先日のブログの続きでございます。
パナソニック汐留美術館「つながる琳派スピリット 神坂雪佳」も観ましたのじゃ。
https://panasonic.co.jp/ew/museum/exhibition/22/221029/
神坂雪佳、好きなのでございます。
細見美術館の監修で、雪佳の絵画・図案集・工芸品を中心に、本阿弥光悦、尾形光琳など琳派の作品も合わせ、約80点の展示。(一部展示替えあり。11月29日までは前期)
構成は以下の通り。お気に入りや気になった作品もリスト順に。
【1:あこがれの琳派】
雪佳は、琳派作品を収集し、研究しておったのじゃ。
細見美術館所蔵の琳派作品と、雪佳が所蔵していた琳派作品も展示。
[琳派誕生、そして開花]
・俵屋宗達《双犬図》江戸前期
じゃれ合う白と黒の仔犬の水墨画。黒犬が猫チックで可愛い。
・尾形乾山《唐子図筆筒》江戸中期
白化粧地に赤絵チックな唐子と花唐草。
[光琳を継ぐもの]
・中村芳中《白梅小禽図屛風》江戸後期
白梅の枝にとまる鳥、白い頭に黒目、黒い体。真っ赤なクチバシを開けた、すっとぼけ顔もたいそうツボ。
・中村芳中《枝豆露草図屛風》江戸後期
雪佳が所蔵していた作品。滲みの効果が綺麗で、螺鈿に使われる貝殻のよう。
・中村芳中《月に萩鹿図》江戸後期
薄墨の淡い色彩、満月の下で口を開けた鹿が、ゆるキャラめいて和みまする。
・中村芳中『光琳画譜』享和2年刊
左ページに、いらっしゃいませポーズの仔犬。右ページに、白い仔犬を枕に眠る黒い仔犬。
・酒井抱一《桜に小禽図》江戸後期
たらしこみの幹から垂れ下がる細い枝に桜の花。背中の青い鳥が可愛い。
・酒井抱一《鹿楓図団扇》江戸後期
金色の団扇。ほっそりした脚を片方上げて振り向く鹿。
【Ⅱ:美しい図案集―図案家・雪佳の著作】
雪佳が発表した主な図案集(デザインの素材集)を紹介。
・神坂雪佳『蝶千種』明治37年刊
左には輪郭に単色で彩色の蝶が13頭。右には模様もしっかり描かれた蝶が3頭。
・神坂雪佳『百々世草』 原画 明治42年頃
原画7点。《ももよ草》の緻密な線と構図がツボ。
・神坂雪佳『百々世草』
3冊で60図が収められた図案集。
本展のメインビジュアル《狗児》は、雪佳と聞いて真っ先に思い浮かべる作品のひとつ。
カタツムリをガン見する白い仔犬も、後ろからこちらを見る茶色の仔犬もたいそう可愛く、輪郭線もツボ。
・参考出品『エルメスの世界』2001年春夏号
『百々世草』から《八つ椿》がエルメスの表紙に採用。青い花と緑の葉に黄色の文字、洒落ておる。
【Ⅲ:生活を彩る―雪佳デザインの広がり】
雪佳は染織、漆器、陶磁器だけでなく、室内装飾や造園に至るまでデザインしましたのじゃ。
工芸品大好きゆえ、色々観られて嬉しゅうござります。
・神坂雪佳《天平美人図壁掛》大正末期
223×228㎝という大きさ。2人の女性の衣装の模様や、周囲の花々も緻密で綺麗。
・神坂雪佳 図案《秋の野図卓》明治44年
黒漆地の長方形の卓、側面の前面にのみ金蒔絵と螺鈿で描かれているのがシンプルで素敵。
秋の野の鹿が、草に見え隠れするの図。
・神坂雪佳《鹿図蒔絵手元簞笥下図》大正末~昭和初期
・神坂雪佳 図案/神坂祐吉 作《鹿図蒔絵手元簞笥》大正末~昭和初期
下絵と手元簞笥を一緒に展示。
黒漆地の前面の鹿は、角だけ螺鈿で体が鉛なのが意外。
・神坂雪佳 図案/河村蜻山 作《雪庵菓子皿》明治末~大正初期
丸みのある三角形。雪を被った庵で頬杖をつくおっさ・・・いえ、男性が面白過ぎ。
・神坂雪佳 図案/五代 清水六兵衞 作《波の図赤楽茶碗》大正期
美しいサーモンピンクとグレーの地に白い波、お気に入り茶碗じゃ。これでお茶を頂きたい。
【Ⅳ:琳派を描く―雪佳の絵画作品】
雪佳の代表的絵画作品の展示。
・神坂雪佳《金魚玉図》明治末期
雪佳と聞いて真っ先に思い出す作品のうちのひとつ。
丸いガラス容器の中、正面を向いたたらし込みの金魚の顔と姿がインパクトありあり。
・神坂雪佳《杜若図屛風》大正末~昭和初期
光琳のオマージュ的作品で、光琳よりかなりシンプルじゃが雪佳らしい感じ。
・神坂雪佳《十二ヶ月草花図》大正末~昭和初期
12ヶ月の草花。特に「一月 白梅」「五月 牡丹」「七月 水葵」「十一月 蔦に嫁菜」がお気に入り。
・神坂雪佳《白梅図》大正末~昭和初期
たらし込みの太い幹と、細い枝の構図が素敵。
・神坂雪佳《白鳳図》 昭和2年頃
たいそうお気に入り作品。アール・ヌーヴォーの貴婦人チックな美しい白鳳が、白菊の咲く岩の上で振り返るの図。
最後のお写真撮影コーナーでは、雪佳作品のスライドが流れておりまする。
観応えありありで楽しゅうござりました。
これは今年の「ウェネト的ツボな展覧会ベスト10」に入るやも知れぬ。
会期は12月18日までじゃが、最初に書いた通り、前期は11月29日まで。
12月1日からの後期も観に行く所存にござります。
細見美術館にもいつか行ってみたいものよのぅ。
併設のルオー・ギャラリーでは「ルオーと人物像」開催中。
新収蔵作品含め10点展示されておりました。
こちらの会期も12月18日まで。
ちなみにパナソニック汐留美術館は、12月19日から改修工事で休館するそうな。
リニューアルオープンは、2023年4月8日だそうでございます。