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スラブ軌道-6

2018-06-17 21:02:47 | gallery:省力化軌道

2021/08/21 山手線の画像追加、加筆修正

 

その6では土路盤上スラブ軌道についてまとめました。

土路盤上スラブ軌道RA型が初めて営業線に敷設されたのは1971年のことです。

東海道本線の平塚-大磯間に建設された相模貨物駅にRA-116形が100mほど敷設されました。

翌年の1972年には大阪駅構内や灘-三ノ宮間にもRA-116形が試験敷設されました。

RA型は土路盤を転圧し、アスファルトを主とした下部舗装・上部舗装を施工してその上に軌道スラブを据付します。舗装路盤と軌道スラブの間にはセメントモルタルを填充します。また、スラブの裏に凹みをつけることで填充されたセメントモルタルにより抵抗力を得る点は初期のA型と同じです。

上記2枚は大阪駅構内のフィルム写真です。

その後これら試験線は撤去されてしまいましたが、各地に敷設されたRA型は今も現存しています。

 

羽越本線 金浦-仁賀保 下り線 

1972年の複線化に際し従来線の海側に新線を敷設しました。

このうち白雪川鉄橋を含む260mほどがスラブ軌道で敷設されています。

 

羽越本線 小波渡-三瀬 下り線

1978年の複線化に際し、山側に上り線のトンネルが新設されました。

従来の海沿い経由の線路は下り線となりましたが、その際に線路改良が行われスラブ軌道化されたようです。トンネル内はコンクリート路盤のためA型でしたが、明かり区間はRA型が敷設されました。

 

しなの鉄道 信濃国分寺-大屋 下り線 (旧信越本線 上田-大屋間)

1972年、大屋-上田間の複線化で敷設されました。軌道スラブには番号が振られていますね。

この区間は曲線中での施工性や低盛土区間における地盤の挙動調査を目的として敷設されました。

 

中央本線 田立-南木曽 下り線

1973年の電化及び複線化に伴い敷設されました。近くには旧線の廃線跡も残っているようです。

RA-116形はスラブ長さが1mとA型の標準長5mと比べるとかなり短尺です。

その理由は、地盤支持力が一様ではなく長尺だと不等沈下を招く恐れがあるためとしています。

 

湖西線 近江塩津駅構内

両渡り線の手前に敷設されています。短区間ながら上下線とも施工されています。

この区間では16mの高盛土区間における性能評価が行われました。

当該盛土は経時沈下量が少なく土路盤上スラブ軌道の採用に適した条件が明確になりました。

 

東海道新幹線 豊橋駅構内12番線

相模貨物駅に続いて敷設されたのが豊橋駅12番線のRA-16形。かつては上り本線にも設置されていましたが、2000年頃に一部の区間で高低調整量が30mmに達したため、軌道スラブを扛上し早強性セメントアスファルト填充材による補修が施されました。しかし経年による補修サイクルが短くなってきたことから2013年にバラスト軌道化されました。

12番線のRA-16形は1971年に敷設されたもので、前述の上り本線区間より2年前に敷設されたものですが、高速走行する列車は通過しないため比較的健全な状態を保つことが出来ていた考えられます。しかし、こちらも2017年の時点で軌道スラブの枚数が減っており、2018年には完全にバラスト軌道化されてしまいました。

 

上越新幹線 本庄早稲田駅構内熊谷方

本庄早稲田駅の熊谷方の掘割区間に200m程ですが土路盤上スラブ軌道が敷設されています。

RA-116形やRA-16形と異なり締結装置が片側3ヵ所のやや長めの軌道スラブですね。

2004年の本庄早稲田駅の開業に伴い分岐器を挿入することになり、継足しスラブ方式で土路盤上スラブ軌道の分岐器が設置されています。

新幹線のスラブ軌道分岐器についてはスラブ軌道-3で紹介しています。

 

北陸新幹線 高碕-安中榛名

RA型スラブ軌道を採用するにあたって、複数の軌道構造が存在すると連続した施工ができないため建設コストが増える、また軌道構造の継ぎ目では軌道狂いが生じやすいといった問題点が挙げられました。このため北陸新幹線以降、適切な支持条件を満たした切土や盛土にコンクリート路盤を施工したスラブ軌道が適用されるようになりました。

高崎-安中榛名間の掘割区間がその土路盤向けA型及びAF型スラブ軌道の最初の施工区間になります。また枠型スラブ軌道のCAモルタル施工において、ロングチューブの中に填充するロングチューブ工法が確立されたことから、建設コストの削減を図ることが出来るようになりました。

山手線 渋谷-代々木 内回り

在来線に戻ります。1992年、山手線において各種省力化軌道の試験線が敷設されました。

舗装軌道や弾性枕木軌道などスラブ軌道以外の省力化軌道も積極的に開発が進んでいた時期です。

この区間では比較的良好な土路盤上に軌道スラブを敷設し、バラスト軌道に対する沈下特性が比較検証されました。軌道スラブはA型の平板と枠型が使用され、既存バラストにCAモルタルを注入した強化層で支持する構造とし、周囲はアスファルト舗装されています。

この軌道の沈下速度はバラスト軌道の約1/10と進行が緩慢であるという結果が得られています。

E型舗装軌道やTC型省力化軌道も並び、省力化軌道の見本市のような区間です。

 

p.s. スラブ軌道-5にA-143/152/161形を、スラブ軌道-4にM-131/141形を追加しました。

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