デザートはラ・フランスのコンポート。十数年前製本教室へ入れて頂き、先生とは不思議な出会いでした。越境入学の私、殆どが熱海にお住まいの方々の中へ入れて頂き、大切なお友達となりました。スパークリング・ワインとロゼをオーダーしたが飲み放題のメニュー、レベルが下がるのかなあ。
焚き合わせは海老芋白煮、蟹寄せ団子、鍋物は天城しゃものつみれ、静岡美味い鶏、きりたんぽそして天婦羅です。鍋物の天城しゃものつみれが特に美味しかった。あぶらの味が一段と美味しく、つみれでも口の中で存在がはっきり解る。普通の鶏とは違う。当然お汁が”美味い鶏”としゃもから十分だしがでているので美味しい。静岡の美味い鶏って静岡の何処でしょう。天城しゃもも初めてお目にかかった。地産地消です。
仲間のお一人の知人のホテルで製本教室の忘年会を初めて開いた。”季節の懐石料理昼湯膳コース”。まず前菜でしょう”楽盛り”と言って二十種ぐらいの一口にもならない程のちょっぴりが綺麗に盛られている。献立表を見なければ解らないものもあった。少なすぎてね。
坊や二人を連れて一家で三ヶ月、日本中を食べ歩いた英国人フード・ジャーナリストの話です。日本の精神的文化を日本料理の中に理解出来る、こんなイギリス人もいるんだと驚いた。辻静雄の日本料理の本を読んで”哲学の本”と納得しその観点から食べ歩く…ですから普通の食べ歩きの話とは少し違い表現が文学的で感心する。まず「デパ地下は欧米人の想像を遥かに越えた出来合いの料理が数限りなくある驚くべき所」と書いている(田舎者の私もいつも驚く)。子供たちは炭火の煙の中で櫛に刺さった鶏の内臓を嬉しそうに食べるし、天ぷらは大好物となり夢じゃないかと彼は幸せになった。ラーメン、クジラの刺身、生タラバ、京都の鯖鮨、道頓堀のお好み焼き、精進料理、はては一流の懐石料理まで食べまくる。「日本のお酒もビールも美味しい、ワインは僕が飲んでみたからみんなは飲まなくてもいい」とやんわり…思わず笑ってしまう。昆布を水に浸けてとった出汁に「繊細で禅らしい清涼感があり海の味わいがしてうまい」と感じるのだから彼の味蕾は凄い。著者の温かい人柄と”上手い翻訳”美味しい楽しい癒される読み物だった。原題の"Sushi and Beyond"は含蓄があり、日本のフードを食べてみた向こうにあるものは?…これがマイケルの言いたい事ですね。