I~これが私~

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ハッピー・メリークリスマス!10

2010-12-27 19:41:17 | 小説『ミゼットな楽園』
ハッピー・メリークリスマス!

10.一日の終わりは鈴の音で

少女は目を開けた。
そして、辺りを見渡す。
「夜…か…。」
自分の手の中にあるガラス玉。
ここじゃない所にいる友達。
夢ではないとわかり、安心した。
「…今何時?」
だるい身体を起こして時計を見ると、23:59という数字。
夜の11時。
あと1分で『今日』が『昨日』に変わってしまうのだ。
そういえば、友達はどうしているだろうか。
わくわくしながら、絆の証である玉をのぞくと。

『ハッピーメリークリスマスぅ!』

友達の声がした。
「……………」
少女は沈黙する。
あのパーティーは夜通しやっているのか。
ほとほと呆れた。
少女はその玉を持ち、寝台にもどる。
やはり、夜中だから眠いのだろう。
いそいそと布団に潜り込んだ。
『メリークリスマス、イスフィール…』
ささやくような友の声。
それを合図に少女は目を閉じた。

綺麗な鈴の音が聞こえる。
そしてこの出来事は昨日の出来事になった。



written by ふーちん


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