
白いぼうし
4年生の助勤に入った。
白いぼうしのテストを行っている様子を、
担任のお留守番をしながら見ていた。
25分ほどで、ほぼ全員が終わった。
このまま、読書をさせて後の20分を過ごさせるものもったいないと思った。
そこで、
子どもから教科書を借りて、1の場面の途中まで
「白いぼうし」の本文を板書した。
そして、
テストの終わった子どもたちと、
15分ほどだったが、国語の授業を行った。
黒板に書いた文を読んでみましょう。
始めて読んだにしては、素晴らしい!!
上手に読めるね!!
すごい!!
「先生、はじめてじゃないよ。」
「もう何回も読んでるんだよ。勉強したんだ。」
な~んだ、どうりで上手だと思った!!
じゃあ、みんなは「白いぼうし」をよく知ってるんだね。
前から、疑問に思っていたことがあるんだけど
教えてくれる?
「いいよ!!」
あのね..
これは、何月何日のお話なの?
「6月だよ。書いてあるじゃん。」
6月は分かったけど、何日なの?
「そんなの、わかんないよ。」
そうかなあ。知りたいんだけどな。
書いてあるような気がするんだけどな。
「『今日は、6月のはじめ。』と書いてあるから
6月1日じゃないの?」
「1日かどうかは、分からないよ。
1日~3日ぐらいのことじゃない?」
「それじゃあ、「はじめ」にしては期間が短いよ。
1日~5日ぐらいじゃないのかな?」
「ぼくは、1日~10日だと思うな。」
子どもたちが言うように板書します。
①6月1日
②6月1日~3日
③6月1日~5日
④6月1日~10日
そして、どれかに手を挙げてねと言います。
「ちょっと待って。」
「考えるから。」
「初めだから、最初の方だよね。」
「10日じゃあ、もう月の半ばになっちゃうんじゃない。」
「5日も、あんまり初めって感じはしないな。」
挙手します。
①6月1日
②6月1日~3日
が半々。③④は手が挙がらないので消します。
このどっちなの?
「そんなの、これ以上は分かりっこないよ。」
「どっちでも、いいんじゃない?」
いや、これは、答えが載っているんだよ。
「どこに?」
6月のはじめって書いてあるでしょ。
「だから6月の初めは、①か②だよ。」
でも、どっちかにしたいんだな。
「そんなの分からないよ。」
わかるんだな。
「じゃあ、教えてよ。」
いいですよ。
国語辞典を持ってらっしゃい。
え~と、はじめ....
あなた、読んでください。
「始めること(時)。始まった段階。最初。」
「あっ、1日だ。」
どうして1日って分かるの。
「だって、最初って書いてあるもの。」
そうだね、最初なら①の6月1日だね。
じゃあ、それはどんな日なの?
「暑い。」
「夏がはじまったって書いてある。」
「夏の最初だね!!」
「シャツを、腕までたくし上げている。」
じゃあ、この暑い中で、
松井さんのタクシーは窓を開けてるの?
「開いてるさ、暑いんだもん。」
「クーラーをつけてるかもしれないよ。」
「じゃあ、窓は閉まっているかもね。」
「ほう、夏みかんてのはこんなに「におう」...って書いてあるでしょ
そんなに、「におう」ってことは、窓が閉まってるんだよ。」
「開いてるよ。」
「閉まっているよ。」
じゃあ、やってみようね。
シャツを腕までたくし上げているをやってみよう。
「ここまでだよ。」
そんなに、上まであげるんだ。
「だって、『うで』までだもん。」
へ~
「やっぱり、暑いんだよ。」
「我慢できないぐらい暑いから、腕まであげるんだ。」
「じゃあ、クーラーはついてないよ。」
「クーラーがついてたら、
上着もぬがないし、シャツもたくし上げないよ。」
なるほど、クーラーはないんだ。
「そうそう。だから、窓を開けてるんだよ。」
「そうしないと、がまんできない。」
「だって、夏が始まっちゃったんだから。」
へ~、
「じゃあ、夏みかんのにおいがすごいのは変だよね。」
「窓が開いていたら、風が入ってくるもの。」
「『赤信号で、ブレーキをかけた。』って書いてあるでしょ。
車は、止まったんだよ。」
「車が止まって、外の風がなくなったから
ほう、夏みかんってのはこんなに「におう」って言うほど
いい匂いがしたんだ。」
そうか、車はブレーキをかけたんだね。
ところで、じゃあ、
車が止まって、車に風が入らなくなるのはどこなの?
「信号が赤なので.....」
「あれっ、でもさあ、その前から
『いいにおい』がしてるよね。」
「うん、信号が赤になる前から
『これは、レモンのにおいですか』って言ってる。」
「じゅあ、風が入ってもいい匂いなんだ。」
「それぐらい、においがたくさんなんだ。」
「すごい、夏みかんだね。」
「風に、負けないにおいなんだ。」
さて、これでやっと先生が
前から、疑問に思っていたことが聞ける準備ができたよ。
「え~、何を聞きたいの。」
あのね、前から不思議に思っていたんだけど、
そんないいにおいの『夏みかん』を
『レモン』と間違われたわけでしょ。
だから『いいえ』と言ってるでしょ。
ふつう『いいえ』って言ったら
怒るよね。
なのに、松井さんは『にこにこ』してる。
これがどうしても、どうしてか分かんないんだな。
「え~どういうこと。」
だって、今から私が
(目の前の子を指さして)
あなたは、バカ!! って言ったらどう思う。
「いやだなあ。」
(別の子をさして)
あなた、ぶす!! って言ったらどう思う
「え~、ぶすじゃないもん」
そうでしょ。
怒らないまでも、ふつう、にこにこしないよね。
なのに、にこにこなんて変だよ。
「それはね、においに気付いてくれたにこにこだよ。」
「それぐらい、いいにおいだってほめてくれたんだよ。」
「レモンと夏みかんなら、
ふつうレモンの方がいいにおいでしょ。
そのレモンと間違えるぐらい
レモンよりいいにおいだといってるんだから、
すっごいいいにおいだと、ほめてるんだよ。」
そうかあ、レモンか夏みかんの間違いより
においに気付いてくれたことが
「うれしいんだよ。」
「だから、にこにこしてるんだ。」
「においに、気付いてほしかったんじゃないのかな。」
..............
......
ここで、15分経過
今日のミニ授業はおしまいです。
ちょっと強引でしたが...
国語っておもしろいね。
どんどん、発見するね。
また、一緒にお勉強しようね。
こう言って、教室をでます。