日朝の政府間協議で、北朝鮮は、遅くとも秋の初めとされていた最初の調査報告を見送る一方、経過説明を平壌で行うとし、訪朝団派遣を打診している。
北朝鮮から説明があるものと待っていたら、なしのつぶて、「聞きたいのなら北朝鮮に来い」といわれ、政府は面喰っている。“犯人”に知りたいなら聞きに来い呼び出され、のこのこ出かける馬鹿がどこにいる。
① 訪朝判断、家族会の意見踏まえ
善意が通じない極道が、案の定、“再調査”の結果を報告しなかった。北朝鮮は独裁国家だから、“再”調査をしなくても、拉致被害者等の状況は把握しているだろう。何しろ、小泉政権以来の課題であるからである。
“極道”が、再調査すると言っただけで、制裁を解除したから与しやすいと舐めてかかっている。相手に善意が通じると幻想を持って臨むから舐められるのだ。
政府は打つ手がない。拉致被害者等の家族や与野党の意見を聞いて、次の策を決める。これこそ、日本が“世界に誇る日本外交”の真髄である。
② 首相 「対話していく」
安倍首相は手柄を焦ったから、足元をすくわれた。拉致解決に向けて「対話していく」というが、“調べて下さい、”返して下さい“とお願いするだけなのだろうか。せめて、日本国内に野放しになっている拉致関係者を逮捕し裁判に付する程度のことができないと話にならない。
③ 訪朝団の派遣「拙速」
政府は北朝鮮側の提案を受け、訪朝団派遣の方針を早々と決めている。状況が皆目分からぬ敵地にメクらが飛び込むのはめちゃくちゃだ。「拙速」、「無策」イコール敗北だ。
④ 家族会、「訪朝団送るな」と申し入れ
拉致被害者らの再調査を巡り、政府が訪朝団派遣を検討していることについて、拉致被害者「家族会」などは16日、国会内で緊急集会を開き、被害者の安否に関する報告を闇ける段階までは訪朝を見合わせるべきだとする申し入れ書を、山谷拉致間題相に手渡した。これは当然である。
北朝鮮に愚弄されたが策がない
安倍首相はモンゴルの首相を私邸に招いて話し合ったことがあった。首相官邸等では情報が北朝鮮すぐ伝わるからだ。日本政府の動向は、政府与党はもちろん野党の政治家、民間にも朝鮮に通じる者がウジャマンと蠢いている。安倍首相はじめ日本側の状況は相手に子細に伝わっている。これに対し日本は北朝鮮側内部のことは全く分からない。敵を知らず、しかも敵地で戦うとあっては、勝算はない。
しかもこちらは東大卒の官僚、偏差値秀才でヘマはしたくない減点は厭だの点取り虫、出生欲にあふれた外務官僚に対し、相手は国家安全保衛部の人間、諜報活動のプロである。ひ弱な外務官僚が対抗できるほど甘い相手ではない。
横田めぐみさんの母早紀江さんは、「私が協議の場にいたら、相手につかみかかっているかもしれない。本当に助けたいという思いがあれば、真剣な仕事ができるのでは」と政府に強い態度を取るよう求めた。
外務省の官僚には、このような真剣さや胆力はない。インテリジェンスの者がいくならまだしも、外務省官僚に任せれば碌なことはない。
小泉政権のときは、外務省の田中均が“身代金”を“犯人”に支払うと約束したから、日本は組みし易いと舐めてかかっている。 “人質”にとられた人を返す前に、極道が調査委員会を作ると言っただけで気前よく制裁を解除した。今は打つすべがない。お目出度いにも程がある。
誘拐犯人に“誘拐された人を、“返して下さい”、“調べて下さい”とお願いするだけでは外交交渉にもならない。そもそも“犯人”に来いと言われたからと、のこのこ出かけていくという発想自体が卑屈である。
軍事力の裏付けがない日本外交は、“極道”には通じない。善意の国、害意の国に翻弄される。”極道”は金に困っている。せめて制裁を復活すべきだ。”調査結果はとっくに分かっているはず、真相は、北朝鮮が崩壊するまで表に出てこない。そのくらいの覚悟で臨まねばならない。