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ネット坐禅会・その20・・・曹洞宗の坐禅・帰家穏坐

ここまで曹洞宗の坐禅の特徴について述べてきました。

1.釈迦が坐禅によって悟り、祖師方に受け継がれ、仏教を学ぶ正門としてきたこと。 釈迦の悟り

2.人は、自らの中に仏の可能性を備えていると思えること。 仏性

3.しかし、仏としての行いを実践しない限りは、現れては来ない。 修証一如

4.そのためには、自我の思い計らいを離れ、本来の自己を実現するための坐禅が大切であること。 身心脱落

この坐禅による身心脱落の効果は、どこにあるのか。もともと坐禅は効果を求めない、功徳は無い、とすすめられている傾向があります。それは、自我の思い計らいを打ち消すための方便でもあり、坐禅の効能は計り知れないところにあります。『宝慶記』(道元禅師が中国で如浄禅師より教えられた内容の記録書)には、坐禅によって、本来の仏の姿を覆い隠す無明の煩悩という蓋のような存在(五欲・五蓋)を取り除く計り知れない効果があると記されています。

祇管に打坐する時、五欲を離れ、五蓋を除くなり。(宝慶記) 純粋に只坐っている時こそ、五欲と言われる欲望を離れ、その欲望によって覆われている五蓋と呼ばれる迷いや障壁を取り除いてくれるのです。

  ※五欲…食欲、財欲、色欲、名誉欲、睡眠(怠惰)欲
  ※五蓋…貪欲蓋、瞋恚蓋、睡眠蓋、掉悔蓋、疑蓋

五蓋の煩悩皆無明より起る。無明は己を明らめざるなり。坐禅は是れ、己を明らむるなり。(坐禅用心記) 五欲によって覆われている迷いや障壁は、いつかしら身についている「無明」と呼ばれる迷いの根源から派生します。この迷いの根源は、本来の自己の中にある悟りの心を覆い隠してしまいます。しかし、坐禅こそが、この本来の自己を実現してくれるのです。

若し無明を断ぜんと欲せば、坐禅弁道最も是れ秘訣なり。(坐禅用心記)  もし、この「無明」を断ち切ろうと念ずるならば、坐禅こそが、最善の道で、(自己を実現させる)最も大切な秘訣なのです。

さらには、坐禅というものは、外に向かって、何か別なる境地を身に着けようとするものではなく、自分という内に向かって、静かに穏やかに坐って安心できるものだという瑩山禅師の説明もあります。これを「帰家穏坐」と呼んでいます。まさにコロナ対策に相応しいステイホーム坐禅です。

只箇の坐禅は、一切休歇し、処として通ぜずということ無し、故に家に還って穏坐するに似たり。(坐禅用心記)   ただひたすらな坐禅(祇管打坐)は、一切の妄想を断ち切り、素晴らしい自分が満ち溢れて行き渡らない事はありません。正に自らの居所に帰って安らぎを味わうことと似ています。

 

 

 

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