新採研の前に、各学年が国語の教材解釈をし、活発な議論の授業を展開し始めました。今年は、私は国語を担当していないのですが、どうしても国語の授業をしてみたくなりました。そこで、2年生にお願いして1時間だけ国語の授業をさせていただきました。
大問題は、
「スイミーだけ逃げたのか、みんなもスイミーも逃げたのか?」にしました。
この問題の答えは?
①スイミーだけ逃げた
②みんなも逃げたけど、スイミーだけ早いから助かった。およそこの2つに分かれました。
では、次の文の中から、その証拠の入っている段落を見つけよう!!
①ある日、おそろしいまぐろが、おなかをすかせて、すごいはやさでミサイルみたいにつっこんできた。
②一口で、まぐろは、小さな赤い魚たちを、1ぴきのこらずのみこんだ。
③にげたのはスイミーだけ。
手を挙げて選択させました。
③にげたのはスイミーだけ。が根拠として選ばれました。 さらに、これを切っていきます。
①にげたのは/②スイミーだけ。
すると、子ども達は②のスイミーだけを選びます。
さらに
①スイミー/②だけで選択をすると、②のだけが根拠として選ばれます。
ここの部分は、担任の先生がすでに授業を終えていて、およその意味を子ども達はつかんでいます。だから、「だけ」が大事なんだ。スイミーだけ特別なんだ。泳ぐのが早いんだ。スイミーだけ黒いんだ....とスイミーの特性がどんどん挙げられます。
しかし、ここで使われる「だけ」は、そういう意味ではありません。
そこで、「この文ちょっと変だよね。」普通は「逃げたのは、スイミーだけ。」なんて言わないよね。と切り返します。
ここで、子ども達は初めて考え出します。でも、はっきり分かりません。そこで「だけ」を使った例文を考えさせます。
このイチゴだけ、赤い。
男の子だけ、外で遊ぶ。
ぼくだけ、おやつがない。
夏だけ、暑い.......... そうかあ、順番が逆なんだあと、気づきます。
そこで、正しく板書し直します。
「スイミーだけ、にげた。」となります。
私としては、ここで落ちてくれると踏んでいました。
でも、子ども達はがんとして、納得しません。スイミーだけ、早いから逃げられたんだ。スイミーだけ、黒いから逃げられたんだ.....
仕方ないなあと、用意しておいた資料を提示します。
「にげる」
①つかまらないように、あいてのとどかないところへ、いそいでいく。
②きけんなばしょから、いそいではなれる。
これが、辞書に載っている「にげる」の意味です。
この場合は、①と②のどちらが場面にあっていますか?と聞いてみます。
子ども達は、ほぼ全員一致で、「②きけんなばしょから、いそいではなれる。」を選びます。 そこでこんな絵を描いて、考えさせます。
危険な場所ってどこ?
大きな魚のそば。大きな魚が食べようとしているところ。
「そうだよね。」といいながら、この絵に次のように書き足します。
わ~、こわい!!と子ども達は喜びます。
ここでもう一度②きけんなばしょから、いそいではなれる。 を読ませます。
そして、「き・け・ん・な、場所から、は・な・れ・る。」
といいながら、次のように絵を変えます。
これで、普通は
そうかあ、スイミーだけ逃げて、あとの魚は逃げられなかったんだあと気づくはずです。そうすれば、
「気づいていたけど体が動かなかったのかもしれないね。」とか「スイミーが逃げようっていったのに、信じなかったのかなあ。」なんて話し合いが動くと思ったのです。
が、がんとして、でも、それでも、みんなも逃げたけど、逃げ切れたのはスイミーだけなんだと考えを変えてくれません。
なかなか授業ってうまくいきませ~ん。
でも、私はこの場面はかなり重要だと考えています。「泳ぐのが誰よりも速い」「真っ黒」はでてきますが、この部分以外に、スイミーの頭の良さや、視野の広さ、敏捷性、気配りを示唆する言葉がないのです。ですから、ここでスイミーが他の魚のリーダーとしての素質があることを、見つけておきたいのです。
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