武漢ウイルス感染症(WARS、https://blog.goo.ne.jp/tributary/e/84da922cdd25a87b24d80a3e0c6df67b)の流行は、とりあえずは第一波が収束傾向にある。そこで流行後の世界がどうなるのかを考えてみたい。まずは、日常生活がどうなるかである。
この先は、この武漢ウイルスが完全に消えることはないだろう。流行の終息までにも、2年程度はかかる。それまでに再流行があれば、終息は先送りになる。発熱や呼吸器症状、それ以外にも様々な説明つかない症状があれば、WARSが疑われる。インフルエンザと同様、冬季に流行が強くなり、流行の度にウイルスは変異(進化)して、徐々に扱いにくくなるであろう。厄介なことに、インフルエンザより伝染力や致死率は高い。しかも、症状が出る2日くらい前から伝染力があるという。いつWARSに伝染するか分からないし、感染すると死ぬかもしれない。常に警戒が必要となる。
身近なところでは、マスクと手指衛生は当然で、距離を取る、遮蔽するなどの防護体制が一般化する。唾が飛ばない気遣いや飛沫を防ぐ手立てが、礼儀や習慣として定着する。お食事所では客数を抑え、食事中の会話は最小限とする。夜の接待もお酒を控えて、よそよそしいものになる。大人数の宴会や余興は見送られ、祝賀会や披露宴なども影をひそめる。交通や興業は定員を絞り、そこでの会話や飲食も抑制が求められる。学校も生徒数を絞ってクラスを開き、人間同士が接触するクラブ活動も低調になる。病院受診も躊躇いがちとなり、検査や治療も切迫したものに限られる。介護のお世話も間遠になる。
このような変化に伴い、産業構造や経済活動には大きな変化が訪れる。特に、運輸(交通手段の利用減)、宿泊(旅行の減、宴会の減)、飲食(外食や接待の減)、娯楽(観劇などの催事の減)関係の影響が大きい。これらの業種が不況となれば、関連する建設、不動産、金融、広告にも影響する。少しは影響が軽そうなのは、農林業、漁業、鉱業、電気、小売、事務所(法律、会計など)、教育、医療、介護、警備などである。製造業は製造する品によって影響は様々である。盛んになる可能性があるのは、通信機器やAIに関係する情報通信関連であろうか。しかし、多くの業種であまねく需要が低下し、減収・減益や失業・倒産が多発する。
テレワークでの自宅勤務やWeb会議の多用などで、経済活動は維持できる。しかし、人と会わないと果たせない任務や、会いたいという心情は偽れない。余りの経済の停滞や交流の不足に直面し、恐る恐るであっても、制約や自粛が解除される。すると(必ずしも因果関係なく)再流行が起こり、再び自粛要請される。どの程度の制約もしくは緩和になるかは、医学的な知見、検査法、治療法の進歩に左右される。全面緩和を果たすには、ワクチンか有効な治療法が必要条件だろう。それまでは、不完全ながら症状などで感染者を排除する方法がとられる。不特定多数にPCR検査を行うことは、今の検査精度では感染を防止できないばかりか混乱を招く。
流行抑制か経済活動かのジレンマの中で、警戒体制の強化と緩和を繰り返しているうちに、WARSは風土病に変わる。そうなると、WARSが再流行しても、それで人で死んでも誰も驚かなくなる。これが常態となる。昭和25年までは、結核が蔓延し若い命を次々に奪っていた。何と年間10~15万人が死んでいたのである(10万人当たり約200人)。しかも毎年。WARSの場合は、今までの総計で患者が2万人、死者は千人(10万人あたり1人)に満たない。ちなみに、(強力なワクチンや治療法のある)現代でも、年間約2万人が結核に罹患し、約2千人が死んでいる。この数字は先進国の中では最悪である。インフルエンザでも約2千人が亡くなっている。しかし、結核やインフルエンザを警戒した大規模な自粛は実施していない。常態である。
ヒトはタフな生物である。WARSは日常生活を変えるのではなく、日常生活に変わる(同化する)。