M&H Hawaiiからの93年リリース。
このM&Hというレーベルは地元ハワイにおけるオータサンのマネジメント会社による制作で、所謂自主制作盤に近いものと思われる。古いものだと80年代のアナログ・レコード時代から既にオータサン作品の音盤が確認できるが、CDの時代に入って以降は、ハワイ制作によるオータサン作品の大部分を担うレーベルとなってゆく。
本作でのオータサンは、シンセ、サックスとフリューゲルホーンのホーン・セクション、チョッパーベースやシンセベース等をフィーチャーしたエレクトリック・バンドによるスムース・ジャズ調サウンドに挑戦している。イントロだけ聴いていると、おやっケニーGか?と思わせるような曲もチラホラ(それでタイトルが「デジャブ」という事ではないだろうが)・・・。もちろん、曲が始まれば主役はオータサンによるウクレレ演奏である。
プロデュースはオータサン自身で、エグゼクティブ・プロデューサーはオータサンのマネージャー(ミチコ・ウラタ)がクレジット。録音はホノルルのRendez-Vous Rec, Inc.。
収録曲は以下
1.Wind Beneath My Wing
2.Love Won't Go Away
3.Watermelon Man
4.Feeling Like It Lately
5.Magical Magazine Madness (vocals/Andrea Lee Young)
6.Jami
7.Deja Vu
8.L.A. (vocals/Andrea Lee Young)
9.Ponteio
10.That's What Friends Are For
2.Love Won't Go Away
3.Watermelon Man
4.Feeling Like It Lately
5.Magical Magazine Madness (vocals/Andrea Lee Young)
6.Jami
7.Deja Vu
8.L.A. (vocals/Andrea Lee Young)
9.Ponteio
10.That's What Friends Are For
3. はハービ・ハンコック原曲。タイトル曲7.はアイザック・ヘイズ作でディオンヌ・ワーウイックが歌った79年のヒット。9.は71年CTIでのアストラッド・ジルベルトとスタンリー・タレンタインの共演盤でも有名なブラジル音楽。ラストを飾るバラード10.はスティービー・ワンダー、エルトン・ジョン、ディオンヌ・ワーウイック、グラディス・ナイトの4人が歌い、MTV旋風に乗って82年にヒットした「愛のハーモニー」。オータサンはアルバム全体の半分に相当する5曲(2,4,5,6,8)を自ら作曲している。
メンバーは以下
Herb Ohta: `ukulele
David Choy: saxophone
Tony Flores: percussion
Mike Lewis: fluegel horn
Pierre Grill: keyborads
Andrea Lee Young: vocals (on 05, 08)
David Choy: saxophone
Tony Flores: percussion
Mike Lewis: fluegel horn
Pierre Grill: keyborads
Andrea Lee Young: vocals (on 05, 08)
毎年実施されるオータサンの日本ツアー会場でこうしたCDを購入すると、終演後にオータサンからサインを頂くことができるほか、ハワイに行くと現地のCDショップや大型書店等でも売られていた。アーチストがCDを自主制作してコンサート会場でグッズとして自ら販売する手法は、今や日本国内でも多くのプロ・ミュージシャンが採用しているが、CD業界の衰退がアメリカでは早くから急速に進行したため、オータサンもハワイにおいては90年代から一早くこうした手法を取り入れたのだろう。
こうして毎年夏近くになると、コンサート・ツアーにあわせてハワイ側では新作CDが準備されるようになってゆく一方で、日本ではウクレレ復権やハワイ人気により大手レコード業界各社から新作CDのリリースが逆に増加したため、90年代以降2000年代にかけて発表されるオータサンの新作CDアルバム総数は驚くべき増殖の一途をたどってゆくのだ。