武漢ウイルス感染症(WARS)の患者数は累積で約100万人、死者数は1.5万人となった。国民の1%が感染し、その致死率は1.5%となる。最近は第5波が爆発的で、東京都で1日の新規感染者が5000人を超えた。以前と異なり若い人が大半であるが、重症患者も発生する。中等症患者も悪化の危険がある。しかし、入院は容易でなく、待機者が十倍にも増え社会不安になっている。どうして入院できないのか。
https://blog.goo.ne.jp/tributary/e/2aec8bf380e982261d556b451b2c5f65 参照
重症患者の管理はICUを持つ大病院に限られる。それでも、他の病気の診療を止めて20例、通常の医療も維持するなら4例程度である。重症以外の患者も看護師が3倍以上必要で、20〜40例を受け入れれば限界である。西欧諸国がよく見えるのは、ICUの設備と人員が日本の数倍充実していたからである。そうでもない国では、入院はさせても十分な管理ができていない。適切な管理をするなら、この症例数が上限なのである。
しかし幸いにも、患者数の急増のなか死者数はむしろ減少している。死者数が最悪であったのは今年の1月頃で、1日で100人から最大200人が亡くなっていた。しかし今は、10人から20人程度である。治療法の進歩もあるが、死亡の大半を占めていた高齢者にワクチン接種が進んだお蔭であろう。今の患者の多くを占める若い世代は体力もある。つまり、今は死に至ることは限られ、重症者さえ管理すれば事足りるのである。
そこで政府は、軽症と中等症は入院させないか重症管理はしない病院に入院という方針にした。これが(急に悪化することもある)軽・中等症者を見捨てたように見えて、批判に晒されている。しかし、軽・中等症者への対応に追われて重症者への対応に手が回らなくなると、救えるはずの命が救えない。この方が問題であろう。致死率が1%程度であれば、限られた医療資源の割り振りの観点からは、この方針は妥当である。
入院できないまま自宅で死んでしまうのでは、という不安は残る。だからこそ、国民には事態を理解してもらい、感染しないよう自粛してもらうしかない。医療制度的には、自治体の権限で公立病院をWARS専門病院にして他の診療を停止・縮小し、軽症や中等症の患者を受け入れる手はある(実施済みなら強化する)。往診で自宅待機者の不安に応えることもできる。ただし、往診は効率が悪いので、何かの工夫(遠隔診療・代理診療など)が必要であろう。
他の施策としては、ワクチンの早期接種が最優先である(ワクチン忌避の人には、重症化しないことが前提で自由に行動して感染してもらい、集団免疫を早めるか)。また、ここまで市中感染が広がれば、大規模な検査体制(いつでも誰でも気軽に検査できる体制)も有効であろう。直前のBlogにあるように、良好な有事連携も重要である(菅さん!読み飛ばしは論外です)。後は100年前と同じく、耐えて集団免疫を待つのである。
最近に限らず、WARSに対する政府の施策への評価はかなり厳しい。しかし特筆すべきは、高齢者へのワクチン接種がかなり進んでいたことである。もし遅れていたら、今は記録的な死亡者数になっていただろう。余力のない医療体制(これも政府の落ち度といえばそうだが)で、東京五輪という世界の耳目が集まる時に、中共国の杜撰な管理で広がった(日本に落ち度はない)WARSへの対応としては、健闘しているのではなかろうか。
もちろん政府は感染抑制を図りたい。国民も菅イジメで憂さを晴らすのではなく、得点は前向きに評価し協力姿勢を保つのがよい。批判・炎上が仕事のコメンテイターや、立場に制約された専門家のご都合発言に惑わされてはならない。新規患者数ばかりを指標とし、死亡者数や患者数増加の加速度を解析しないのも科学性を逸している。
WARS流行は必ず収まる。国民は、うろたえない(うろたえさせられない)ことである(実際、多くの国民はそうであろう)。