徴用工訴訟 賠償確定
日本統治時代に朝鮮半島から動員された韓国人元徴用工4人が新日鉄住金を相手取り、損害賠償を」求めた訴訟の差し戻し上告審で、韓国大法院は30日、同社の上告を棄却した。同社に一人当たり1億ウオン(約980万円)の賠償を命じた。2013年7月のソウル高裁の判決が確定した。判決は日韓国交正常化の前提となった枠組みを壊す内容で日韓関係に重大な影響を及ぼすの葉必至だ。
これを受けて、河野外相は30日、韓国の李(イ)洙勲(スフン)駐日大使を外務省に呼び、皮肉を込めて抗議した。河野外相は談話も発表し、今回の判決が日韓請求権協定に背く「国際法違反」だとの認識を示して「断じて受け入れることはできない」、「法の支配が貫徹されている国際社会の常識では、考えられないことが起こっている」と強調した。
また、10月31日午前、元外相や現役の外務副大臣が出席したの自民党の会合で、韓国の最高裁が30日に下した元徴用工を巡る判決に、怒りの声が相次いだ。
中曽根弘文 元外相: (韓国は)国家としての体をなしていないのではないか。
新藤義孝 元総務相: 怒りを通り越してあきれる。
韓国の国際ルール違反といえる行為は枚挙にいとまがない。政府内には「韓国疲れ」が蔓延している。韓国と必要以上に付き合う理由はないとして「韓国は、戦略的に無視していくしかない」(外務省幹部)との声も出ている。国際協定や実定法よりも国民情緒を重視する韓国には、民主主義は無理なのだ。
このような朝鮮の体たらくは明治18年3月16日の『時事新報』に掲載された『脱亜論』が指摘し、曰く、「支那・朝鮮はわが日本のために髪一本ほどの役にも立たない」、「筆者は心の中で、東アジアの悪友を謝絶する」と記している。平成の時代、日本は『脱亜論』が説く中韓の実態を再確認した。次は『脱亜論』の実践である。
『脱亜論』 (だつあろん)
底本:『時事新報』 1885年3月16日
註: 以下のリストに掲載される漢字はJIS X 0208外の異体字であり、Unicode表のBMP(基本多言語面、0面)が正しく表示できない環境によっては正しく記されない可能性がある。
尚 U+FA30からU+FA60の文字は、JIS X 0213対応のフォント(IPAフォント等)による記述を行っている。
凡例
親字 → 異体字 (Unicode番号) : 異体字の説明。
状 → 狀 (U+72C0) : 偏が「爿」となる字形
溌 → 潑 (U+6F51) : 「発」の部分が「發」となる字形
教 → 敎 (U+654E) : 偏が「希」の「巾」を「子」とした部分となる字形
侠 → 俠 (U+4FE0) : 旁が「夾」となる字形
海 → 海 (U+FA45) : 「毋」の部分が「母」となる字形
者 → 者 (U+FA5B) : 「偖」の旁部分となる字形
虚 → 虛 (U+865B) : 「墟」の旁部分となる字形
尚 → 尙 (U+5C19) : 「敞」の偏部分となる字形
視 → 視 (U+FA61) : 偏が「示」となる字形
絶 → 絕 (U+7D55) : 7、8画目の部分が「刀」となる字形
横 → 橫 (U+6A6B) : 旁が「廣」のまだれを除いた部分となる字形
掲 → 揭 (U+63ED) : 旁が「曷」となる字形
歩 → 步 (U+6B65) : 7画目を除いた字形
頼 → 賴 (U+8CF4) : 8、9画目が「刀」となる字体
徳 → 德 (U+5FB7) : 旁が「聽」の旁部分となる字形
間 → 閒 (U+9592) : 「日」の部分が「月」となる字形
器 → 器 (U+FA38) : 「大」の部分が「犬」となる字形
諸 → 諸 (U+FA22) : 「者」の部分が「偖」の旁部分となる字形
内 → 內 (U+5167) : 「人」の部分が「入」となる字形
繁 → 繁 (U+FA59) : 「毋」の部分が「母」となる字形
神 → 神 (U+FA19) : 偏が「示」となる字形
精 → 精 (U+FA1D) : 旁が「倩」の旁部分となる字形
既 → 既 (U+FA42) : 「漑」の旁部分となる字形
卑 → 卑 (U+FA35) : 「脾」の旁部分となる字形
註: 脫(脱の異体字)はUnicode表のBMP(基本多言語面、0面)外の文字であり、Unicode表のSIP(補助漢字面、2面)が正しく表示できない環境によっては正しく記されない可能性がある。
脫亞論
〔交通の道は便利になり〕
世界交通ノ道便ニシテ、西洋文明ノ風東ニ漸シ到ル處、草モ木モ此風ニ靡カザルハナシ。
蓋シ西洋ノ人物古今ニ大ニ異ルニ非ズト雖ドモ、其擧動ノ古ニ遲鈍ニシテ今ニ活發ナルハ、唯交通ノ利器ヲ利用シテ勢ニ乘ズルガ故ノミ。
〔文明の波に乗り、文明の苦楽をともにする〕
故ニ方今東洋ニ國スルモノノ爲ニ謀ルニ此文明東漸ノ勢ニ激シテ之ヲ防キ了ル可キノ覺悟アレバ則チ可ナリト雖ドモ、
苟モ世界中ノ現狀ヲ視察シテ事實ニ不可ナルヲ知ラン者ハ世ト推シ移リテ共ニ文明ノ海ニ浮沈シ共ニ文明ノ波ヲ揭ケテ共ニ文明ノ苦樂ヲ與ニスルノ外アル可ラザルナリ。
〔文明とは麻疹(はしか)のようなもの〕
文明ハ猶麻疹ノ流行ノ如シ目下東京ノ麻疹ハ西國長崎ノ地方ヨリ東漸シテ春暖ト共ニ次第ニ蔓延スル者ノ如シ。
此時ニ當リ此流行病ノ害ヲ惡テ之ヲ防カントスルモ果シテ其手段アル可キヤ。
〔防ぐ手段はない〕
我輩斷ジテ其術ナキヲ證ス。有害一偏ノ流行病ニテモ尙且其勢ニハ激ス可ラズ况ヤ利害相伴フテ常ニ利益多キ文明ニ於テヲヤ。
啻ニ之ヲ防カザルノミナラズ力メテ其蔓延ヲ助ケ國民ヲシテ早ク其氣風ニ浴セシムルハ智者ノ事ナル可シ。
〔進歩の道に横たわる老害の幕府〕
西洋近時ノ文明ガ我日本ニ入リタルハ嘉永ノ開國ヲ發端トシテ 國民漸ク其採ル可キヲ知リ漸次ニ活潑ノ氣風ヲ催フシタレドモ、進步ノ道ニ橫ハルニ古風老大ノ政府ナルモノアリテ之ヲ如何トモス可ラズ。政府ヲ保存セン歟、文明ハ决シテ入ル可ラズ。
〔世界文明の慌しい情勢は、東洋の孤島の眠りを許すものではなかったからだ。〕
如何トナレバ近時ノ文明ハ日本ノ舊套ト兩立ス可ラズシテ、舊套ヲ脫スレバ同時ニ政府モ亦廢滅ス可ケレバナリ、然ハ則チ文明ヲ防テ其侵入ヲ止メン歟、日本國ハ獨立ス可ラズ。如何トナレバ世界文明ノ喧嘩卑劇ハ東洋孤島ノ獨睡ヲ許サヾレバナリ。
〔脱亜の二字にあるのみ〕
是ニ於テカ我日本ノ士人ハ國ヲ重シトシ政府ヲ輕シトスルノ大義ニ基キ又幸ニ帝室ノ神聖尊嚴ニ依賴シテ斷シテ舊政府ヲ倒シテ新政府ヲ立テ國中朝野ノ別ナク一切萬事西洋近時ノ文明ヲ採リ獨リ日本ノ舊套ヲ脫シタルノミナラズ、亞細亞全洲ノ中ニ在テ新ニ一機軸ヲ出シ主義トスル所ハ唯脫亞ノ二字ニ在ルノミ。
〔不幸な隣国、支那・朝鮮〕
我日本ノ國土ハ亞細亞ノ東邊ニ在リト雖ドモ、其國民ノ精神ハ既ニ亞細亞ノ固陋ヲ脫シテ西洋ノ文明ニ移リタリ。
然ルニ爰ニ不幸ナルハ近鄰ニ國アリ。一ヲ支那ト云ヒ、一ヲ朝鮮ト云フ。
〔改革や進歩の道を知らない〕
此二國ノ人民モ古來亞細亞流ノ政敎風俗ニ養ハルルコト我日本國ニ異ナラズト雖ドモ、其人種ノ由來ヲ殊スルカ、但シハ同樣ノ政敎風俗中ニ居ナガラモ遺傳敎育ノ旨ニ同シカラザル所ノモノアル歟、日支韓三國相對シ、支ト韓ト相似ルノ狀ハ支韓ノ日ニ於ケルヨリモ近クシテ、此二國ノ者共ハ一身ニ就キ又一國ニ關シテ改進ノ道ヲ知ラズ。
〔百千年の昔とおなじ〕
交通至便ノ世ノ中ニ文明ノ事物ヲ聞見セザルニ非ザレドモ、耳目ノ聞見ハ以テ心ヲ動カスニ足ラズシテ、其古風舊慣ニ戀々スルノ情ハ百千年ノ古ニ異ナラズ。
〔道徳さえ地を掃いたように消えはてて残酷破廉恥を極め〕
此文明日新ノ活劇塲ニ敎育ノ事ヲ論ズレバ儒敎主義ト云ヒ、學校ノ敎旨ハ仁義禮智ト稱シ、一ヨリ十ニ至ルマデ外見ノ虛飾ノミヲ事トシテ、其實際ニ於テハ眞理原則ノ知見ナキノミカ、道德サヘ地ヲ拂フテ殘刻不廉耻ヲ極メ、尙傲然トシテ自省ノ念ナキ者ノ如シ。
〔独立を維持する道はない〕
我輩ヲ以テ此二國ヲ視レバ、今ノ文明東漸ノ風潮ニ際シ、迚モ其獨立ヲ維持スルノ道アル可ラズ。
幸ニシテ其ノ國中ニ志士ノ出現シテ先ヅ國事開進ノ手始メトシテ大ニ其政府ヲ改革スルコト我維新ノ如キ大擧ヲ企テ、先ヅ政治ヲ改メテ共ニ人心ヲ一新スルガ如キ活動アラバ格別ナレドモ、
〔国土は文明諸国に分割される〕
若シモ然ラザルニ於テハ今ヨリ數年ヲ出デズシテ亡國ト爲リ其國土ハ世界文明諸國ノ分割ニ歸ス可キコト一點ノ疑アルコトナシ。
如何トナレバ麻疹ニ等シキ文明開化ノ流行ニ遭ヒナガラ、支韓兩國ハ其傳染ノ天然ニ背キ無理ニ之ヲ避ケントシテ、一室内ニ閉居シ空氣ノ流通ヲ絕テ窒塞スルモノナレバナリ。
〔支那朝鮮はわが日本のために髪一本ほどの役にも立たない〕
輔車唇齒トハ鄰國相助クルノ喩ナレドモ、今ノ支那朝鮮ハ我日本國ノタメニ一毫ノ援助ト爲ラザルノミナラズ、西洋文明人ノ眼ヲ以テスレバ三國ノ地利相接スルガ爲ニ、時ニ或ハ之ヲ同一視シ、支韓ヲ評スルノ價ヲ以テ我日本ニ命ズルノ意味ナキニ非ズ。
〔法律は信頼できない〕
例ヘバ支那朝鮮ノ政府ガ古風ノ專制ニシテ法律ノ恃ム可キモノアラザレバ、西洋ノ人ハ日本モ亦無法律ノ國カト疑ヒ、
支那朝鮮ノ士人ガ惑溺深クシテ科學ノ何モノタルヲ知ラザレバ、西洋ノ學者ハ日本モ亦陰陽五行ノ國カト思ヒ、
支那人ガ 屈ニシテ耻ヲ知ラザレバ、日本人ノ義俠モ之ガタメニ掩ハレ、
朝鮮國ニ人ヲ刑スルノ慘酷ナルアレバ、日本人モ亦共ニ無情ナルカト推量セラルルガ如キ。
是等ノ事例ヲ計レバ枚擧ニ遑アラズ。
之ヲ喩ヘバ比鄰軒ヲ並ベタル一村一町內ノ者共ガ愚ニシテ無法ニシテ然カモ殘忍無情ナルトキハ稀ニ其
村內ノ一家人ガ正當ノ人事ニ注意スルモ他ノ醜ニ掩ハレテ堙沒スルモノニ異ナラズ。
〔日本国の一大不幸〕
其影響ノ事實ニ現ハレテ閒接ニ我外交上ノ故障ヲ成スコトハ實ニ少々ナラズ。
我日本國ノ一大不幸ト云フ可シ。
〔筆者は心の中で、東アジアの悪友を謝絶する〕
左レバ今日ノ謀ヲ爲スニ我國ハ鄰國ノ開明ヲ待テ共ニ亞細亞ヲ興スノ猶豫アル可ラズ。
寧ロ其伍ヲ脫シテ西洋ノ文明國ト進退ヲ共ニシ、其支那朝鮮ニ接スルノ法モ鄰國ナルガ故ニトテ特別ノ會釋ニ及バズ。正ニ西洋人ガ之ニ接スルノ風ニ從テ處分ス可キノミ。
惡友ヲ親シ者ハ共ニ惡名ヲ免カル可ラズ。我レハ心ニ於テ亞細亞東方ノ惡友ヲ謝絕スルモノナリ。
明治18年(1885年)3月16日
【現代語訳】
〔交通の道は便利になり〕
世界の交通の道は便利になり、西洋文明の風は東に進み、至るところ、草も木もこの風になびかないことはない。西洋の人物は古代と現在に大した違いはないのだが、その活動が古代は遅鈍、今は活発なのは、ただ交通の機関を利用し、勢いに乗じるがためである。
〔文明の波に乗り、文明の苦楽をともにする〕
ゆえに最近、東洋に国がある民のために考えると、この文明が東に進んでくる勢いに抵抗して、これを防ぎきる覚悟であれば、それもよい。しかし、いやしくも世界中の現状を観察し、事実上それが不可能なことを知る者は、世の移りにあわせ、共に文明の海に浮き沈み、文明の波に乗り、文明の苦楽をともにする以外にはないのである。
〔文明とは麻疹のようなもの〕
文明とは全く、麻疹(はしか)の流行のようなものだ。 目下、東京の麻疹は西国の長崎地方より東に進み、春の暖気と共に次第に蔓延するもののようである。 この時、流行病の害をにくみ、これを防ごうとするにしても、果してその手段はあるだろうか?
〔防ぐ手段はない〕
筆者はその手段は断じてないことを保証する。有害一辺倒の流行病も、その勢いにはなお抵抗できない。 いわんや利益と害悪がともない、常に利益の多い文明はなおさらである。 これを防がないばかりではなく、つとめてその普及を助け、国民を早くその気風に染ませることが知識人の課題である。
〔進歩の道に横たわる老害の幕府〕
近代西洋文明がわが日本に入ったのは、嘉永の開国を発端とする。国民はようやくそれを採用するべきことを知り、しだいに活発の気風が生じたものの、進歩の道に横たわる老害の幕府というものがあり、これはいかんともできなかった。
〔世界文明の慌しい情勢は、東洋の孤島の眠りを許すものではなかったからだ。〕
幕府を保存しようとすると、文明は決して入ってくることができない。なぜかといえば近代文明は日本の旧体制と両立するものではなく、旧体制を改革すれば、同時に幕府も滅亡してしまうからである。
だからといって、文明をふせいてその侵入を止めようとすれば、日本国の独立は維持できなかった。なぜならば、世界文明の慌しい情勢は、東洋の孤島の眠りを許すものではなかったからだ。
〔脱亜の二字にあるのみ〕
ここにおいて、わが日本の人士は、国を重く、幕府を軽いとする大義に基づき、また、さいわいに神聖なる皇室の尊厳によって、断固として旧幕府を倒し、新政府を立てた。政府も民間も区別なく、国中がいっさい万事、西洋近代文明を採り、ただ日本の旧法を改革したばかりではない。
アジア全域の中にあって、一つの新機軸を確立し、主義とするのはただ、脱亜の二字にあるのみである。
〔不幸な隣国、支那・朝鮮〕
わが日本の国土はアジアの東端に位置するのであるが、国民の精神は既にアジアの旧習を脱し、西洋の文明に移っている。しかしここに不幸なのは、隣国があり、その一を支那といい、一を朝鮮という。この二国の人民も古来、アジア流の政治・宗教・風俗に養われてきたことは、わが日本国民と異ならないのである。
〔改革や進歩の道を知らない〕
だが人種の由来が特別なのか、または同様の政治・宗教・風俗のなかにいながら、遺伝した教育に違うものがあるためか、日・支・韓の三国を並べれば、日本に比べれば支那・韓国はよほど似ているのである。この二国の者たちは、自分の身の上についても、また自分の国に関しても、改革や進歩の道を知らない。
〔百千年の昔とおなじ〕
交通便利な世の中にあっては、文明の物ごとを見聞きしないわけではないが、耳や目の見聞は心を動かすことにならず、その古くさい慣習にしがみつくありさまは、百千年の昔とおなじである。
〔道徳さえ地を掃いたように消えはてて残酷破廉恥を極め〕
現在の、文明日に日に新たな活劇の場に、教育を論じれば儒教主義といい、学校で教えるべきは仁義礼智といい、一から十まで外見の虚飾ばかりにこだわり、実際においては真理や原則をわきまえることがない。そればかりか、道徳さえ地を掃いたように消えはてて残酷破廉恥を極め、なお傲然として自省の念など持たない者のようだ。
〔独立を維持する道はない〕
筆者からこの二国をみれば、今の文明東進の情勢の中にあっては、とても独立を維持する道はない。幸い国の中に志士が現れ、国の開明進歩の手始めに、われらの明治維新のような政府の大改革を企て、政治を改めるとともに人心を一新するような活動があれば、それはまた別である。
〔国土は文明諸国に分割される〕
もしそうならない場合は、今より数年たたぬうちに亡国となり、その国土は世界の文明諸国に分割されることは、一点の疑いもない。
なぜならば、麻疹と同じ文明開化の流行に遭いながら、支那・韓国の両国は伝染の自然法則に背き、無理にこれを避けようとして室内に閉じこもり、空気の流通を遮断して、窒息しているからだ。
〔支那朝鮮はわが日本のために髪一本ほどの役にも立たない〕
「輔車唇歯」とは隣国が相互に援助しあう喩えであるが、今の支那朝鮮はわが日本のために髪一本ほどの役にも立たない。のみならず、西洋文明人の眼から見れば、三国が地理的に近接しているため、時には三国を同一視し、支那・韓国の評価で、わが日本を判断するということもありえるのだ。
〔法律は信頼できない〕
例えば、支那、朝鮮の政府が昔どおり専制で、法律は信頼できなければ、西洋の人は、日本もまた無法律の国かと疑うだろう。支那、朝鮮の人が迷信深く、科学の何かを知らなければ、西洋の学者は日本もまた陰陽五行の国かと思うに違いない。
支那人が卑屈で恥を知らなければ、日本人の義侠もその影に隠れ、朝鮮国に残酷な刑罰があれば、日本人もまた無情と推量されるのだ。事例をかぞえれば、枚挙にいとまがない。
喩えるならば、軒を並べたある村や町内の者たちが、愚かで無法、しかも残忍で無情なときは、たまたまその町村内の、ある家の人が正当に振るまおうと注意しても、他人の悪行に隠れて埋没するようなものだ。
〔日本国の一大不幸〕
その影響が現実にあらわれ、間接にわが外交上の障害となっていることは実に少なくなく、わが日本国の一大不幸というべきである。
〔筆者は心の中で、東アジアの悪友を謝絶する〕
そうであるから、現在の戦略を考えるに、わが国は隣国の開明を待ち、共にアジアを発展させる猶予はないのである。
むしろ、その仲間から脱出し、西洋の文明国と進退をともにし、その支那、朝鮮に接する方法も、隣国だからと特別の配慮をすることなく、まさに西洋人がこれに接するように処置すべきである。悪友と親しく交わる者も、また悪名を免れない。筆者は心の中で、東アジアの悪友を謝絶するものである。