すっかり着物話題からは外れておりますが、もちろん忘れているわけでも、全部捨てちゃったわけでもありません。
むしろ、ブログを放置している間もいろいろな方から着物や和物をお送りいただいたり、
友人からちょこっと頼まれたり…と、水面下で?うごめいてはおりました。
今回、父の施設入所が決まると同時に、その準備やら何やらで、すこしばかり家の中を片付けたり動かしたり。
父などは「支度」をしているはずが「片づけ」になってしまい、
こんなものが出てきた、こんなものがある…といちいち電話がきます。
置いといてくれたら、あとで見るからというんですけどねぇ。
店舗用の家の方には、父の支度のことで訪ねたときに、ちょこっと立ち寄っては少し荷物を運び入れたり、
風通しをしたり…目の前に積みあがっている着物の入った段ボール箱や、衣装箱を見てはニマニマ。
この前はようやく気になっていた着物以外のものも運びました。主に「せともの」…。
我が家は別名「集荷センター」と呼ばれておりまして、いらないものはとりあえずとんぼに相談する…
ということになっている…のか?なんなのか、いろいろなものが運び込まれます。
ムリもありません、私たちの年代は「親の終活および遺品整理」&「わが身の終活」という時間ですから。
そんなわけで、ものすごくおおきい壷だの、外国みやげらしき置き物だのがあれこれ。
で、あるかたがトラックで運んできてくれたのが和ダンスと長火鉢でした。
ちょっと前のことになるのですが、もう写真を出したかどうかも忘れてまして…すみません。
トップの写真がその「タンス」です。
引手がいいでしょう? 最近のタンスは洋風ですからこんな引手は「和ダンス」と説明がないと…ですね。
この引手は「かん」と呼ばれます。漢字では「鐶」なります。使いませんねぇ、漢字も。
このタンス、そんなに古いものではなさそうです。
鐶の元々の鐶を柄にしたのが「芝翫縞」と呼ばれる柄。
かつて役者がファッションリーダーだったころ、中村芝翫という役者さんが自分の柄として浴衣や着物に染めたもの。
4本の縞が「し」、タンスの鐶が「かん」で「しかんじま」。当て字や判じ物が流行った江戸時代だからこその
デザインというわけです。縦に並んだ「鐶」は、いちばんオーソドックスなデザイン。
鐶は普段は垂れ下がっていて、使う時はつかんで起こして引っ張ります。
つまり固定されているのは根元だけなので、絵の形の部分はゆらゆら揺れる…。
「なんで『鐶(かん)』っていうの?」と聞いたら、母は「前歩いたらカンカン音がするからや」といいましたっけ。
鐶のついている場所には、その鐶を提げたときにあたる部分に「受け皿」ともいうべきものが着いてます。
写真のタンスは、鐶の形も丸型ですし、受け部分は鐶より一回り大きいですね。
これがあるのは、鐶を引っ張って離した時に、鐶がタンスの地板にぶつかってタンスが傷つかないように…。
なので、揺れると鐶と受け部分があたってカンカンと音がするんですね。
まぁ実際前を歩いただけでカンカン音がするようでは、タンスよりも「それを置いてある畳、ブヨブヨか?」
って話になっちゃいますが…。
さて、このタンス、今でもまだ中は空っぽです。
壊れてはいないので、ちっときれいにして磨きます。
中には、振袖系のアンティークなものを入れる予定です。留袖もいろいろありますしね。
あのクローゼットには、十分着用できる小紋系や紬をさげて…と、相変わらずアタマの中では
準備が進んでいるのですがねぇ。
とりあえずまた雨の季節が来ます。台風接近していて湿度が高い!
このからは除湿に気を配らないと、着物にカビ…とんでもないことなので、ボチボチ様子を見に行きます。
あぁちょっとずつ動けてるかなぁ。
父の入所は台風のこともあって、来月そうそうです。
台風さーん、行くならすんなり通り越してください。まちがっても停滞なんてしないでねぇ。