西の岬へ向く道のフロントガラスに、熱っぽい初夏の風な陽射しがきていた。桜の季節に似合わない陽射しと、後部席の理恵とに挟まれて、ぞっとするじゃないですかとつい言い添えたのだ、幸男は。
「宇礼市の発展に異存はないが、物騒な世の中はお断り。私らも何か危険な商売ですからね。商売と言えば、中山理恵みたいな有名人ならね、それは気前がいいし、第一気分が違いますよ。観光地で売りこむのならば有名人をどしどし呼びこまないことにはいけません」
(つづく)
「宇礼市の発展に異存はないが、物騒な世の中はお断り。私らも何か危険な商売ですからね。商売と言えば、中山理恵みたいな有名人ならね、それは気前がいいし、第一気分が違いますよ。観光地で売りこむのならば有名人をどしどし呼びこまないことにはいけません」
(つづく)