50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

「南幻想曲」

2016-04-06 09:16:01 | 小説
◆ご愛読者の皆様方へ◆
今日から「南幻想曲」を連載致します。
なお、更新は数日に一度程度のペースとなりますが、ご愛読いただきますようよろしくお願い致します。

------


「南幻想曲」

 ―――だから彼女を聴いていたかった。自分の深刻さめくことで昨日の孤独と寂寥とかで気を引く、それはないと思う。つめたい風の中に、御堂筋の太陽は輝かせる葉のこずえ、浮き雲に平日のビルの楽しい感情を奏でている。『そういうことやねん。ほんまは彼女の男まさりな大阪弁でぶっ倒してほしい。あのぼくを』心斎橋筋を赤いコートの和子とともに抜けてきている今日、御堂筋はふしぎな風景だ。楽しければまた会いたいとか。

(「南幻想曲」つづく)