タイトル | 順位 | 感想 |
夜明けの祈り | 5 | この世の地獄と思えるような修道院での悲劇に、図らずも関わることになった女医の物語。修道女たちとの絆の深まりに感動を覚えつつも、決して綺麗事だけを描かないラストも素晴らしかった。 |
観ていて、本当につらくなる映画だったけれど、観てよかったと心から思いました。
戦争では、常に弱者が虐げられます。
本作でも、修道女たちが兵士にレイプされ、望まぬ妊娠をしてしまう。
宗教上の理由で、堕胎は許されない。
しかも政治的な理由から、他国の赤十字に助けを求めざるを得ない。
自らの信仰心を試される、あまりにも過酷な試練。
本作では、ある種の希望を感じさせるラストが描かれるけれども、その一方で「綺麗事ではない現実」もきちんと描かれる。
あの人物が取った選択に、不快感を覚える人もいるかもしれない。
でも、やはりそういう選択はありうるだろうと僕は思った。
この世界は残酷で、個人の力ではどうしようもないこともたくさんある。
それでもなお、自分の手の届く範囲内で努力をしつづけるしかない。
そうやって手にした未来は、確かに心許ないものではあるけれど、そのささやかな光を喜ぶ人たちもいるはずだ。
映像も美しく、崇高なひとときを経験できる、希有な作品だと思います。