■睡眠不足が3.5兆円の経済損失を生む?
きちんと眠れているかを判断する3つのポイント
「睡眠は心身のエネルギーの充電であり、脳を休息させる働きがあります。
眠りの質が悪いと注意力や集中力、コミュニケーション力、
決断力が鈍り、生産性が低下。そのために無駄な残業が増えて
十分な睡眠時間が取れず……という悪循環に陥ってしまいます」
こう話すのは、睡眠コンサルタントの友野なおさん。
実は、働く人々の睡眠不足による日本の経済損失は
年間約3.5兆円に上ると言われている(日本大学医学部精神医学系教授・
内山真氏の試算)。作業能率の低下やミスの発生、
欠勤や遅刻などをすべて合算すると、これだけの数字になるのだとか。
ただし、だからといってたくさん寝ればよいという単純な話ではない。
友野さんによると、世に言われている「8時間睡眠がベスト」
という説は「都市伝説にすぎない」という。
「適切な睡眠時間は、人によって全く違います。
3時間で大丈夫なショート・スリーパーと呼ばれる人もいれば、
9時間以上寝ないとダメなロング・スリーパーもいる。
どちらがいいというものではありませんが、最も危険なのは、
本来ならある程度眠らないと調子が出ないのに、
寝なくても大丈夫だと気合で乗り切っている
『エセ・ショートスリーパー』。真面目な日本人に多いタイプで、
やがて心や体に不調が現れて取り返しのつかないことにもなりかねません」
睡眠時間が人それぞれなのだとしたら、
自分がきちんと眠れているか否かはどのように判断したらいいのだろうか。
友野さんによるとチェックすべきポイントは3つあるという。
------------------
【1】午前中に眠気がある
午前中は、最も頭がクリアな時間。それなのに、
朝の通勤電車や午前中の会議で眠くてたまらないことがある人は、
しっかり睡眠が取れていない証拠だ。
【2】朝に便通がない
便は寝ている間に活発になる腸の蠕動運動によって作られ、
朝に排出される。しかし、寝不足や質の悪い睡眠が続くと
このフローが上手く働かず、朝の排便がなくなってしまう。
【3】休日に昼過ぎまで寝ている
休日でも平日と同じ睡眠時間か、プラス1時間程度で自然に
目覚められれば普段から十分な質の睡眠が得られていると言える。
一方、休日に極端に睡眠時間が長くなる人は、
エセ・ショートスリーパーの可能性が高い。
------------------
いかがだろうか? 一つでも上記に当てはまる人は
しっかりと満足に眠れていない可能性が高いと言える。
では、質の高い睡眠をするためにはどのようなことに気を付ければ
いいのだろうか。日常の中でやってしまいがちな、
快眠を妨げるNG行動を教えてもらった。
------------------
NG行動その1
寝る前のひとり反省会
------------------
「そもそも夜は判断力や決断力が劣り、マイナス思考になりがち」
と友野さん。1日の振り返りで反省点ばかりを思い浮かべると、
心配事に悩まされて寝付けなくなることも。
「振り返りをするのなら、良かったことを書き出すのがオススメ。
私も毎日、その日起こった良いことを10個リストアップしています。
前向きな気持ちになって気持ちよく寝付くことができますよ」
------------------
NG行動その2
21時以降の運動
------------------
座りっぱなしの仕事をしていると、気になるのが運動不足。
体が疲れれば深い眠りにつけるだろうとジムに通ったり、
ランニングに励んでいる人は、その時間に気を付けて。
21時以降の運動は、快眠を著しく妨げる要因になる。
「激しい運動をすると、興奮や緊張時に働く交感神経が優位になり、
その後の眠りの質が悪くなってしまいます。ヨガやストレッチなど、
呼吸とともに行う運動は有効ですが、女性に人気のホットヨガは
負担が大きいので、同じく21時以降は避けた方が無難です」
友野さんのおすすめは、筋弛緩運動。椅子に深く腰を掛けて、
顔を含めた全身にぐっと力を入れて10秒間ホールドし、
全ての力をフッと抜く。これを5回繰り返した後にベッドに入ることを習慣付けてみよう。
「全部で1分にも満たない運動ですが、冷え性の人は、
手足がじんわり温まっていく感覚が分かると思います。
これを入眠儀式と呼ばれる眠りに入る前の習慣として癖付けすれば、
出張などで環境が変わってもよく眠れるようになるはずです」
------------------
NG行動その3
寝る前に大好きなミステリーの本を読む
------------------
音楽やアロマ、読書など、眠りに就く前に心を穏やかにする趣味を
楽しむのは快眠のための良い習慣。ただし、読書をするときは
その内容に注意が必要だ。
「読書の場合はミステリーやサスペンスなど、
ワクワクドキドキさせられる内容や、続きが気になってしまう
内容の本は避けるのが賢明です。興奮して寝付きが悪くなってしまいます。
オススメは心温まるショートストーリーや、
リラックスできるような写真集など。もしくは、
全く興味のない分野の本をパラパラとめくると、面白いぐらい眠気が来ますよ(笑)」
------------------
NG行動その4
カーテンをしっかりと閉めて寝る
------------------
友野さんによると、睡眠の質を高めるためには、
光をコントロールするのが一番。
特に朝の太陽の光を浴びることが重要だという。
「朝に太陽や蛍光灯の強い光を浴びることで、
体内リズムはリセットされます。
その結果、毎日の快眠につながりますし、
すっきりと目覚めやすくなります。
脳は、まぶた越しでも光を感知して起床の準備を始めるので、
レースカーテンのみ閉めて眠るのがオススメです。
全開にするのが厳しいようでしたら、10cmだけでもいいので開けて眠りましょう」
さらに、眠りに入る1時間前から暖色系の間接照明に切り替えると、
リラックスして眠りにつくことができるのだとか。
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NG行動その5
眠れないときでも、とりあえず布団に入る
------------------
「明日は大切なプレゼンがある!」そんなときは、
興奮と緊張のあまり眠れないことも。
眠らなければと焦った状態で、布団の中でゴロゴロ……。
そのような場合は、意外にも「いっそのこと寝ないという選択肢もアリ」と、
友野さん。
「たとえ1日ぐらい眠らなくても、翌日にいきなりパフォーマンスが
急低下してしまうことはありません。眠れない日が続くのは
大問題ですが、1~2日ぐらいなら大丈夫。大きな心で、
ゆとりを持って睡眠を考える気持ちが大切です。
今日寝れなかったら、明日は早めに帰って早めに寝てみるという
ぐらいで十分。毎日の睡眠を細かくコントロールするのではなく、
1週間のスパンで大きく考えてみましょう」
とはいえどんなに睡眠に気を配っても、
どうしても眠くなってしまうこともある。
特に女性の場合は、生理前にたまらない眠気に襲われることもあるだろう。
「そんなときは椅子に座った状態でいいので、
少し眠りましょう。15時までの昼寝は脳の回復に効果的です。
脳が疲労したままだとマイナス思考に陥りやすくなり、
ゆくゆくはうつ病を発症する遠因にもなりますが、
脳の疲労が回復すると、プラス思考が生まれやすくなります。
仕事の効率を上げ、達成感をしっかりと味わうためにも、
ランチの後にコーヒーやチョコなどカフェインを多く含むものを取った後、
15分~20分、昼寝をしてみて。目を閉じているだけでもOKです。
カフェインが効き始めるのが約30分後なので、
すっきりと目を覚ますことができますよ」
忙しい毎日であっても、少しの心掛けで眠りの質は改善できる。
心身ともに元気に働いていくために、毎日の睡眠を見直してみよう。
だそうです。
きちんと眠れているかを判断する3つのポイント
「睡眠は心身のエネルギーの充電であり、脳を休息させる働きがあります。
眠りの質が悪いと注意力や集中力、コミュニケーション力、
決断力が鈍り、生産性が低下。そのために無駄な残業が増えて
十分な睡眠時間が取れず……という悪循環に陥ってしまいます」
こう話すのは、睡眠コンサルタントの友野なおさん。
実は、働く人々の睡眠不足による日本の経済損失は
年間約3.5兆円に上ると言われている(日本大学医学部精神医学系教授・
内山真氏の試算)。作業能率の低下やミスの発生、
欠勤や遅刻などをすべて合算すると、これだけの数字になるのだとか。
ただし、だからといってたくさん寝ればよいという単純な話ではない。
友野さんによると、世に言われている「8時間睡眠がベスト」
という説は「都市伝説にすぎない」という。
「適切な睡眠時間は、人によって全く違います。
3時間で大丈夫なショート・スリーパーと呼ばれる人もいれば、
9時間以上寝ないとダメなロング・スリーパーもいる。
どちらがいいというものではありませんが、最も危険なのは、
本来ならある程度眠らないと調子が出ないのに、
寝なくても大丈夫だと気合で乗り切っている
『エセ・ショートスリーパー』。真面目な日本人に多いタイプで、
やがて心や体に不調が現れて取り返しのつかないことにもなりかねません」
睡眠時間が人それぞれなのだとしたら、
自分がきちんと眠れているか否かはどのように判断したらいいのだろうか。
友野さんによるとチェックすべきポイントは3つあるという。
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【1】午前中に眠気がある
午前中は、最も頭がクリアな時間。それなのに、
朝の通勤電車や午前中の会議で眠くてたまらないことがある人は、
しっかり睡眠が取れていない証拠だ。
【2】朝に便通がない
便は寝ている間に活発になる腸の蠕動運動によって作られ、
朝に排出される。しかし、寝不足や質の悪い睡眠が続くと
このフローが上手く働かず、朝の排便がなくなってしまう。
【3】休日に昼過ぎまで寝ている
休日でも平日と同じ睡眠時間か、プラス1時間程度で自然に
目覚められれば普段から十分な質の睡眠が得られていると言える。
一方、休日に極端に睡眠時間が長くなる人は、
エセ・ショートスリーパーの可能性が高い。
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いかがだろうか? 一つでも上記に当てはまる人は
しっかりと満足に眠れていない可能性が高いと言える。
では、質の高い睡眠をするためにはどのようなことに気を付ければ
いいのだろうか。日常の中でやってしまいがちな、
快眠を妨げるNG行動を教えてもらった。
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NG行動その1
寝る前のひとり反省会
------------------
「そもそも夜は判断力や決断力が劣り、マイナス思考になりがち」
と友野さん。1日の振り返りで反省点ばかりを思い浮かべると、
心配事に悩まされて寝付けなくなることも。
「振り返りをするのなら、良かったことを書き出すのがオススメ。
私も毎日、その日起こった良いことを10個リストアップしています。
前向きな気持ちになって気持ちよく寝付くことができますよ」
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NG行動その2
21時以降の運動
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座りっぱなしの仕事をしていると、気になるのが運動不足。
体が疲れれば深い眠りにつけるだろうとジムに通ったり、
ランニングに励んでいる人は、その時間に気を付けて。
21時以降の運動は、快眠を著しく妨げる要因になる。
「激しい運動をすると、興奮や緊張時に働く交感神経が優位になり、
その後の眠りの質が悪くなってしまいます。ヨガやストレッチなど、
呼吸とともに行う運動は有効ですが、女性に人気のホットヨガは
負担が大きいので、同じく21時以降は避けた方が無難です」
友野さんのおすすめは、筋弛緩運動。椅子に深く腰を掛けて、
顔を含めた全身にぐっと力を入れて10秒間ホールドし、
全ての力をフッと抜く。これを5回繰り返した後にベッドに入ることを習慣付けてみよう。
「全部で1分にも満たない運動ですが、冷え性の人は、
手足がじんわり温まっていく感覚が分かると思います。
これを入眠儀式と呼ばれる眠りに入る前の習慣として癖付けすれば、
出張などで環境が変わってもよく眠れるようになるはずです」
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NG行動その3
寝る前に大好きなミステリーの本を読む
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音楽やアロマ、読書など、眠りに就く前に心を穏やかにする趣味を
楽しむのは快眠のための良い習慣。ただし、読書をするときは
その内容に注意が必要だ。
「読書の場合はミステリーやサスペンスなど、
ワクワクドキドキさせられる内容や、続きが気になってしまう
内容の本は避けるのが賢明です。興奮して寝付きが悪くなってしまいます。
オススメは心温まるショートストーリーや、
リラックスできるような写真集など。もしくは、
全く興味のない分野の本をパラパラとめくると、面白いぐらい眠気が来ますよ(笑)」
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NG行動その4
カーテンをしっかりと閉めて寝る
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友野さんによると、睡眠の質を高めるためには、
光をコントロールするのが一番。
特に朝の太陽の光を浴びることが重要だという。
「朝に太陽や蛍光灯の強い光を浴びることで、
体内リズムはリセットされます。
その結果、毎日の快眠につながりますし、
すっきりと目覚めやすくなります。
脳は、まぶた越しでも光を感知して起床の準備を始めるので、
レースカーテンのみ閉めて眠るのがオススメです。
全開にするのが厳しいようでしたら、10cmだけでもいいので開けて眠りましょう」
さらに、眠りに入る1時間前から暖色系の間接照明に切り替えると、
リラックスして眠りにつくことができるのだとか。
------------------
NG行動その5
眠れないときでも、とりあえず布団に入る
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「明日は大切なプレゼンがある!」そんなときは、
興奮と緊張のあまり眠れないことも。
眠らなければと焦った状態で、布団の中でゴロゴロ……。
そのような場合は、意外にも「いっそのこと寝ないという選択肢もアリ」と、
友野さん。
「たとえ1日ぐらい眠らなくても、翌日にいきなりパフォーマンスが
急低下してしまうことはありません。眠れない日が続くのは
大問題ですが、1~2日ぐらいなら大丈夫。大きな心で、
ゆとりを持って睡眠を考える気持ちが大切です。
今日寝れなかったら、明日は早めに帰って早めに寝てみるという
ぐらいで十分。毎日の睡眠を細かくコントロールするのではなく、
1週間のスパンで大きく考えてみましょう」
とはいえどんなに睡眠に気を配っても、
どうしても眠くなってしまうこともある。
特に女性の場合は、生理前にたまらない眠気に襲われることもあるだろう。
「そんなときは椅子に座った状態でいいので、
少し眠りましょう。15時までの昼寝は脳の回復に効果的です。
脳が疲労したままだとマイナス思考に陥りやすくなり、
ゆくゆくはうつ病を発症する遠因にもなりますが、
脳の疲労が回復すると、プラス思考が生まれやすくなります。
仕事の効率を上げ、達成感をしっかりと味わうためにも、
ランチの後にコーヒーやチョコなどカフェインを多く含むものを取った後、
15分~20分、昼寝をしてみて。目を閉じているだけでもOKです。
カフェインが効き始めるのが約30分後なので、
すっきりと目を覚ますことができますよ」
忙しい毎日であっても、少しの心掛けで眠りの質は改善できる。
心身ともに元気に働いていくために、毎日の睡眠を見直してみよう。
だそうです。