拉致被害者の家族会と救う会は、6月2日、5月29日のテレ朝番組での田原総一朗氏とテレ朝アナウンサーの「説明」について、共同声明を発表した。
共同声明
5月29日のテレ朝番組での田原総一朗氏とテレ朝アナウンサーの「説明」について本ニュースでもお伝えしたとおり、家族会・救う会は、田原総一朗氏が4月のテレビ朝日の討論番組で、「(拉致被害者について)外務省は生きていないことが分かっている」などと発言したことについて、強く抗議し、放送倫理・番組向上機構に申し立てをしたところである。
ところで、田原氏も、テレビ朝日も、「お詫び」と称する文書を送ってきたが、その中で、「同発言を取り消す」とも、「次回番組で謝罪する」とも言わなかった。その姿勢は、こちらが抗議したから形式的に返事をしただけで、自らの問題として同発言を反省していない証拠だとも考えられ、極めて遺憾である。
抗議を受けても文書で釈明をすませ、公共の電波で人間のいのちを軽視する誤報をおこなっても訂正放送はしないという傲慢な姿勢に見えたからだ。
5月29日に放映されたテレビ朝日「朝まで生テレビ」において、田原総一朗氏とテレビ朝日アナウンサーが、同発言について「説明」を行った。
ここでまず強調したいのは、番組でなされたのは説明にもならない「説明」であって、「誤報の謝罪」でも「発言取り消し」でもなかったという点だ。
田原氏は番組内で、「外務官僚への取材で、『8人の拉致被害者を全部返すことを前提にした交渉には限界がある』と聞(いた)」ことを、自分の「(拉致被害者について)外務省は生きていないことが分かっている」という発言の根拠として挙げて、「きちんと説明しない言い方」だと話した。
田原氏は家族会・救う会への文書では、「外務省幹部から“八人の拉致被害者が生きている事を前提にした交渉には限界がある”と言う事を聞かされた」としていたが、番組内ではそれが「八人の拉致被害者を全部返すことを前提にした交渉には限界がある」と表現を変えている。
文書での釈明とテレビでの発言は、外務省から聞いたとされる内容が大きく異なっている。全く無責任極まりないというほかない。一体何が真実なのか。外務省現職幹部らは田原氏の取材を受けたこと自体を否定し、田原氏の言うような発言は絶対していないと述べている。
田原氏の説明通り外務省幹部が「八人の拉致被害者が生きている事を前提にした交渉には限界がある」あるいは「八人の拉致被害者を全部返すことを前提にした交渉には限界がある」と語ったことを事実と仮定しよう。その前提でも、田原氏発言の重大な誤報は明白だ。
交渉の見通しについての推測と、「生きていないことが分かっている」という被害者生存に関する事実認識は次元の全く異なることだからだ。田原氏はその二つを混同して、公共の電波で人間の生死に関わる重大な誤報を行ったのだ。
私たちへの文書と、番組内での田原氏の「説明」は、自らの誤報を認めるものだ。ここで、テレビ朝日報道局の皆さんに問いたい。皆さんが、外務省幹部から「八人の拉致被害者を全部返すことを前提にした交渉には限界がある」という発言を聞いたとして、それをニュース原稿にするとき「外務省は生きていないことが分かっている」と書くかどうか。
ジャーナリストであれば、事実報道は主観を交えず、取材した内容をそのまま伝えるという訓練を厳しく受けてきたはずだ。通常の報道機関であれば、現場の記者が田原氏のように聞いたことを大きくねじ曲げて事実報道の原稿にしたら、当然ボツにするのではないか。
テレビ朝日は、このようなジャーナリストとして失格とも言える重大な誤報を自局の番組で行った田原氏を、同じ番組の司会者として使い続けている。今後、同番組で拉致問題を扱うときにも、田原氏が司会をするのだろうか。それで公正な議論ができるとテレビ朝日は考えるのか。真摯に考えていただきたい。
私たちは放送倫理・番組向上機構などの場で、田原氏とテレビ朝日の責任を追及し続けていく。
平成21年6月2日
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会 代表 飯塚繁雄
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会 会長 藤野義昭
田原は北朝鮮の“協力者”か
田原がうそを言っているのか、外務省の官僚がうそをついているのかわからないが、田原が接触した官僚がいたとしても、田原のいう“外務省”とは、“チャイナスクール”の"パシリ"の官僚だろう。その官僚が、中国、北朝鮮の意向を忖度して自己の見解、憶測を言ったか、日本の世論を中朝の意図する方向へ誘導するために・・・・それは当の官僚の評価のアップに繋がる・・・・言った程度のことであろう。
もし、田原が、死亡したという正確な情報を持っているならば、真っ先に、拉致被害者家族に直接、真実を伝えるべきだ。人の“命”をテレビ放映の場で視聴率アップの具にもてあそぶべきではない。それができない以上、田原はテレビを使って北朝鮮の代弁をしているだけだ。
ミサイル発射・核実験による恫喝外交と呼応したかのように蓮池透の講演活動や「拉致」の出版といい、田原の発言など北朝鮮に同調する動きが目につく。
情報の世界では、我に情報を提供してくれる者や煽てに乗って行動してくれる者を“協力者”という。彼に世論誘導の意図があったとしたら北朝鮮の単なる“協力者”である。
参考情報
5月29日の「朝まで生テレビ」におおける田原氏の発言は下記のとおり。
渡辺宜嗣
・テレビ朝日アナウンサー
番組に入ります前に、先月24日の「朝まで生テレビ」で、拉致問題に関します田原さんの発言につきまして、田原さんから説明があります。お願いします。
田原総一朗
・司会渡辺さんから先にやればいい。
渡辺
・田原さんから。
田原
・あそうですか。田原総一朗です。
前回の放送で、私が拉致被害者の方について、「外務省は生きていないことが分かっている」旨の発言をしました。いっぱいクレームをいただきました。これはきちんと説明をしない言い方で、本当に申し訳ありませんでした。
実は、外務官僚への取材で、「8人の拉致被害者を全部返すことを前提にした交渉には限界がある」ということを聞きまして、で、それがこういう言い方をしたもんで、誤解を招いたかもしれません。
拉致被害者の救出に全力で取組んでおられるご家族ならびに関係者の方々にご不快な念を抱かせ、お心を傷つけたことを心からお詫び申し上げます。渡辺さんどうぞ。
渡辺
・テレビ朝日としても、拉致被害者の方々が亡くなっているというような事実は全く確認していません。救出に全力で
田原
・(途中割り込み)僕が言ったんだよ。テレビ朝日でなく僕が言った。
渡辺
・はい。取組んでいるご家族ならびに関係者の皆様に誤解の念を抱かせたことを心より深くお詫び申し上げます。そして視聴者の方々の誤解を招いたことにつきましても大変申し訳ありませんでした。
田原
・繰り返し言います。外務官僚への取材で、「8人の拉致被害者を全部返すことを前提にした交渉には限界がある」ということを聞いてね、それをきちんと説明をしなかったことは大変申し訳ないと思っています。
以上