エッセイ スーパーシズオカヤ
近くに大きな団地がある。
街路樹や植え込みがしっかり根をおろし、落ち着いた古い団地である。
中ほどに、バスのロータリーがあり、周りを囲むように郵便局や病院、保育園、スーパーマーケットや個人の店がある。
その辺りは人の行き来があり、結構賑やかである。
歩いて行っても5分ぐらいの所だが、買い物籠代わりに自転車で行く。
そこのスーパーマーケット、「シズオカヤ」は何度も経営者が変わり、店の名前と営業時間が変わった。
しゃれた名前の看板がかかっているが、今の名前は何か馴染めない。
だから今でも、創業当時の、「シズオカヤ」で通っている。
シズオカヤは団地によくある平屋建ての平凡な建物だが、東側の通りに面して株立ちの大きな木がいい背景になっていた。
その下が駐輪場で、買い物だけでなく、バスに乗って出かける時も利用する。
時々、足元に小さな草花が植えられていた。
ある時、バスから降りてシズオカヤを見ると、変な光景に気付いた。
建物がむき出しになった頼りない姿になっている、あの大きな木が切られて無くなっていたのだ。
今、あの切り株の周りは、夏草が生い茂っている。
自転車を停める度に、「変なの」と心がつぶやく。
最近新しい電子レンジに換えた。
どの機種にするか何度も見たはずなのに、使い始めて憂鬱になった。
レンジの庫内が、以前は白だったが、今度は黒色。
黒いと汚れが見えないし、掃除をしても変わり映えしない。
使い慣れた温度設定もよく分からないし、温まったカップが熱くて持ちにくい。
一昨年買った炊飯器も不満だ、おいしく炊けない。
あの内釜にこびりつくようなねっとりしたご飯を食べたいと、よく思う。
愛着のあるものが段々無くなる。
いつの間にか、変化についていけなくなったことに気付く。
課題【否定・肯定】
つつじのつぶやき ・・・ 2年前の作品です。
切り倒された大きな株跡を時々未練に思っています。
今度はその近くに新しい道路を作っています。
新しい環境に慣れないつつじですが、こうなったら早く
完成して工事の車が無くなってほしいです。