とある寺院の日記。苦労もあれば夢もあります。ごくごくフツウの毎日ですが・・・。
tera日記
道元の冒険
久々の日記です。盆月の行事、第1期が終了しました。梅雨明けはまだのようですが、暑い日が続きます。
昨日、タイトルの演劇を見たという人の話を聞きました。
『道元の冒険』は、36年前の1972年にすでに上演された井上ひさし作の戯曲で、この度、再び内容が改変されて上演されているのだそうです。こんな演劇があったのは知りませんでした。
5年ほど前に、道元禅師750回忌大遠忌に合わせて、狂言の『椎茸典座』、歌舞伎の『道元の月』などが上演されましたが、これらは曹洞宗・永平寺などが関わった布教教化事業の一環としての性格が強いと思われます。しかし、この『道元の冒険』はまったく宗門外部の目による作品と言えます。
また、先日、NHKの「家族で乾杯」の番組に出ていた俳優の勝村政信さんも波多野義重役で出演し制作中であるという映画「ZAZEN」(仮名)も、来年には封切られるようです。これも道元禅師の生涯を描いたもののようです。
相次いで取り上げられる道元禅師。今、道元ブームが訪れているのでしょうか。
映画については、5年前のころも検討はされたようですが、制作には至らなかったようです。その頃に感じたことでは、道元禅師の伝記は、ドラマ、映像のシナリオ性として表現が難しいのでは・・・ということでした。けれども、取り上げ方では、奥の深いストーリーが展開される要素が沢山あることも確かなのだと思います。
『椎茸典座』では、中国での修行時代の典座和尚との出会いの場面が題材になっています。『道元の月』では、永平寺の修行期に道元禅師が鎌倉に説法に出向いた史実が取り上げられています。
今回の『道元の冒険』では、中国から帰国して、興聖寺で活動を始めた頃の延暦寺との対峙をベースに、現代の社会のひずみをダブらせて風刺する、宗教・異端、真理とは何かを描いた現代作品のようであります。宗門関係者からすれば、全く予期せぬ取り上げ方かも知れません。
今後の公演予定
~7月28日まで 渋谷文化村シアターコクーン
8月3日~10日 大阪シアターBRAVA
そして、来年封切られる予定の映画では、道元禅師の一代記を追いながら、中国僧、寂円や道元門下の僧、そしてフィクションとして設定された人物との人間模様を中心に描かれているようです。これは、宗門関係者が関わっているものの、シナリオを風の便りで聞く限りは、史実を越えて、ドラマチックに道元禅師を描く画期的なもののようです。
これらがどのような評価を受けるのかは、時が経ってみないとわからないのかも知れません。
そして、書店には、立松和平氏の小説『道元』、大谷哲夫先生の『永平の風』(映画の原作)、角川ソフィア文庫の『坐禅ひとすじ』、などの道元禅師関連の伝記が並んでいます。
ブームなのかどうかはわかりませんが、いずれにしても、道元禅師の人となり、一代記が、著名な作家、演出家、興業主の目に止まり、世に発信したいと思われることは歓迎すべきことかも知れません。それにより、より多くの人に道元禅師が理解され、その思想に触れるきっかけとなってくれることは嬉しいことです。
先日のNHKの「家族に乾杯」では、アポなしで永平寺の取材を断られたというのも、やらせなしのリアル性を感じ、永平寺らしさに苦笑してしまいましたが、中学校での挨拶や掃除の徹底には感動しました。ここにも道元禅師・永平寺の精神の一部が反映されているようにも思い、全国の人に理解を深めて頂けたのではないかと喜んでいます。
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『道元の冒険』観てきました。まぁ、文学者である井上ひさし氏(高校の先輩だったりします。板橋禅師も)による原作ですから、非常に独特な内容になっていますけれども、舞台としては大変に楽しめました。
また、この前行った時には、宗侶とおぼしき方も、何名かおられましたね。
映画については、腰までドップリとつかるくらい関わっているのですが、10月には試写会を行い、いつでも公開できる状況になります。
道元禅師と曹洞宗の宣伝という意味では、このような作品群は使えますね。
映画についてもご苦労様です。楽しみにしております。
SZI記念誌の貴師のブログ発信記事、興味深く読ませて頂きました。宗門用語辞書としての貴重な情報発信、有り難うございます。