がなかった。

 最近、自宅で画像編集する時は 13インチのMacBook Proを数年前に購入したDELLのU2410に繋いで使用している。このMacBookもOSをMojaveに更新しているので、先日 <i1 STUDIO>を使用して再キャリブレーションをしたところ白っぽい画像のハイライトが飛んで表現されなくなってしまった。モニター本体の設定を一つづつ見直したところ、U2410には「シャープネス」という設定があり、このデフォルト値が<50>になっていて、これを<0>にすればハイライトの表現は改善されることがわかった。コントラストを上げてシャープ感をあげる仕組みのようだ。

 以降、私は以下の手順で調整をしている。

DELL U2410を「i1 STUDIO」でキャリブレーションするには前もって本体の設定を変更しておく必要がある。 

カラー設定からプリセットモードを AdobeRGBにしておく。

ガンマを<PC>にしておく。

輝度を最小に、コントラストを最大にしておく。

<ディスプレイ設定>から<シャープネス>をゼロにしておく。

変更すべき項目は以上で、以下のDDC/CI 、PIP設定などはデフォルトのままで良い。 

 

こののち<i1 STUDIO>に従ってキャリブレーションを行う。
調整中、モニター本体の調整ボタンで輝度を調整する指示が出るのでこれに従う。 

これで現在のところ、問題は起きていない。

 


Godox V1 N の英文マニュアル

2019年07月27日 | 撮影機材

 V1が到着した翌々日、Amazon に同型機がAmazonアウトレットとして10,000円ほど値引きされて出ているのを発見。Primeで翌日に入手。箱は少々凹んでおり、大きくAmazon Outlet のシールが貼られていたが本体には何の問題もなく、早々に2基体制が実現。
 V1は機能は多く操作もやや複雑だが手順さえわかれば使い勝手は悪くない。本体の作りも価格以上に感じる。連続発光の耐久性を問題視する方も多いが通常の使用では十分な品質だと思う。

先日、スタジオ外で多灯シンクロでV1を使用する機会がありましたので感想などを少し記しておきます。

V1を購入してまもなく、乗用車の内装撮影の依頼がありました。当初スタジオ撮影の予定だったのが、結局ディーラーのショールームで展示車を撮影することになり、それも営業時間内での撮影のため短時間で済ます必要がありました。大型ストロボの使用は難しく、購入した2基のV1と、既存の2基のクリップオン(Metz製)+無線アダプターで撮影を進行することにしました。複数台によるクリップオンでの撮影では、ワイヤレスシンクロやライティング調整に不安が多いのですが、V1とX1Tの使用では、2車種の複数カットの撮影をスムースに終えることができました。ライティング調整にはV1と一緒に購入したアクセサリーキットのバーンドアがとても役立ちました。車両はともに黒い内装だったので光量不足の懸念がありましたが、感度をASA800まで上げればクリップオンのバウンスライトを主光源として使用しても必要な画質を確保できることがわかりました。これは主にカメラの高感度性能のおかげではありますが、何よりクリップオンのコンパクトなボディが狭い車内での照明手段としてはとても役立ちました。

 CPも含め、とても良い製品だと思いますが、残念なのはマニュアルです。私のはニコン用で、日本語版がないことはさて置いても内容が実にわかりにくいのです。 発売を急いだからなのか、編集途中で出稿してしまったような印象。説明不足で操作がわからない箇所が多く、解読に苦労しました。(特に49Pの部分は説明が間違っていると思います)
操作上大切な機能なのに、記載されていないものもあリます。
●TCM(TTLとMのダイレクト切替)
●発光量調整での設定ダイヤルの上下押し(Mモードでの発光量設定で、回すと1/10、上下に押すと1/1絞り分増減。TTLでの補正ではどちらでも1/3)

 このマニュアルでは折角の機能もスムースに使えないので、私は自身で使うための日本語マニュアルを作りました。google翻訳を下敷きにし、図版も含めて全ページを作成。最終的にはロケ先でも読めるようにリサイズしてスマートフォンに収めました。元々レイアウトが縦長なのでスマホ向きになりました。

正規代理店であるケンコー(KPI)から販売されるようになれば正しい日本語マニュアルが付いてくると思いますが、Profoto訴訟の問題がありケンコーから正規販売されるかどうかは今のところ微妙な状態です。

2020.08.21 マニュアルについて<追記


Godox V1 クリップオンフラッシュ?

2019年07月02日 | 撮影機材

 クリップオンストロボとはカメラの上に直接取り付けて使うフラッシュライトで、スナップ写真の撮影にはとても役に立ちます。これをスタジオで使う大型ストロボのように使うことができたらいいなとみんな思ったことでしょう。小さくて軽い、電池だからコードがいらない、カメラの機種に対応していれば自動で露出を調整してくれるなど、長所がたくさんあります。ライティングの状態がよくわかない、光量が小さい、電池がすぐなくなる、などの欠点はありますが、現在はデジタルカメラの高感度性能の向上、リチュウム電池の採用などで欠点は克服されつつありますし、スタジオライトのように使用するためのアッタッチメントも数多く販売されています。
 私はクリップオンをロケ先の補助光としてのみ使ってきました。ストロボをカメラから離して使う時はカメラからの赤外パルスでシンクロさせるのですが、離したストロボがカメラから見える位置にないとうまく発光せず撮影の途中で使用を断念することも度々でした。最近では受信に死角の少ない電波による制御方法が主流になってきていて、過渡期の製品として赤外パルス式のストロボに受信機を付けて電波方式にするアッタチメントも販売されていまます。私は半年ほど前にこれを購入しましたが、使ってみると、使う前にストロボを2階建てにする手間が要る、重心が高くなり安定が悪い、TTLの動作が不安定など、とても使いやすいとは言えませんでした。

 ニコンの純正品、電波制御のSB-5000の購入も検討しましたが1機、約7万円・・・2機とコマンダーで約15万円・・・。たまにしか使わない私には手が出ません。で、先に購入したGodoxの電波トリガー X1T-Nで使える機種を検討したところ、最近発売されたばかりの GodoxV1 が目にとまりました。Profoto A1のコピーだと訴えられているようでしたが製品自体の評価は悪くなく、Amazonでは数社から出品されていました。価格は29,900円でどの店舗も皆同じ。私は以前FalconEyesのLEDスポットを購入した店舗に発注しました。中国からの発送ですが10日ほどで届きました。

(V1のレポートはまた次に・・)

 

  

 


COMMERCIAL PHOTO 2019/7へのオマージュ

2019年06月14日 | 撮影機材

 「COMMERCIAL PHOTO」 は玄光社が出版している商業写真家向けの月刊誌です。私は愛読してもう50年近くになります。バブル崩壊、リーマンショック、写真のデジタル化などの荒波を超えて出版を継続してきた本誌にはリスペクトの念を禁じ得ません。一時は動画関連の記事ばかりで商品系の私などは読む記事がほとんどない時代もありましたが、最近はこの雑誌の標題に沿った記事も以前より見受けられる様になってきました。
  7月号の記事に「Still Life Imaging/素晴らしき物撮影の世界」という記事が6頁にわたって掲載されています。”ものどり”は商業写真のいわば根幹なのですがまことに地味な世界で見栄えがせず、一般的には”誰が撮っても大差ない”といった認識のため、記事として取り上げられることはあまりありませんから、この企画は本誌ならではのものでしょう。
 今回は私が長年悩んできたスポットライトに関する記事だったので興味を持って読ませていただきました。数本のガラスボトルを並べてその影を平行に描写するという企画で、影の表現には光源は何が良いかを考察しています。記事の作品に使用されたのはKPIが扱う DEDOLIGHTという製品で、私は初めてその名を知りました。価格は私の所有するFalconEyesの2〜3倍の様です。

 COMMERCIAL PHOTO誌及びこの記事へのオマージュとして、記されたデータになるべく近い条件での撮影を試みました。記事の被写体は香水などの色彩が美しい瓶でしたが私のはあり合わせの普通のコップです。商品の背がやや高いのでライトの高さは記事より高く2.9m 、被写体とライトの距離は影をできるだけ平行に描写するために記事では7mになっていましたが、私のスタジオの大きさからは5mが限界でした。この記事ではライトの光軸を絞って使用していますが通常のレンズスポットは光軸は絞らないほうが影はシャープに出ます。これはDEDOLIGHTが非球面レンズを使用している効用なのかもしれません。私のLEDスポットでは照射角は最大にしています。
 背景は白のマットアクリル板。RAW現像時のレベル補正のみでレタッチはしてありません。距離不足で影がやや広がり気味ですが、FALCON EYS の影の表現力は、まずまずの結果の様です。

          使用機材:FalconEyes1600TDX / Nikon D800E /PC-E Nikkor 85mm f2.8 

 

 


タブレットPC 再構成

2019年04月15日 | 撮影機材

 スタジオ外でのティザー撮影にタブレットを使い始めたのは2013年の春のことでした。それまではMacBookProを使用していましたが住宅施工の撮影などでは場所移動の際に大変面倒でしたので、当時ようやく価格の下がり始めたタブレットを購入しました。約10インチのDELL製品で50,000円ほどだったと思います。ロケには大変重宝し数年に渡って使用しましたが、Windows10へ転換の時からサポートがなくなり撮影用アプリのアップデートもできなくなってしまいました。その頃は「中華タブレット」と呼ばれる安価な小型タブレットが数多く出回っていましたのでこれに切り替えましたが、これも2年ほどのちにWindows Updateをしたとき不具合が発生しました。これ以降、WindowsUpdateは肥大化して行きメモリ容量の小さい機種では更新ができなくり安価なWindowsタブレットは市場から姿を消して行きました。価格から言えば、まあ2年も使えれば良いのかもしれません。ここまでの数年はタブレットPCの黎明期だったのでしょうね。

 昨年秋に楽天市場に半額で出ていたASUSのTransBookのリファビッシュ品を見つけて、3代目のタブレットとして使用を始めました。メモリ容量もまずまずで昨年吹き荒れたWindowsUpdateの嵐も難なく乗り越えることができましたから少なくとも3年以上は維持できるのではないかと思っています。処理速度は決して速いとは言えないものの、その分消費電力は少なく、独立したUSBポートもあり、スマートフォン用のモバイルバッテリーで充電しながら使用できる等、ロケ先でのティザー用途として使い勝手はとても良いといえましょう。着脱式のキーボードも付いているのでノートPCとしても使用できます。

 私は現在業務上ではニコンユーザーですので、ニコンの「Camera Control Pro2」と「ViewNX-i」を使用しています。このアプリケーションはMacOS か Windows でしか使えません。Windowsタブレットを使う理由はここにありますが、実は「Camera Control Pro2」も「ViewNX-i」もタブレットには正式に対応していません。どちらもタブレット上で動作は可能ですがViewNX-iでは不具合も生じます。

 上がViewNX-iの画面ですが左側のフィルムストリップのスクロールがタブレットのタッチ操作ではできません。右上のアイコンで拡大はできますが画面をドラッグで移動し部分を確認することはできません。これらの操作にはマウスを使わなければなりませんが、三脚に取り付けたタブレットではとても無理で、そのうちにアップデートされるのではと待ちましたが6年が過ぎても非対応のままになっています。


 

もうニコンからタブレットへの対応は無いでしょうから何か策を講じようと思い、小型のタッチパッドを見つけました。(1,999円)それとバイクにスマートフォンを取り付けるためのクランプもありました。(1,299円)このクランプはDELLの時からタブレットを三脚に取り付けるのに使用しているものと同型のものです。

 

ASUSに代えた時にタブレットの支持金具だけを取り替えています。この金具の裏面にはスマートフォン用のクランプがあり、ここにモバイルバッテリーを取り付ければ長時間の連続稼働が可能になります。

 タッチパッドはUSB有線接続で操作もそんなに使いやすいとは言えませんが、三脚に取り付けができるような小型のものは他にはなく、また何より安価で、これで一応の目的を果たすことができるようになりました。 

 

 


LED フレネルスポット 第二ステージ

2019年02月08日 | 撮影機材

 まあまあ良いんではないかといった結果だったASHANKSのフレネルスポットに続き、その機種選択時に候補に上がっていたFalconEyesのスポットも入手しました。試用の結果としてはASHANKSより機器としての実力は確実に上で、また価格差は13,000円ほどなので最初からこれにすれば良かったのですが、実績のわからない機材の選択は価格とのバランスを考慮すると大変難しいことを実感します。
 地方都市ではプロ機材店というのは随分前から姿を消し、今では現物を見てから機材を選択するといったことは難しくて、結局は「買ってみるしかない」ということになるのですが、この辺りの周辺機材は 100% 中国製で、銀一などの取扱品に比べると価格は大体1/2から1/4なので選択結果がよくなかったとしてもその機器はそれなりの役に立ちそれほど大きな損失にはなりません。ただ、これらの機器はAmazonでしか取り扱いがなく、供給も価格も不安定だし、アフターサポートも期待できないことを割り切らねばなりません。

 しかし中国製品の品質の向上と進化の早さには感服させられるばかり。この製品でも集光レンズが従来の 「フレネルレンズ」 ではなくプラスチック製の 「ハニカムレンズ」 というものに変更されていました。

 昆虫の複眼のような構造で、このレンズの恩恵なのかどうかは定かではありませんが、フォーカスを絞っても中心部の色温度が変化することもなく、光軸周辺の色調に違和感も感じません。フレネルレンズを使用した旧モデルもAmazon内の他の販売店では同じ型番で出品されているので、ハニカムレンズに変更されたのは比較的最近と思われますが、中国から手元に届いた商品は購入した商品のページに掲載されていた写真より更に変更・改良が行われていました。

  DMX512という舞台向けのコントロールシステムがついているのですが専用の物理的DIPスイッチがパネルから消え液晶パネル内で操作する方式に変更されていました。まあ、私は使わない機能なので関係はないですが。またランプのイラストに2.0と書かれたシールが貼られていてランプがバージョンアップされているという事のようです。

 色味についてはNikon D850の5500Kを基準とすればややマゼンタ寄りに思えます。ASHANKSも同じ傾向でしたが程度はより軽微で、補正フィルターはLEEの最薄色 #278(Eighth Plus Green)で改善されます。ただこれも「sh50Pro-S」と併用した場合の値なので、単独使用の場合や、5000Kの設定ではこのままでも良い範囲でしょう。私はデイライトでしか使わないのでそれ以外ではテストをしていません。この機種では光量の調整に加えて3000K~8000Kの間の色温度もダイヤルノブで無段階に調整することができますが色味の調整は本体ではできないのでこれはフィルターで補正することになります。ちなみに、ビデオ業界の定番ブランド、ARRIのLEDライトにはグリーン/マゼンタを調整するダイヤルも付いているらしいですがこの製品の価格はわかりませんでした。でもそれを調べる気は私にはありません。

  私は光り物の撮影が多くてフィルム時代のスタジオではづっとタングステンの照明機器を使用していましたが、デジタル撮影への転換後はコストの問題もあり、蛍光灯照明へ移行しました。(だって、RDS電球の寿命は極めて短く、チリチリという音とともに球が切れるとその度に10,000円前後の金額が飛んで行くのです)しかし、蛍光灯照明にはフレネルスポットライトに該当するものはなくて、擬似的な器具を自製するなどして凌いできたのですが、撮影用照明機器もLEDによる新時代になり、フレネルスポットも登場してようやくタングステン時代の照明環境の再現ができるようになりました。
    

   ※購入したAmazon内のAndoer.jpでは現在品切れのままになっています。


ASHANKS LEDスポットの色調整

2018年12月17日 | 撮影機材

 今年春に購入したASHANKS LEDフレネルスポットの色温度はスペック上で5,500Kということになっている。メーターで計測すると数値はほぼ合っているのだが、どうもマゼンタが過剰気味のようだ。単独で使用するのならこのままでもよいがSh50Pro-Sなど他のLEDランプと合わせて使用するのには問題があるので、補正フィルターとしてLEEの#246を選び装着した。これ1枚で補正はおおむね良好なのだが中心部と周辺部の色調には結構な差異があり、ライティングの状況によっては問題が生じそうだ。色差の原因を探ったが、LED発光部の構造的な問題か、あるいは段々構造のフレネルレンズによるものか、どうも良くわからない。フォーカスを絞ると中心部の色温度が高くなるのも同じ原因かもしれない。

 この色調の違和感を軽減する手軽な方法はやはり油性マッキーだった。フレネルレンンズの円に沿って最外周の1〜2周をブルーで、中心部の1〜2周に補色のイエローかアンバーで線を描くことでかなり和らぐ。相手がガラス製なので何度でもやり直しができる。

 健全な補正方法とは言えないが、しばらくはこんなところで騙し騙し使うことにする。撮影用LEDランプはまだ発展段階なので新製品では色々な不具合も順次改善されてくるだろう。

 この補正したスポットを使ってテスト撮影をしてみた。光るべき部分と光ってはいけない部分が混在するこのような被写体にはフォーカス調整のできるスポットライトは大変有用だ。2灯ライティングだが補助光は標準スクープレフにハニカムグリッドを装着しスポットにしている。ハニカムグリッドでのスポットはグラデーションが滑らかで良いのだが光量がかなり低下するので、メインスポットの光量を落としてバランスをとった。ダイヤルだけで目視での光量調整ができるのもLEDスポットの便利な点だ。


続 カラーメーター/ランプの個体調整 

2018年11月03日 | 撮影機材

 先月入手した 色彩照度計Sentry ST522を色温度計として使い始めた。主な用途はランプを灯具に取り付けた時のばらつきの補正。電源を入れると常に測光中なので数値の下2桁が常に変化するけれどボタンを押せば固定する。色温度とは別に色調として色座標の数値が表示される。セコニックのスペクトロマスターでは色度図も本体に表示されるようなので解りやすいと思うが、もちろんこのメーターにそんな機能はない。この数値から図を見て判断することになる。その基準についてはこちらのサイトが詳しい。

 色度図には座標軸の違うxy色度図とu'v'色度図があるがSentry ST522はどちらの数値でも表示できる。

  xy色度図  

u'v'色度図

 Sentry ST522は撮影用として作られた機器ではないので本体と受光部が分かれていて測定時に両手が必要なのはやや不便だが撮影用機材としても十分に使えると思う。

付属マニュアルについての追記>2020.08.21

 タングステンランプは電圧を変化させることで色温度を微調整していたけれど、LEDや蛍光灯では当然それは不可。各ランプの温度差を調整するには照明用フィルターを使うことになる。海外ブランドのROSCO かLEE が現在では主流のようだ。LEEの製品を以前蛍光灯を買ったことのある「アカリセンター」で購入した。色選択に見本帳は必須だが LEEのは輸入代理店に依頼する必要がある。(要送料) ROSCOは「銀一」で扱っていてサンプルは無料で送ってくれる。色数はLEEの方が圧倒的に多い。

                     
 照明器具用のフィルターにはカメラ用のような淡色のものがほとんどない。使用中のLEDソーラースポットにはCC10G以上の補正が必要だったのでちょうど良いのがあったが、灯具の差による補正の用途にはどれも濃すぎる。カメラ用フィルターのCC0.125〜CC05くらいが欲しい。結局は以前からストロボ光のちょっとした補正に使っていた油性マーカーを使った。

最近の「マッキー」は原色だけでなく中間色も発売されていて便利になったがこの用途に限って言えばもっと淡い色、水彩調のものが欲しいところではある。今のところ、点描で着色するかアルコールなどの溶剤で薄めるかしているが、目指す色を作るのはなかなかに難しい。

※ ROSCOフィルター見本帳について(2019/1/20 追記)
 ロスコのフィルターは上記の「SuperGel」以外に「CineGel」もあるのを後で知った。これを加えると色数はLEEより多くなる。商品は銀一でも扱っているのだったがサイトにはスーパージェルの見本帳についての記載しかなく注文できなかった。

(銀一のサイトの画像)

ネット上で探したところ「日本コーバン」という輸入商社が扱っていて、見本帳はお願いするとすぐに送っていただけた。(無料)直営のオンラインショップもあるのだが残念ながらここでロスコの製品は売っていないので銀一で。

 

  


MacPro 光学ドライブのシャッターが閉まらない問題

2018年11月02日 | Mac and Photoshop

 9月から使い始めたPhotoshopCCが先月2019バージョンになった。バージョンアップに追加の費用が要らないのはいいのだが、MacOSがSierra以上でないと対応できなくなり、私がメインで使っているMacProはついにVintage PCの仲間入りになってしまった。2009年製だから仕方ないといえばそうなのだが、なんとその翌年の2010年モデルはSierraおよびHghSierraに加え最新のMojaveもパーツの追加で使用可能ということである。
 ということで、相場の上がらないうちにと思い先月リース落ちの2010年モデルを購入した。外装も綺麗で程度はよく作動も問題なかったが、最近朝晩冷え込むようになってきたら光学ドライブのシャッターが閉まらなくなった。この現象は私の歴代MacProでも度々起きていて、裏面から手で何度も開閉するとおさまったりしていたのだが、こいつは重症らしくどうやっても改善しない。使われていない下段のシャッターも手で開けると戻らない。ネットで調べてもこれといった改善策は見つかっていないようだ。最近は光学ドライブを使う機会も少なくなり、皆さんあまり気にしていないようでもある。私は写真データをディスクに焼いて納品することがまだ結構あり、開けっ放しは嫌なので何か良い方法はないか探してみることにした。
 ファイバースコープで内側の構造を覗いてみた。

中央の弓形の部分がトレーで押されるとギヤでシャッターが開く仕組みになっている。これがシャッターの左右にあり、全開になると動作が重くなり戻らなくなってしまう。他のMacProは全域で軽く動くのだがこのMacProだけは全開で固まってしまう。キア部分には汚れも見えるので埃と油で固まってしまうのかと思い洗浄してみたのだか動きは多少軽くはなったものの自動で閉じるまでには至らなかった。
ん〜〜。

 気を取り直して、開きっぱなしの状態でシャッター全体の外枠をあちこち押してみると、反応する箇所を発見した。赤丸のところだ。
 

この周りのプラスチック枠を奥に押してやると開いたままのシャッターがカシャンと閉まった。気温が下がるとプラスチックが硬化するかあるいは金属が伸縮してここの回転が悪くなるのが原因のようだ。ヘアードライヤーでこの部分を暖めて赤丸の周辺を押し込んで凹ませてやるとみごと解消。全域でスムースに動くようになる!
 ただこのままだとプラスチックは元の形に戻ろうとするので、押し込んだ形状を固定するためには冷えるまでしばらくクリップなどで固定しておいた方が良いようだ。ここを常にスムースに動かすには一定の「アソビ」が必要だが、閉まらないMacProは部品に製造時のばらつきがあるのだろう。

続編があります。


カラーメーターのこと・Sentry ST522

2018年10月16日 | 撮影機材

 撮影器材としてのカラーメーターとは色温度計のことである。スタジオ撮影での主たる光源をタングステンから蛍光灯に変えてからもう既に10年。その頃からカラーメーターはとんと使わなくなった。というより、使えなくなった。太陽光、フラッシュライト、タングステン光は計測できても蛍光灯は正しい値が出ない。スタジオでカラーメーターが必需品だったのはタングステンランプの電圧を変えて色温度を調整するためであったので、電圧で調整できない蛍光灯には常に必要なものではなくなった。現在の撮影用LEDランプも同様で、従来のカラーメーターでは測定することはできない。 
 スタジオ撮影の主たる光源をLEDに変えて半年が経つ。主力として購入したSh50Pro-Sはとても重宝しているが、色調に若干の個体差もあり、またそれよりも使用する灯具の影響による変化は大きいので、これらを改善するためにカラーメーターは欲しいところだ。
 セコニックからLEDも蛍光灯も測定できるスペクトロマスターというカラーメーターが 数年前から発売されている。補正フィルターの表示もされるなど撮影用としてチューニングされており食指は動くものの、使用頻度を考えると170,000円はちょっと手が出ない値段だ。
 もう少し簡易的なもので良いから手の届く価格ものはないか探してみたところ台湾製の「Sentry ST522」というのが見つかった。カラーメーターという名称ではなくて「色彩照度計」となっている。光源を<LED><蛍光灯><白熱灯>から選択でき、照度と色温度、および色座標の表示が可能。Amazon USA では475ドルで売っているが現在日本では取扱店はなく、国内ではST520というモデルしか入手できないようだ。ちなみにST520は光源を選択する機能のない下位モデルらしい。Amazon.comから買うのも面倒だなと思いヤフオクを覗くと1点だけ出品中で、な、なんと終了まで残り10分。すぐに入札する。他に入札者はなく落札。ほとんど新品なのが20,000円ほどで手に入った。

つづく・・・

 <付属マニュアルについての追記>2020.08.21

 

 

 

 

 


バーンドアについて

2018年05月24日 | 撮影機材

 手元に1つだけ残っていた新品未使用のRDS製リフレクタランプ用バーンドア。500Wのフラッドランプ等をスタジオで使うときの必需品だった。高温になるランプに直接はめて使用する構造になっている。ランプ本体は今でも売っているけど流石にこれはもう市場に見当たらない。

 

 先日購入したリフレクターは標準的な7インチサイズなので適合するものがいろいろ販売されている。プロ機材店では必ず売っている商品だが、これが結構高い。本体と値段のバランスを考えるとできれば数千円で済ませたい。あちこち探したが結局これもAmazonからになってしまった。中国製写真用品として今や定番?のNEEWERブランド。4インチのもあったのでこれも購入した。上の画像はAmazonで購入したページからの転載だが左のは4インチ、右のは7インチ用のものだ。4インチのはリフレクターを介さず直接Sh50Pro-Sに取り付けることができる。4インチ用も7インチ用もスポットグリッド1種と4色のカラーゼラチン(メタルフレーム付)が付属品として付いてくる。購入先と価格は以下の通り。

Amazon /New Harbor JP   1,374円 (4インチ)
Amazon /rakuraku      1,781円 (7インチ)
 
ともにAmazon Prime対象品だったので1〜2日で到着した。

小型のバーンドアだが羽根は金属製のためやや重い、直付けした場合はランプのスクリュー部分に負担がかかり折れる危険性があるので上部にスプリングをつけて補強した。コンパクトなので細部への照明に便利なライトになった。

 

7インチ用のものはすべて金属製でしっかりした作り。とても二千円以下とは思えない。重量もそこそこあるがリフレクターは「フラッシュマウント」で保持されるので取り付けてもランプ本体に負担はかからない。羽根が4枚とも同じ大きさなので光を細長くカットするのは難しく、黒い発泡ボードを追加した。
 
これらの商品はAmazonの他のマーケットプレイスからも数多く出品されているが不思議なのはその価格差である。各店バラバラの値付けで、私が購入したのは最低価格のものだが、高い店では10〜15倍ほどの値札が付いているのもある。いくらオープンプライスとはいえ幅がありすぎじゃないのか。まあ、中華マーケットはそういうものだと言われればそうかもしれないけれど・・・
 
 
 
 
 

Bowens Mount System

2018年05月24日 | 撮影機材

 Sh50Pro-Sに使えるリフレクターをネット上で探し回ったが低予算で且つバーサタイルに使えるのはこれしかなかった。クリップオンストロボ用として広く使われているBowensマウントのシステムだ。開発元の英国ボウエンズ社は数年前に倒産してしまったのだがマウントシステムだけは現在も広く使われている。倒産の原因は安価な中国製品の台頭だということだ。現在売られているBowensマウント製品はほとんど中国製であり、そして驚くほど安い。
 写真の中央が「フラッシュマウント」で本来はクリップオンストロボ用のものだが代わりに左のランプソケット(汎用品)を取り付けるつけることでSh50Pro-S用として使える。Bowensマウントのリフレクターはサイズや形状の違うものが数種類販売されていて標準的な中サイズのものを購入した。写真には写ってないが専用ハニカムグリッドも1枚付いてくる。ランプソケットは中米仕様のE27スクリューのものだが、ランプはしっかりと締まって問題ない。

 「フラッシュマウント」の角度調整のノブが販売時掲載の写真とは違う小型のものに変わっていて、ここは頻繁に使う箇所なのでこのままでは使いにくい。だがこれはノブと六角ボルトをランプソケットのものと入れ替えることで解決できることが解った。またランプソケットを「フラッシュマウント」に取り付けるには「フラッシュマウント」のスタンド取り付け部に入ってるダボがジャストサイズで使える。

 ここまでにかかった費用と購入先は以下のとおり。

ACソケット            990円  Amazon/Baoblaze
7インチ標準リフレクター   1,299円  Amazon/Andoer-JP
フラッシュマウント                2,300円     Amazon/Andoer-JP

 全て送料込みだが中国からの発送なので到着まで2〜3週間かかる。また物によってはAmazon Primeで同価格にて販売されている場合もある。

 最終的にこのようなスタイルになった。パラソルホルダーに100円ドライバーを刺してハンドルにしてある。バーンドアがつけてあるがこれについては次回に。