
入院してた頃のことは、切れ切れに覚えているだけで、どこまでが夢で、どこまでが現実だったのか、今となってははっきりと思い出せない。
当初、八泊九日だった入院予定が、気がつけば三か月半…。
いやほんと、人生(豚生?)何が起こるかなんて、わかったもんじゃないね。
意識を取り戻したのは、いついつ、って感じではなくて、足がピコピコしてたとか、目は開けてても白目のトコが真っ赤で、焦点も合ってなかったとか〈怖!

いろんな夢を見てたよ。
ヘンな夢ばっか。
山梨県にブドウ狩りに行ったけど、ブドウじゃなくトイレを探し回ってたり、ハワイのドデカいプールに入ってたら、上から天井が落ちてきたり、窓の外がスキー場だったり、イヌ子とネコ子が手をつないで、窓からワタシのこと見てたり、トランプ前大統領と雨の中、ジェットコースターに乗ったり、なぜか眞子様と…佳子様だったかも?露天風呂に入ったり〈どちらにしろ失礼

水色のワンピースでね、
どこかの国の王子様的な人と(顔はわからん)もうすぐ結婚式!なんてのもあったわ~

ほんととんちんかんな夢ばっかなんだけど、一番印象的で、今でもはっきり覚えていて、ワタシがお見舞いに来てくれた人に、何度も何度も話して聞かせたのが(迷惑だなオイ

三途の川を渡った夢…!








正しくは渡ってはないのよ。
ワタシは真っ黒な空の上にいて、そこには大小様々な光る穴が開いていて、下を覗くとまさに下界で…
ちょうど夜間飛行の飛行機の窓から地上を見下ろしてる感じ?
でも飛行機じゃないから機体はなくて、ワタシは黒い床の穴の淵につかまって、下を覗きこんでいるの。
1つひとつに、いろんな世界があって、いろんな人がいて…
それ、もしかしたら生まれ変わりの世界だったりしたのかしら…
だとすれば、ワタシたちは、自分からひとつを選んで、飛び降りるのかしら…???
ワタシはずっと座って、ただ眺めてたの。
見惚れてたというか…。
それだけなんだけど、その場所が、その光景が、目を見張るほどに綺麗で…
描きたいんだけど、麻痺する前のお手々でも絶対伝わらないってくらい、神々しくて…





話せるようになったワタシは、バカの一つ覚えのように、
天国って本当にあるよ、すごくすごく綺麗なとこだよ、だから死ぬことはきっと、怖いことじゃあないよ、、、




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…やっぱりワタシ、あんまり大丈夫じゃないかもネ…???


