南部吟遊詩人の写真館

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盛岡の名邸・一ノ倉邸②~建物編~

2011年11月16日 01時21分54秒 | 一ノ倉邸

盛岡の名邸・一ノ倉邸は明治40年に建てられた建物を持ち、その広さは145坪ほどあります。

今回はその建物を重点的にご紹介しましょう。


入り口の門です。閉館時には閉ざされています。

中に入るとまず、豊かな緑が目に着きます。

右手に壁沿いに進むと、

玄関が現れます。

実はこの玄関には張り紙があって、ベルを鳴らし、管理人を必ず呼んでくださいとお願いがあります。
「声なき侵入者になりませんよう」とかなんとか。

一人できているシャイな私はこっそり見たかったのですが、
なんか怒られても嫌なので、とりあえず「すいませーん」と大声で呼んでみます。

それにしても、飾り付けのきれいな玄関です。和みます。

管理人さん(盛岡市の職員)の方が出てきて、建物の説明をしてくれることになりました。
中は寒いからと、厚手の毛糸の靴下も貸していただきました。なんて心配り!!
「呼んでよかった!!」心の中で叫びました。

↓この天井をご覧ください。入った瞬間は気づきませんでしたが、お寺なんかと同じつくりになっています。

玄関から凝った作りです。
さらに、この玄関の床板も見事。約100年前の見事な色つやです。
この作りはほとんど当時のままなのだそうです。

右手を進むと要人専用の座敷につながります。そこへ通じる廊下は一段と狭くなっています。
↓これはなぜなのでしょう?

実は要人警護のため、この狭さでは刀が抜けないようになっているのです。
「刀て…」(;゜ Д゜)
まだ、明治時代はそういう風に刀を持っている人もいたのだそうで……そうだったっけ?廃刀令とかなかった?

↓しかも、いざという時に備え、シャッターにもなっている。

100年前でこのスペックはすげえ。

しかも、すごいのはそれだけじゃない。なんだか廊下が明るいな~、電気の明りとは違うしなあ…と思っていると、

↑これ、なんだと思います?

↑天窓なんです。100年前で、このスペック!!(2度目)


↑ちなみにトイレです。なんだか高級和風居酒屋か旅館みたいな…。でもここ、基本的に個人の邸宅なんだよなあ…

中の便器はリフォームされていますが、作りは当時のまま。

出入り口に鏡台があるなんて、今のデパートの女子トイレみたいな…


↓で、ここが要人専用の部屋。ここの建て主・阿部浩は東京府知事などを務めた政治家。原敬もここにきていたらしい…

↓床の間には、こんな茶目っけのある説明が…

(この一ノ倉邸はいたるところにこんな張り紙の説明や注意書きが多いんだけど、所長(盛岡市職員)の趣味らしい…
なんか一言余計というか…洗練されていないというか…。でも、そこが温かみだったりする。
やたら事務的でそっけない説明よりそんなのがあってもいいような気が私はする。「個性」が見えて面白いなあと思う。)

↓ちなみにこの部屋は控えの間を挟んで外への廊下がある。この部屋のつなぎ目でなにか気づきましたか?

正解は↓この欄間。この建物のほとんどは秋田の杉(名木とされている高級品)をつかっているのだが、なかでもこの欄間は千年杉の断面を使い、そのままの木目を欄間にしたものだという。つまり、加工のない自然の美を配しているわけだ。これぞ至高の贅沢の一つ!!


さらに、要人の間に廊下を挟んで広間があるのだが…

そこにもその欄間が

ある!↓(ちなみにと床の間の脇にある棚や庭の側にある書院造の物書き専用スペースもポイント高い。上品で趣味がよい。)

今でいえば、欄間だけでウン万いくんじゃないかなあ…少なくとも十万くらいはしそうな…よくわからないけど。

さらに、廊下にも注目。

↑庭側の梁。これ一本木らしい。ぱねぇ。10間というから18mあまり。こんな柱が廊下にはいちいち使われている。マジ、パネェ。なかなか取れないぞ、こんな木。しかもよくよく見ると、あちこち柾目(「まさめ」・木の繊維が全てまっすぐになっている板。もちろん高級品)しか使われていない。

ガラスも昔のもので、わずかに歪んで波打っている。これが昔のガラスの特徴で、とても趣深い。

廊下の床板も、玄関同様、使いこんで磨かれた味がある。この艶は100年経たないと出ない。しかも上質の木材でなければこうはいかない。



さらに廊下には「お水とり」なんてなかなか見ないものもある。

これは、外から水を汲んでおいて、すぐそばの部屋の囲炉裏で茶の湯やなんかに使うものらしい。

座敷にこういった囲炉裏が切ってあるのもとても珍しいし、大きすぎないのが上品。

中は銅板で保護されている。

更に、さっき写真にもあったけど、目ざとい人は気がついたかな?

↑当時の電話です。すごい…。もうここまで来ると、だんだん言葉も出なくなってくる。

廊下を一周してくると、この建物についての展示スペースがある。

↓この写真が阿部浩とその奥方。

この豪邸のジオラマもある。広大すぎる。


さらに、当時の居住スペースと思われる西側の続きの座敷には当時の文物や企画展が行われていた。

レコードですな。

4部屋がズドンとつながる。

この戸棚も凝った造りです。

これは多分、食器戸棚。

床の間も上品です。

現在(2011年11月)、企画展中。らしい。

竹取物語らしい。


建て主・阿部浩専用トイレというのも面白い。



今回の撮影は久々にテンション上がったよ。
【撮影日:2011/11/10】

↓【今回の見取り図】↓


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