2022/06/07 画像追加、加筆修正
その7では安全側線用緊急防護装置(以下、EM)の応用例を見てみたいと思います。
安全側線自体は登場しないのでタイトル詐欺ですがご了承下さい。
EMは安全側線に車両が進入したこと(≒緊急事態)を付近の信号に伝えて列車防護をするために設置されています。この仕組みを利用して駅構内や留置線の終端にも設置が進みました。
↑高架線上の行き止まりホームの先端に設置されたEM
終端部は軌道スラブを設置せずにバラスト軌道となっています。
↓こちらは地下駅構内の行き止まりホームの先端。
第二種車止めとEMの組み合わせは安全側線よりも駅や留置線でよく見られます。
↓頭端式ホームの設置例。枕木+EM+第2種車止め+制走堤と厳戒態勢です。
ただEMはかなり古くに設置されたのか、塗装の劣化が進んでいます。
もしかしたら使用停止になったものがそのまま放置されているのかもしれません。
EMの手前に枕木を積むのはあまり一般的ではありませんので…
こちらもEM+砂利盛+第2種車止め+制走堤とかなりの厳戒態勢。
頭端式ホームで冒進すると甚大な被害が出てしまうため、必然的に重装備となる傾向があります。
↓こちらは引き上げ線に設置されたEM。隣のミラーは走行列車確認用でしょうか?
このように留置線の両側に走行線がある場合、過走した列車が走行線に支障する恐れがあるためEMを設置することが多いようです。
↓第4種車止めとEMが合わせて使用されるのも引き上げ線や留置線ならでは
やはり本線に隣接する側線に設置されています。
ここからはイレギュラーな使い方
まずは脱線器と併用された例です。
左側のレールにちょこんと乗っかっているものが脱線器。この脱線器により脱輪した車体をEMに接触させるという仕組みです。EMは走行車両と接触してはいけないので、車両限界の外側に設置されています。
線形的に安全側線や脱線転轍器の使用が難しく、このような形になったと思われます。
脱線器については別記事でまとめる予定です。
下の写真は駅構内の留置線に設置されたEM。
やたらと長い安全側線ではありません。その理由は分岐器とEMの設置方向にあります。
安全側線は駅構内から出発する車両に対して設置しますが、この側線は駅進入方向です。
そしてEMは分岐器に進入する車両に対して動作する向きで設置されていることが分かります。
安全側線の場合は逆に分岐器を通過した車両に対して動作するように設置します。
(EMの設置ベースが進行方向側になる)
同様の例をもう一か所。
上下線からアプローチできる側線ですが、分岐器の根元付近にEMが設置されています。
こちらも寄ってみると側線から本線に進入する車両に対して動作するように設置されています。続けて車輪止めも設置されていることから留置車両の転動対策にEMを使用していることが分かります。
このような使い方の場合、車両を出し入れする際もEMを倒す必要がありますので、防護回路をどう処理しているのかは疑問です。入線時と出発時は防護回路を解除できるような仕組みが備わっているのでしょうか?
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