『踊る大捜査線』のノリを期待していると、まず間違いなく肩すかしを食らいます。
つまり、この映画は「娯楽大作」ではないんです。
派手なアクションがあるわけでもなければ、驚愕のどんでん返しがあるわけでもない。
いい意味で「予想通り」に進んでいく物語なのです。
県庁から民間交流としてやってきたエリート公務員と、三流スーパーで働くパートの女性。
最初は反発する2人が、やがてお互いを認め合い……えぇ、もちろんそうなりますよ。
エリートがその高い鼻っ柱を叩き折られて、挫折して……はい、そこから立ち直るわけです。
そんなの絵空事さ。
公務員体質が簡単に直るわけがない。
あらを探せば、いくらでも見つかることでしょう。
織田裕二が主演しなければ、とてもつまらない映画になったことでしょう。
やっぱり織田裕二って、たいした俳優だと思う。
映画の巨大なスクリーン、しかも大資本が参入している巨大なプレッシャーの中で、堂々と主役を張れる自信と力量とを強く感じるのです。
おそらく制作の場面では、彼に対する批判も大きいことでしょう。
だって、間違いなく生意気そうだもの、織田裕二って。
でも、彼の生意気はなんだか許せるんです。
藤原紀香の「前に出よう」とする根性と同じく、許せる。
(いかんせん藤原紀香には演技力が欠けているけれど)
そういう「傲慢を魅力に変える」力を、人はスター性と呼ぶのではないでしょうか。
繰り返しますが、これは大作ではありません。
『踊る大捜査線』のような社会現象になることはないでしょう。
強烈な皮肉がこもっているわけでもなければ、笑えるシーンが多いわけでもない。
この映画は間違いなく「主演・織田裕二」でもっています。
ビデオで充分、と思った人の判断はある意味正しい。
でも、悪い映画じゃありません。
必見とはいいませんが、第三希望くらいには入れておいてほしいなぁ。
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