ウクレレとSwing(スヰング)音盤

Where Is My Love Tonight (1993) / Ohta San


新年最初の更新でご紹介する今年の一枚目は、Roy Sakuma Productionからのリリース。Roy氏はオータサンのお弟子さんだが、ウクレレ演奏よりも教育や普及の方面に才能と情熱を発揮された方で、ハワイ最大手ウクレレ・スタジオのオーナーであり、毎年ハワイのウクレレ・フェスティバルを主催している(2020年がちょうど開催50回目のアニバーサリー・イヤーだったのが、コロナ感染拡大によりオンライン配信のみとなった)。

この時期はウクレレという楽器が再び脚光を浴び始めていた背景があり、ウクレレ普及に情熱を燃やすRoy氏のもとで制作された本盤には、いずれもウクレレの教則本に載っていそうなハワイアン・ソングの定番曲ばかりが選ばれた。伴奏もベースとギターを中心としたやさしくシンプルな構成に抑えられており、曲によってパーカッションやキーボードが加わって『リラックスできてリスニングに良し』、『ウクレレのお手本にもまた良し』、といった趣向のアルバムになっている。

1.Little Grass Shack
2.Malia My Tita
3.Honolulu
4.Sweet Someone
5.Where Is My Love Tonight
6.Makin' Love Ukulele Style
7.The Hukilau Song
8.On A Little Bamboo Bridge
9.South Sea Island Magic
10.Sophisticated Hula

メンバーはギターが盟友ナンドー・スアン、ベースがジャズ・ウクレレの名手でもあるライル・リッツ、キーボードがこちらもPoki Recordsなどでの諸作でも70年代からお馴染みPaul Markほか、同じくキーボードでPierre Grillといった手堅いメンバーが集められている。

日本では先に紹介したハワイ盤「デジャ・ヴ」と同じく、ラッツパック・レコードが「レイ・レコード」というレーベル(シリーズ?)で帯と解説書を付け、「ウクレレ・ラヴ」という邦題タイトルで輸入販売していた。この93年あたりからオータサンの新録音源が日本の店頭でも並び始めた時期だったようで、CD世代の音楽ファンにオータサンという大ベテランを新たに紹介しよう、という各社の意図もあっただろう。

こうした業界の動きを受け、この翌年あたりからは本格的に国内大手のレコード会社がオータサン獲得と新録制作に着手。94年~95年フォーライフ、95年~96年アルファを経て、97年にはビクターに復帰(ビクターは60年代初期、世界で最も早くオータサンを録音し発表した古巣)。これら90年代の諸作は、まだ各社ともオータサンというベテランを今の時代にどう売ろうか試行錯誤中という印象の作品も一部あり、毎アルバムごとに異なる音楽スタイルが楽しめ、たくさんあるが飽きることがない。

こちらは日本語の帯も解説も付いてない普通のハワイ盤。

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