【問1】読み方が正しいものはどれですか。
1)境内(けいない) 2)疾病(しつびょう) 3)役務(やくむ) 4)忌中(きちゅう)
【問2】太字部分の「入る」の読み方が他と違うものはどれですか。
1)鬼籍に入る 2)風呂に入る 3)堂に入る 4)気に入る
【問3】太字部分の数字が誤字や当て字でなく正しいものはどれですか。
1)四どころない 2)六でもない 3)七面倒くさい 4)八つ当たり
【問4】「一姫二太郎」の意味として最も適切なものはどれですか。
1)女の子1人、男の子2人の子持ちであること
2)初めに女の子が1人生まれ、次に男の子が2人生まれること
3)初めに女の子、次に男の子が生まれるのが育児には理想的だという意味
4)1人の女と2人の男が恋愛関係に陥る三角関係のこと
【問5】「やぶさかでない」の意味として最も適切なものはどれですか。
1)努力を惜しまない 2)やむを得ない 3)不都合はない 4)仕方ない
【問6】「かき氷」の「かき」は漢字でどう書きますか。次のうちから選んでください。
1)夏季 2)描き 3)書き 4)欠き
【問7】次のうち夏の季語でないものはどれですか。
1)ビール 2)枝豆 3)冷奴(ひややっこ) 4)トマト
【問8】松尾芭蕉の俳句「閑(しず)かさや岩にしみ入る蝉(せみ)の声」でうたわれている蝉の種類は次のうちのどれですか。他の蝉に比べると、比較的おとなしい鳴き方をする蝉です。
1)アブラゼミ 2)ミンミンゼミ 3)ニイニイゼミ 4)ヒグラシ
【問9】「インダス川」の「インダス」はギリシャ語で「川」という意味で、「川川」となり、意味が重複しています。次に挙げた川も「川川」となりますが、1つだけ違うものがあります。それはどれですか。メソポタミア文明が栄えたことで知られる川です。
1)チグリス川 2)ガンジス川 3)ナイル川 4)ドナウ川
【問10】次の文章には間違いが3カ所あります。どこが間違っているか答えてください。(出題用に創作した文章です)
私は40代後半の会社員、男性です。現在は東京都内にある本社の企画部門で管理職をしていますが、かつては営業部門にもいて、その時の取引先や同業者らとの人脈は、それなりにある方です。また、異業種の交流組織で積極的に活動していることもあり、様々な分野の人とつながりがあり、顔が大きいという自負があります。
先日、同僚と外で昼食を済ませ、会社の近くの地下食堂街の雑踏を歩いているとき、ある人に、親しげに話しかけられました。先方は「〇×さん、久しぶりですね。お元気ですか」と私の名前を確かに知っているのです。「はて、困ったなあ」という思いが頭を巡りました。そして、先方は「〇×さんの会社の近くだから、ひょっとしてバッタリなんて思っていたのですよ」と、うれしそうに畳みかけてきます。
恥ずかしながら、先方が誰なのか分からない。言えるのは社内の人ではないのだろうということです。「〇×さんの会社」というくらいだから。でも、それ以外のことは何の情報もありません。持ち物をチラッと見てみましたが、社名を記した紙袋などヒントになりそうなものはありませんでした。私はややうろたえてしまいました。
それで私は「どうも。お元気そうですね」までは、とりあえず言ってみたものの、当然、その先は続きません。「どなたですか」と言うわけにもいきません。「お元気そうですね」と言った以上、「どなたですか」はさすがにおかしいと思いました。困ってしまい、まさに釘(くぎ)のむしろに座っているような感覚でした。でも、一点、救われることがありました。先方が部下と思われる人と一緒であり、急いでいる様子だったことです。なので、私も自分の時計を見て、「時間が……」と絞り出すと、先方も「私、次がありまして……」。しめたと思いました。そして、私の口からは、「それでは、またの機会に、ぜひ、よろしくお願いします」と、ややしらじらしい言葉がついて出たのです。向こうも「そうですね。また、機会がありましたらよろしくお願いします」と言い残して去りました。
ホッとしたのはいいのですが、それから私は、「あの人は誰だったのか」との思いと小一時間、格闘しました。先ほどの人の顔をじっと思い出そうとするのですが、分かりません。いつごろの人か、どういうシチュエーションで出会った人か、同業の人か、異業種の人か、いろいろ思い巡らして、どうにかこうにか、思い出すことができました。
5年ほど前、長野営業所にいたころ、展示会やイベントの会場として使ったホテルの支配人でした。しょっちゅうお会いしていたのですが、長野営業所から東京に戻って数年たち、その後一度もお会いしていなかったので、とっさには思い出せなかったのです。「そうか。せっかく都内でお会いしたのに、愛想がなくて申し訳ない」と後悔の念にさいなまれました。翌日、おわびがてら、その支配人に電話をかけました。実は営業で都内に、私のオフィスの近くに訪れていたということでした。そして、機会があったら、またお会いしましょうと言って、電話を切りました。
最近、年齢とともに、物忘れが気になりだしています。会社の周辺でも、向こうから来る人が会釈をしますが「一体、誰だろう」というケースも多いのです。そんなときは、こちらも軽く頭を下げてすれ違えばいいのですが、先日のケースのように互いに立ち止まって話が始まったら、どうしようもないのです。先日の反省から、思い出せないときは、正直におわびして誰かを認識して話すのがいいとの結論に至りました。
話しているうちに分かるだろうなんて思って話し出すと馬脚を出すのは目に見えています。なので、どなたかを確認するのがいいと。そして、その場で、「最近、物忘れがひどくて」などと申し訳なさそうに切り出しながら、非礼をわびて会話を始めるのがいいのではないでしょうか。しかし、本音を言うと認識できない人だったら、軽く会釈してすれ違うのが無難なのかとも思います。でも、先日の支配人のように遠方からの人だったら申し訳ないし……。
◇
(解答と解説)
【問1】4
1)は「けいだい」、2)は「しっぺい」、3)は「えきむ」が正しい。
【問2】2
2)は「はいる」、1)3)4)は「いる」と読む。「入(い)る」は「入(はい)る」の古い言い方で、今では主に文語的・慣用的な表現で使う。
【問3】4
1)は「拠ない」、2)は「陸でもない」が正しい。3)「七面倒くさい」の「しち」は、程度がひどくごたごたしているさまを表す接頭語。「七」は当て字。4)「八つ当たり」の「八つ」は「八方」のことで、あらゆる方向の意。
【問4】3
1)の意味で使われることも多いが、俗用。
【問5】1
「やぶさか」は物惜しみするさま、けちなさま。これに否定形「ない」がついた「やぶさかでない」は、~する努力を惜しまない、つまり、喜んで~するという意味になる。しかし、「ない」という否定形に引きずられるためか、2)や4)の意味で誤用されることが多い。文化庁の「国語に関する世論調査」(平成25年度)で、「やぶさかでない」の意味をたずねたところ、本来の意味である「喜んでする」で使う人が33.8%、本来の意味ではない「仕方なくする」で使う人が43.7%と、逆転した結果が出ている。
【問6】4
「かき氷」はもともと「欠けた氷」を食べたことからその名前がついたようで、「広辞苑第六版」(岩波書店)、「明鏡国語辞典第二版」(大修館書店)、「新明解国語辞典第七版」(三省堂)など「欠(き)氷」と表記している。
【問7】2
「枝豆」は秋の季語。別名を「月見豆(つきみまめ)」といい、昔は十三夜(旧暦9月13日の夜)の名月に供えた。
【問8】3
「閑かさや~」は、松尾芭蕉が元禄2年(1689年)5月27日(新暦7月13日)に山形市の立石寺(りっしゃくじ)を訪れてよんだ句で「奥の細道」に収録されている。この句に出てくる蝉について、歌人斎藤茂吉は、やかましく鳴くアブラゼミと主張。芭蕉研究家の小宮豊隆は、か弱く鳴くニイニイゼミと主張し、激しく対立した。その後、実地調査が行われ、芭蕉が山寺を訪れた7月13日頃に鳴いているのはニイニイゼミで、まだアブラゼミは鳴かないということになり、茂吉が誤りを認めたかたちで「蝉論争」は決着した。
【問9】1
「チグリス川」のtigrisは英語のtiger(虎)の語源となった言葉といわれ、「素早い」「速い」という意味を持つ。2)の「ガンジス」はサンスクリット語の、3)の「ナイル」は古代エジプト語の、4)の「ドナウ」はドイツ語の「川」の意味。
【問10】1)×顔が大きい→○顔が広い。2)×釘(くぎ)のむしろ→○針のむしろ。3)×馬脚を出す→○馬脚を現す。「馬脚を出す」は「尻尾を出す」との混同とされる。
10問正解は日本語の達人、9問=言葉の上級者、8問=言葉に自信を持ってもいいでしょう、7問=言葉でそんなに恥をかくことはないでしょう、6問=ひょっとしたら時々、恥をかいているかもしれません、5問以下=言葉の勉強をしてみませんか。なお、問10は3カ所すべて正解して1問分の正解とします。
(編集=日本経済新聞社記事審査部)
だそうです。
1)境内(けいない) 2)疾病(しつびょう) 3)役務(やくむ) 4)忌中(きちゅう)
【問2】太字部分の「入る」の読み方が他と違うものはどれですか。
1)鬼籍に入る 2)風呂に入る 3)堂に入る 4)気に入る
【問3】太字部分の数字が誤字や当て字でなく正しいものはどれですか。
1)四どころない 2)六でもない 3)七面倒くさい 4)八つ当たり
【問4】「一姫二太郎」の意味として最も適切なものはどれですか。
1)女の子1人、男の子2人の子持ちであること
2)初めに女の子が1人生まれ、次に男の子が2人生まれること
3)初めに女の子、次に男の子が生まれるのが育児には理想的だという意味
4)1人の女と2人の男が恋愛関係に陥る三角関係のこと
【問5】「やぶさかでない」の意味として最も適切なものはどれですか。
1)努力を惜しまない 2)やむを得ない 3)不都合はない 4)仕方ない
【問6】「かき氷」の「かき」は漢字でどう書きますか。次のうちから選んでください。
1)夏季 2)描き 3)書き 4)欠き
【問7】次のうち夏の季語でないものはどれですか。
1)ビール 2)枝豆 3)冷奴(ひややっこ) 4)トマト
【問8】松尾芭蕉の俳句「閑(しず)かさや岩にしみ入る蝉(せみ)の声」でうたわれている蝉の種類は次のうちのどれですか。他の蝉に比べると、比較的おとなしい鳴き方をする蝉です。
1)アブラゼミ 2)ミンミンゼミ 3)ニイニイゼミ 4)ヒグラシ
【問9】「インダス川」の「インダス」はギリシャ語で「川」という意味で、「川川」となり、意味が重複しています。次に挙げた川も「川川」となりますが、1つだけ違うものがあります。それはどれですか。メソポタミア文明が栄えたことで知られる川です。
1)チグリス川 2)ガンジス川 3)ナイル川 4)ドナウ川
【問10】次の文章には間違いが3カ所あります。どこが間違っているか答えてください。(出題用に創作した文章です)
私は40代後半の会社員、男性です。現在は東京都内にある本社の企画部門で管理職をしていますが、かつては営業部門にもいて、その時の取引先や同業者らとの人脈は、それなりにある方です。また、異業種の交流組織で積極的に活動していることもあり、様々な分野の人とつながりがあり、顔が大きいという自負があります。
先日、同僚と外で昼食を済ませ、会社の近くの地下食堂街の雑踏を歩いているとき、ある人に、親しげに話しかけられました。先方は「〇×さん、久しぶりですね。お元気ですか」と私の名前を確かに知っているのです。「はて、困ったなあ」という思いが頭を巡りました。そして、先方は「〇×さんの会社の近くだから、ひょっとしてバッタリなんて思っていたのですよ」と、うれしそうに畳みかけてきます。
恥ずかしながら、先方が誰なのか分からない。言えるのは社内の人ではないのだろうということです。「〇×さんの会社」というくらいだから。でも、それ以外のことは何の情報もありません。持ち物をチラッと見てみましたが、社名を記した紙袋などヒントになりそうなものはありませんでした。私はややうろたえてしまいました。
それで私は「どうも。お元気そうですね」までは、とりあえず言ってみたものの、当然、その先は続きません。「どなたですか」と言うわけにもいきません。「お元気そうですね」と言った以上、「どなたですか」はさすがにおかしいと思いました。困ってしまい、まさに釘(くぎ)のむしろに座っているような感覚でした。でも、一点、救われることがありました。先方が部下と思われる人と一緒であり、急いでいる様子だったことです。なので、私も自分の時計を見て、「時間が……」と絞り出すと、先方も「私、次がありまして……」。しめたと思いました。そして、私の口からは、「それでは、またの機会に、ぜひ、よろしくお願いします」と、ややしらじらしい言葉がついて出たのです。向こうも「そうですね。また、機会がありましたらよろしくお願いします」と言い残して去りました。
ホッとしたのはいいのですが、それから私は、「あの人は誰だったのか」との思いと小一時間、格闘しました。先ほどの人の顔をじっと思い出そうとするのですが、分かりません。いつごろの人か、どういうシチュエーションで出会った人か、同業の人か、異業種の人か、いろいろ思い巡らして、どうにかこうにか、思い出すことができました。
5年ほど前、長野営業所にいたころ、展示会やイベントの会場として使ったホテルの支配人でした。しょっちゅうお会いしていたのですが、長野営業所から東京に戻って数年たち、その後一度もお会いしていなかったので、とっさには思い出せなかったのです。「そうか。せっかく都内でお会いしたのに、愛想がなくて申し訳ない」と後悔の念にさいなまれました。翌日、おわびがてら、その支配人に電話をかけました。実は営業で都内に、私のオフィスの近くに訪れていたということでした。そして、機会があったら、またお会いしましょうと言って、電話を切りました。
最近、年齢とともに、物忘れが気になりだしています。会社の周辺でも、向こうから来る人が会釈をしますが「一体、誰だろう」というケースも多いのです。そんなときは、こちらも軽く頭を下げてすれ違えばいいのですが、先日のケースのように互いに立ち止まって話が始まったら、どうしようもないのです。先日の反省から、思い出せないときは、正直におわびして誰かを認識して話すのがいいとの結論に至りました。
話しているうちに分かるだろうなんて思って話し出すと馬脚を出すのは目に見えています。なので、どなたかを確認するのがいいと。そして、その場で、「最近、物忘れがひどくて」などと申し訳なさそうに切り出しながら、非礼をわびて会話を始めるのがいいのではないでしょうか。しかし、本音を言うと認識できない人だったら、軽く会釈してすれ違うのが無難なのかとも思います。でも、先日の支配人のように遠方からの人だったら申し訳ないし……。
◇
(解答と解説)
【問1】4
1)は「けいだい」、2)は「しっぺい」、3)は「えきむ」が正しい。
【問2】2
2)は「はいる」、1)3)4)は「いる」と読む。「入(い)る」は「入(はい)る」の古い言い方で、今では主に文語的・慣用的な表現で使う。
【問3】4
1)は「拠ない」、2)は「陸でもない」が正しい。3)「七面倒くさい」の「しち」は、程度がひどくごたごたしているさまを表す接頭語。「七」は当て字。4)「八つ当たり」の「八つ」は「八方」のことで、あらゆる方向の意。
【問4】3
1)の意味で使われることも多いが、俗用。
【問5】1
「やぶさか」は物惜しみするさま、けちなさま。これに否定形「ない」がついた「やぶさかでない」は、~する努力を惜しまない、つまり、喜んで~するという意味になる。しかし、「ない」という否定形に引きずられるためか、2)や4)の意味で誤用されることが多い。文化庁の「国語に関する世論調査」(平成25年度)で、「やぶさかでない」の意味をたずねたところ、本来の意味である「喜んでする」で使う人が33.8%、本来の意味ではない「仕方なくする」で使う人が43.7%と、逆転した結果が出ている。
【問6】4
「かき氷」はもともと「欠けた氷」を食べたことからその名前がついたようで、「広辞苑第六版」(岩波書店)、「明鏡国語辞典第二版」(大修館書店)、「新明解国語辞典第七版」(三省堂)など「欠(き)氷」と表記している。
【問7】2
「枝豆」は秋の季語。別名を「月見豆(つきみまめ)」といい、昔は十三夜(旧暦9月13日の夜)の名月に供えた。
【問8】3
「閑かさや~」は、松尾芭蕉が元禄2年(1689年)5月27日(新暦7月13日)に山形市の立石寺(りっしゃくじ)を訪れてよんだ句で「奥の細道」に収録されている。この句に出てくる蝉について、歌人斎藤茂吉は、やかましく鳴くアブラゼミと主張。芭蕉研究家の小宮豊隆は、か弱く鳴くニイニイゼミと主張し、激しく対立した。その後、実地調査が行われ、芭蕉が山寺を訪れた7月13日頃に鳴いているのはニイニイゼミで、まだアブラゼミは鳴かないということになり、茂吉が誤りを認めたかたちで「蝉論争」は決着した。
【問9】1
「チグリス川」のtigrisは英語のtiger(虎)の語源となった言葉といわれ、「素早い」「速い」という意味を持つ。2)の「ガンジス」はサンスクリット語の、3)の「ナイル」は古代エジプト語の、4)の「ドナウ」はドイツ語の「川」の意味。
【問10】1)×顔が大きい→○顔が広い。2)×釘(くぎ)のむしろ→○針のむしろ。3)×馬脚を出す→○馬脚を現す。「馬脚を出す」は「尻尾を出す」との混同とされる。
10問正解は日本語の達人、9問=言葉の上級者、8問=言葉に自信を持ってもいいでしょう、7問=言葉でそんなに恥をかくことはないでしょう、6問=ひょっとしたら時々、恥をかいているかもしれません、5問以下=言葉の勉強をしてみませんか。なお、問10は3カ所すべて正解して1問分の正解とします。
(編集=日本経済新聞社記事審査部)
だそうです。