2019年現在、都立高校普通科は定員の20%が推薦入試で合格する。
ただし、新宿高校と青山高校のみ10%となっている。
人気のあるこの2校は、なぜ推薦入試の枠が少ないのか。
ネット検索しても出てこないから教えてほしいと生徒に聞かれたことがある。
新宿高校の説明会ではその話題はなかった。もちろんホームページにも載っていない。
そこで今回は、私の考えた理由を伝える。
◆男女の生徒数を同じにするため
新宿高校は単位制のため、男女別々に定員を設けていない。
国分寺、墨田川高校なども同様である。
一般的には男子より女子の方が通知表の点数がいい。統計を取ったわけではないが絶対評価が導入されてから16年、塾講師を務めてきて肌で感じていることだ。
トップレベルの子は男女それほど関係ないが、新宿・青山レベルであれば間違いなく女子の方が通知表の点、つまり調査書点(内申点ともいう)は高い。
表でも分かる通り、新宿は女子の推薦応募者が男子の倍多い。
しかも女子の方が調査書点が高いので女子の方が合格率は高くなる。結果、推薦入試では女子の方が倍率が低くなる(=受かりやすい)のだ。
表の「倍率」を見てもらいたい。2019年度こそ男女ほぼ同じ倍率だが、それ以前の10年間はいずれも女子の方が倍率が低い。
推薦の枠を大きくするほど、女子の合格者数が増えるのだ。
男女の生徒数差を大きくしないため、新宿は推薦枠を10%に抑えているのだろう。
なお一般入試では男女の倍率はほぼ同じ。
◆学力だけを見ると、女子よりも男子の方が高い傾向がある
では、なぜ女子生徒数を多く取りたくないのか。
それは「国立大学合格実績のため」ではないか。
例えば東大合格者の多い高校を見ると、上位15校は
<男子校>開成、筑駒、麻布、灘、栄光学園、聖光学院、海城、駒場東邦、ラサール、浅野、早稲田、筑附
<共学校>学芸大附属、日比谷、渋谷教育幕張
<女子校>桜蔭
上位20校を見ても、女子学院が加わるだけ。圧倒的に男子校が結果を出している。
もちろん東大だけがすべてではないが、一橋や東工大などの難関国立大を見ても同じ傾向がある。
これも経験則だが、「女子は安全策を取る傾向が強い」ということ。
落ちそうな大学はそもそも受けないということが男子より多い。
一般入試を受験する大学の数も、男子と比べて2~3校は少ない。
指定校推薦で早くラクになりたいと思うのも女子の方が多い。
指定校推薦枠も女子の方が多い。女子大学はあるが男子大学はないからだ。
こういった点から「いい合格実績を稼いでくれる男子を多く取りたい」のが思惑なのではないだろうか。
もちろん高校側はそんなことを口に出せるわけがない。大問題になるからね。
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