ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
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雛道具

2011-02-21 20:08:22 | 昔の道具・暮らし

 

毎年何かひとつ…と思っています。写真は「打乱筥(うちみだりばこ)」。大きさは5センチ角くらい。

立春もすぎてますから、お雛様を出してもいいわけですが、今年はなんだかいつにもまして

モタモタしています。そろそろ出さないと…です。

 

もう毎年書いていますので、ご存知の方も多いと思いますが、私のお雛様は「ミニサイズ」。

そのかわり、なんやかやと集まって、新旧取り混ぜてにぎやかなことになります。

でもミニサイズばかりで、道具類がないわけでして…。

まぁこまごましたお雛様の数だけほしいわけではないので、何かしらひとつずつ揃えたい…

どうせならプラスチックの新しいものではなく、古くて手作り感のあるもの。

で、よくヤフオクの雛道具をのぞくわけなんです。

今回ゲットのものの中からいくつかを…全そろいではなく柄で見ると二組ありました。

トップ写真のものは時代がやや新しいかと思います。

こちらは櫛台、と衣桁、または衣架(いか)。

 

    

 

衣桁は今でも使いますね、衣装をかけておくもの、です。      

櫛台は、引き出しのたくさんある小さな台で、お化粧に必要な各種の刷毛や櫛をしまっておくもの。 

 

本来はこれに「二階棚」という「櫛台」より大きい引き出しのない二段の棚があります。

これにはだいたい「火取り(香を焚く道具)」「ゆする杯(つき)」、ゆするというのは米のとぎ汁、

字がでませんで…さんずいに甘いと書きます。これは整髪に使われました。

その下に「唾壺(だこ)」昔はつばをぺっとやった道具だそうですが、実際には飾りになっていたらしいです。

それから上にもある「打乱筥(うちみだりばこ)」、大きなものは衣服を入れるものとして、今でもありますが、

ここに入れるのは小型のもので、髪を整える道具などを入れて使いました。これでセット。

 

雛道具というのは「いつの時代のものか」ということで、家具調度も違うわけです。

もともとは雛祭りそのものが宮中の行事として始まり、やがて武家社会にも浸透し、

さらに時代が下ると、裕福な庶民なども、これを揃えるようになった…わけですから、

人形の持ち物などもかわっていくわけですね。

支丁の持ち物は、平安だとお掃除道具、江戸時代だと、鞍や沓脱などの乗馬道具…。

これは京風、江戸風などとも言われます。

乗り物でいえば、今のものには「牛車」と「駕籠」の両方ついているものもありますが、

貴族の身分の高いものは牛車(いわゆる御所車)か輦車(れんしゃ)、

輦車は牛車から牛をはずした形のもので人が引きます。それか「輿」。

駕籠は武家社会になってからの「高級乗り物」です。

 

また、櫛台も、時代が古いと「唐櫛笥(からくしげ)」と呼ばれる、いかにも中国的な、

ちょっと形の違うものになります。箪笥のような形になったのは平安のころだと思います。

鏡は、平安のころは神聖なものであり、呪術的なものともされていましたから、たいへん貴重品。

形も、よく着物の柄になるような、花みたいに八角のもの。

これを「根古志(ねこじ、またはねこし)型」と呼ばれる台、大地に根を張った木のように足がひろがった形で、

絵を見るとタコの八本足みたいです。この台に鏡をかけて使いました。

室町ころになると、この鏡に足をつけて、さらに下に台などをつけた、いわゆる鏡台に近いものが出てきます。

それがさらに進化して、台も大きくなり引き出しなどもつきます。

これで不便だったのは、鏡を手にもてなかったこと。

よく時代劇で出てくるのは、黒い鏡を手で持っている形。これは「柄鏡(えかがみ)」

 

     

 

これをかける台ができて、下に櫛台のついたものなどができました。別々のものもあります。 

鏡そのものの材質が、大昔は「銅鏡」、江戸時代くらいまでは「銅と錫」の合金、

使用していると曇りが出るので「鏡磨き」という職もありました。

ガラス土台の鏡ができたのは明治になってから。つまりだんだん大きな鏡も可能になって、

私の母が持っていたような、縦長の「鏡台」ができたわけです。

 

お雛様そのものは、たとえば「享保雛」など、作られた時代で顔つきが違ったりしていますが、

お姿自体はずっと「平安貴族の正装」です。でも、お道具は変わっていったんですね。

さて、貴女のお道具は、宮風?武家風?ナニ時代の感じ?

そんなことを見ながら飾るのも、またたのしいかもですね。

 


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2 コメント

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Unknown (とんぼ)
2011-02-22 09:19:35
陽花様

こうぼさんにいくと、こんなの売れるの?
なんていう壊れたお雛様なんかもありますよね。

小道具は高いでしょう。
びっくりしますよねぇ。
いきたいですー。
返信する
Unknown (陽花)
2011-02-21 21:26:07
きょう弘法さんへ行ってきたんですが、
やはり時季的にお雛様が沢山出ていました。
とんぼ様ならよくご存じでしょうに・・私では
見ていてもよく分からなくて、お値段を言って
おられるのを聞いては驚いていました。
返信する

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