ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

タビは道連れ・・??

2006-01-09 00:29:43 | つれづれ

なんてことない足袋です。ひねりもなんもなくてスミマセン。
実は、年末「足袋」を買いに行ったんですが、ネル裏の足袋がなかったのです。
私は「カッコつける」のが好きなので?外に出るときは夏冬かわらず
さらし裏の足袋ですが、家とか近所は「ネル裏」を履きます。
ところが最近は「ネル裏」は少ないと言われてしまいました。どして~。
しかたなくフツーのを買ってきました。いつもは横浜のお店でまとめ買いを
するのですが、ここしばらく出不精になりまして・・・。(いかん!)
それでとりあえず一足、大型スーパーの中の呉服屋さんに買いに行ったわけです。
それにしても、サイズもだんだんなくなりそうです。
今の人は背も高くて足も大きいですから、よく売れるものしかおかないお店では
たまにないことがあります。21.5センチ、マヌケのなんとかって足でして。

悔し紛れというわけではありませんが、本日のお題「タビっ!」
足袋の歴史・・というと、ずっと時代が下がりますので、
少し昔に戻って「履くもの」というところからいってみましょう。
奈良・平安時代の貴族は「下沓(しとうず)」というものを履きました。
あのスリッパみたいな沓(くつ)を履くときの、いわば「靴下」ですね。
実はある足袋屋さんのHPに、今でも神主さんなどがあの「沓」を履くとき用の
足袋を作る、と載っていまして「襪子(べっす)」というんだそうです。
昔はこの「襪子」は一枚の鹿皮などから足を包むように作られた、つまり
縫い目がなかったわけで、「単皮」と呼ばれ、それがなまって「タビ」になった
という説もあるそうで、これって説得力ありますね。
また、猟師がシゴトで山を歩き回るために作った「皮や毛皮のブーツ」が
「足の保護」ということで「足袋」のルーツではないか・・とする説もあります

貴族の履物は身分によって皮製のブーツのようなものや藁ぐつを履いたそうです。
いずれにしても特徴的なのは、履物に鼻緒がないので中に履くのは
「ソックス」だったこと。そしてそれは身分のある人の儀式やお勤め用でした。
庶民の履物の方は、稲作を始めたころからゲタというものは使われていましたが、
あくまで泥田の中で足を保護するもの、最初は歩行には使わなかったのです。
庶民は、藁沓から発展した「草鞋」(今の草履ではなく、ワラゾウリ)を
履くようになりましたが、はだしで履いてたわけです。
この草鞋は、その後武士などにもひろまっていったわけで、
元々は「ソックス」だったものが、ゲタや草履を日常的に履くようになって、
足袋も自然と指の部分が分かれていったということですね。

この「しとうず」から、先の分かれた「足袋」になっても、
ずっと変わらなかったのは、足首に紐を巻きつけて縛るタイプだったこと。
材質は「革足袋」と「布足袋」、布と言っても「リッパな織布」です。
だんだんと時代がさがって、これも記録によれば「明暦の大火」、
かの有名な「振袖火事」、実は全くの創作ですが・・、その火事で
江戸の大半が燃えたわけですが、それで「皮」の品不足から価格が高騰し、
木綿足袋の普及につながったそうです。この「皮」が不足し・・というのが、
イマイチわかりません。風が吹くと桶やが儲かる式ですかねぇ。

とりあえず、やっと江戸まできました。とにかく火事のお蔭で木綿足袋は
広く流行りだし、これも「流行」から「定着」に至ったわけです。
この火事で木綿足袋が・・というあたりから「ヒモ式」も、少しずつ
「とめる」形になっていったようですが、鯨のひげとか、お大尽サマは
象牙とか、動物の角・骨とかで作らせたようです。
ただ、今のようなあの「U」のような形のコハゼを掛糸にかける形は
江戸末期から明治初期にかけて作り出されたそうで、そうなるとどういう
留め具だったのか、ヒントとしては「昔の本や巻物」を閉じるのにひっかける
あの三角の小さなつめなども「こはぜ」というのだそうで、
あんな感じで、とめていたのでしょうね。

さて、私は家以外では「色足袋・柄足袋」は履きません。単なる好みですが・・。
柄足袋は、まだ戦国時代、戦場で武士がはいた「皮足袋」に柄がついていました。
これが今の柄足袋のご先祖。江戸も後期になると、色柄だけでなくビロードなども
使ったりして、オシャレを楽しんでいたようです。
逆に職人(大工さんとか)は「紺足袋」、という職業による決め事もありました。
コレは今でも残っていますね。ちなみに「お女郎さんがた」は
冬でも足袋をはきませんでした。

最後に、これから着物を着たい、とおっしゃるお若い方にお願いがあります。
足袋のシワに気をつけてください。足袋はもともとが伸びる素材では
ありませんから(伸びる足袋ってのもありますが、原則として)、
どうしても寄るシワ、というのはあります。でも足袋が足にあっていないために
出来るシワというのは江戸っ子式に言えば「ヤボの骨頂」なのです。
着物はとてもステキでよく似合っているのに、足首は指一本はいりそうなくらい
足袋がグズグズ、草履の鼻緒に沿ってギャザー寄ってる・・なんてのはバツです。
シワのないキリッとした足袋姿を心がけてください。
足袋をぴったり履くには、靴よりワンサイズ下のものを買うこと。
それから下の写真のように、半分に折り返して履くのが要領です。
先まできっちり指を入れたら、写真の裏返ってる左右の先の部分を持って
かかとにそってひっくり返す感じで履きます。スルリと入ります。
コハゼはできればきつい外側の掛糸にかけてください。
足が痛むようでは困りますが、シワのよるような余裕は作らないで下さい。
「足袋は気合で履く」と言います。がんばって履いてください。
言わずもがなですが、着物を着るとき一番最初は足袋を履く・・です。




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4 コメント

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実は・・ (とんぼ)
2006-01-09 10:40:37
ぶりねぇ 様



京都に仕入れの旅をするときは「のびる足袋」ってのをはきます。こっとう市と古着屋さんを一日歩きまわるのと、あちらに住むいとこが車でつきあってくれるので、たまに運転などもするため・・。さすがにラクですが、ほんとになぜか汚れますねあれは。少し化繊が入っているだけで、静電気がおきるのでしょうね。
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実は、5枚コハゼのストレッチ白足袋 (ぶりねぇ)
2006-01-09 10:29:27
を履くのですが、ストレッチの利点は、一日履いていても疲れないこと、欠点は、汚れ易いこと。(漂白剤で、きれいになります。) 外に出るときは、上に足袋カバー。(^^;

最近、キャラコの足袋、すっかり履かなくなってしまいましたが、あのピッタリ感は、気持ちいいですよね。

返信する
足袋美人・・ですね (とんぼ)
2006-01-09 10:03:10
蜆子 様



昔、何の映画だったか、たずねてきた女性(多分若かりし頃の南田洋子さんだと思うのですが)、玄関先で「おあがり下さい」といわれて、手早く足袋を履きかえる・・という場面がありました。それを蔭でそっと見ていたその家の女主人が、ヒトとして合格点をつける・・といいますか、そんな場面でした。「なるほど」と思ったものです。私はたいがい気楽な訪問がほとんどですので「ちょっと足袋かえるー」とやっていますけれど、エチケットでしょうね。5枚コハゼは、体が太りだしてからダメになりました。足まで太るものなのですね。
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足袋 (蜆子)
2006-01-09 09:26:46
足袋にきれいにアイロンをあてられるようになれば、アイロンも一人前というそうですが、しわもなし、ぴったりの足袋の姿は美しい



ただお茶席長いこと正座です、痺れ予防のためこはぜの一番上こっそりはずしております。足袋袋に道中足袋ではない座敷用の足袋を持ち歩くのはお約束



アイロンをあててぴったりきれいになるのは、キャラコです、そのつぎブロード、テトロンの足袋は汚れよびやすい

最近五枚こはぜが多くなって、美しいのですが、痺れを考えなきゃ大変なことに。



足袋の真っ白、半襟真っ白をこころがけ、色足袋は私は好みの問題でしょうがはきません。
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