
出張から帰ってくると、2年生の担任二人が「お手紙」の指導案作りの真っ最中でした。おもしろそうなのでその中に入れていただきました。
ふたりとも かなしい気分で、げんかんの前に こしを下ろしていました。
から問題を見つけます。
がま君が悲しい気持ちなのは分かります。
「だれも、ぼくに お手紙なんか くれたことがないんだ。
毎日、ぼくのゆうびんうけは、空っぽさ。
お手紙を まっているときが かなしいのは、そのためなのさ。」
と言う言葉があります。
【待つ:何かがそこに来るものと予期してそれまでの時間を過ごす。(新明解)】
【空っぽ:その中にあるべきものが何もない様子(新明解)】
毎日、手紙が来ると信じて待っているがま君。ところが、毎日、郵便受けには手紙が届かない。それが、がま君は悲しいのです。
しかし、それならばかえる君まで悲しいのはおかしな事です。
『だれも』とは一体だれのことなのか?
【だれも:自分以外の人を指す言葉(新明解)】
この場合の『だれも』とは、がま君が手紙を欲しいと思う相手であるから、ある程度限定はされるであろう。
もちろん、その中にかえる君も入っている。
このとき、かえる君は 自分ががま君に手紙を出していないことに気がつきました。
そして、そのことで、毎日毎日がま君に悲しい思いをさせていたのです。
そんな授業をしていこうと考えています。
まず、がま君が悲しい気持ちになる理由を
毎日、手紙が来ると信じて待っているがま君。ところが、毎日、郵便受けには手紙が届かないからととらえます。
次に、かえる君はなぜ悲しいのだろうと考えます。
ここの子供からの反応が作れません。
①がま君と同じ理由
②がま君とは違う理由
これだと対立問題にはなりますが、子供から出るだろうか?難しい表現ではないかと考えます。でもこれを優しい表現にすると対立の構図が見えてきません。
①毎日郵便受けには手紙が届かないことが悲しい。
②毎日郵便受けには手紙が届かないことが悲しい以外の理由。
となってしまうからです。では②にどんな答えが入るのか考えますが、堂々巡りであれもこれも出てきてしまいます。
本分から作れないかを考えます。
①だれもお手紙をくれないから。
②郵便受けが空っぽだから。
これでは、がま君の悲しい理由になってしまいます。
①だれもお手紙をくれなくて、がま君が悲しんでいるから。
②郵便受けが空っぽで、がま君が悲しんでいるから。
これでは、どちらも同情している意味になりしっくり来ないようです。
私としては、とりあえず課題として残し、後に進むよう進言します。一度まとめまで行き着き、そこから遡って、そうなるように問題を作ったり、選択肢を作ったりするほうが、つじつまの合う指導案になるからです。
どの文を「展開の核」として選択させたいかについて話し合います。
「だれも、ぼくに お手紙なんか くれたことは ないんだ。」
にしたいと内山先生は考えています。
「この文を選んでくれれば、あとはまとめまで持っていく自信があるよ。」
「「だれも」に自分も入っていることに、例文を作って気づいてもらうようにしていけばいいと思うから、そこのところは指導案のこの辺りにもうできているんだ。」と話されます。
『だれも』とは一体だれのことなのか?
【だれも:自分以外の人を指す言葉(新明解)】
この場合の『だれも』とは、がま君が手紙を欲しいと思う相手であるから、ある程度限定はされるでしょう。
もちろん、その中にかえる君も入っています。
このとき、かえる君は 自分ががま君に手紙を出していないことに気がついたのです。
そして、そのことで、毎日毎日がま君に悲しい思いをさせていたのだと分かったのです。
では、どうやって「展開の核」にたどり着くか。それが分かりません。
かえる君が悲しいと思った理由は、3つのうちのどこから分かるの?と聞くと、浅い読みをしている子は、3つめの文の「かなしい」という言葉に単純に飛びつくでしょうし、2番目の「空っぽ」が気になる子がいてもおかしくありません。ここで時間を使うと、どんよりした重い空気の授業になります。
展開の核にずばっとたどり着く発問は何だろう??
ここまでで、とりあえず話し合いを終えました。私も気になったのでその後いろいろと調べてみました。
「困ったときは切る」「困ったときは辞書で調べる」これが、本校の国語の解決スタイルです。これで何か見つかるはずです。
「ふたりとも かなしい気分で、げんかんの前に こしを下ろしていました。」から「だれも、ぼくに お手紙なんか くれたことがないんだ。」にストレートに行ける言葉はないか、もう一度切ってみます。
「ふたりとも/かなしい気分で、/げんかんの前に/こしを/下ろして/いました。」
悲しいです。悲しいを徹底的に調べれば何か出てくるかもしれません。
明鏡国語辞典
悲しい
心がひどく痛んで泣きたくなるような思いがする。また、そのように思わせるさま。
情けなくて残念な思いだ。また、そのように思わせるさま。
広辞苑
【悲しい・哀しい・愛しい】 形 かな・し(シク)
自分の力ではとても及ばないと感じる切なさをいう語。悲哀にも愛憐にも感情の切ない
ことをいう。
『新明解国語辞典 第五版』
かなし・い[0][3]:[0][3]【悲しい】(形)
(一)〔不幸に会った時など〕取り返しのつかない事どもを思い続けて泣きたくなる気持(絶望的な感じ)だ。
(二)悲しい環境にある主人公の気持に共感される様子だ。
この中で、使える解釈はないか。あります。
「かなしい」という問いの言葉を共有のものにしていくことを最初にしなければならないのです。どうやって、全員のものにするか。それを教えてあえげるのが、私たちの仕事。子どもと同レベルでは変えてあげられないのです。
はじめの疑問があやふやだと、その後の疑問もあやふやで、ずれたものになりやすい。突破するべきいくつかの言葉を徹底的につかませるのです。そうすれば、「分かった」になります。辞書にこれだと思うのがのっていれば”使える!”のです。
「かなしい」・・・取り返しのつかない事どもをおもい続けて泣きたくなる気持ち。の「取り返しのつかない」は授業で使えるのです。
かえるくんは、がま君に手紙を出していなかったという取り返しのつかないことをしたことに気づいたので『かなしい気分』になっていたのです。
だから、「取り返しのつかないことをしたことに気づいた文を探そう。」と聞けば、内山先生の出したい展開の核「だれも、ぼくに お手紙なんか くれたことがないんだ。」に子ども達の目は一気に集中させることができます。
その後はプランができているのです。
かえるくんは、がま君に手紙を出していなかったという取り返しのつかないことで『かなしい気分』になっていたことになります。
そこで思いついたのが、がま君に手紙を書くことです。
ところが、かえるくんはすぐに手紙を書こうとはしていません。何故か?
となりに座っているがま君に手紙を書くのです。
その内容は、普段口にしないようなこと、それでいて、がま君に伝えたいことでなければなりません。今、一番かえるくんががま君に伝えたいことは何か・・・
というように、がま君と一緒にこしを下ろしながら、かえる君は手紙の内容を考えていたのです。
【もう:現在その状態になっていることを示す。(新明解)】
そして、手紙の内容が完成したとき、『もう、家へかえらなくっちゃ。』と、帰っていったのです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます