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【都立社会】都立入試に「弾劾裁判」は出るか?

[2024年5月8日 更新]
弾劾裁判とは、カンタンに言えば裁判官を辞めさせる(罷免)かどうかを決める裁判のこと。
日本国憲法が公布されてから10度、弾劾裁判で罷免訴追(ひめんそつい)が行われている。うち8件が罷免、2件が不罷免だった。

もっとも最近の判決は2024年4月。仙台高等裁判所の岡口基一判事が罷免。

Twitter(現X)へ不適切な投稿で殺人事件の遺族を傷つけたのが理由。

SNSの不適切な投稿で殺人事件の遺族を傷つけたなどとして訴追された仙台高裁の岡口基一判事(58)=職務停止中=の判決が3日、国会の裁判官弾劾裁判所(裁判長・船田元衆院議員)であり、船田裁判長は「遺族の尊厳を侵害し、表現の自由として裁判官に許容される限度を逸脱した」と述べ、「罷免」を言い渡した。 

裁判長の船田元(ふなだ はじめ)氏は現役の衆議院議員。元(もと)衆議院議員ではない。
弾劾裁判は国会議員によって行われることが分かろう。

翻刻憲法64条1項 では
国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。 
とある。
衆議院と参議院の合計14名の国会議員(各議院ごとに7名ずつ)で構成されている。

最新の裁判員はここに掲載されている。





なお民事裁判で、岡田基一氏に「遺族への損害賠償する」判決も下った。

東京都江戸川区で2015年に女子高校生が殺害された事件をめぐり、岡口基一・仙台高裁判事(56)=職務停止、弾劾(だんがい)裁判中=からネット上の投稿で侮辱されたとして、遺族の両親が岡口氏に計165万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、東京地裁(清野正彦裁判長)であった。判決は、投稿の一つについて「事実に反し、遺族の人格を否定する侮辱的表現」と認め、岡口氏に計44万円の支払いを命じた。


なお弾劾裁判所では「資格回復裁判請求」というものも扱われる。
カンタンに言えば罷免された裁判官の資格を回復するかどうかを決めるということ。
どんな人が資格回復を許されたか。興味があれば弾劾裁判所のホームページを見るといい。

◆本題
前置きが長くなった。
では都立高校入試で「弾劾裁判」が出たことはあるのか。
結論、過去23年間で3回

最近だと2007年度。
日本国憲法における国会の仕事について述べているものを選ぶ問題。選択肢は
ア 条約を締結する。
イ 一切の法律,命令,規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する。
ウ 憲法及び法律の規定を実施するために,政令を制定する。
エ 罷免(ひめん)の訴追(そつい)を受けた裁判官を裁判するため,弾劾(だんがい)裁判所を設ける。

もちろんアとウは内閣の仕事、イは裁判所の仕事である。


もう1年前、2006年度はこんな問題。
刑事裁判の流れについて述べているものを選ぶ問題。選択肢は
ア 国の行政処分の取り消しを求めた住民が原告となって,行政機関を相手に裁判を起こした。裁判所は「公共の福祉」を理由に原告の訴えを退けた。
イ 交通事故にあった被害者が原告となって,加害者を被告として損害賠償を求める裁判を起こした。裁判所は調停案を示し,和解が成立した。
ウ 国会議員で構成される裁判所が設けられ,信用を失う行為があった裁判官に対する裁判を行った。裁判所はその裁判官を不適格と判断し,罷免(ひめん)した。
エ 検察官が原告となって,警察の捜査で逮捕された被疑者を被告人として起訴し,裁判が始まった。裁判所は被告人に有罪の判決を下した。
答えは記事の最後に書いたので、受験生はぜひ考えてもらいたい。
保護者も同様に考えたらいい。中学校で習った内容だ。解けなきゃ子どもを笑えんぞ。

さらにもう一回、2002年度入試。
内閣の仕事を選ぶ問題の選択肢に「罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、弾劾裁判所を設ける」がある。もちろんこれは不正解。

◆最近は出ていない
2007年度を最後に、都立入試では弾劾裁判は出題されていない。
では今後も出ないかというとそうとは限らない。覚えておくといい。
このブログを読んで弾劾裁判とは何ぞやが分かってくれればうれしい。


答え
アは行政裁判,イは民事裁判,ウは弾劾裁判、エが刑事裁判である。

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