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アカエイの淡水進出を可能にする腎機能の解明 -なぜエイ類にはサメ類よりも汽水域や淡水域に生息する種が多いのか?-

2022-08-12 22:20:15 | 理工農系
東京大学と岡山大学の共同研究成果プレスリリースです
 
 
2022(令和4)年 8月 10日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
 



<発表のポイント>
  • 海水と淡水の両環境に適応可能なアカエイが、淡水環境において腎臓での溶質の再吸収を亢進するメカニズムを遺伝子レベルで初めて解析しました。
  • 板鰓類(サメ類・エイ類)の中でも、エイ類のアカエイは、サメ類であるオオメジロザメとは異なるメカニズムで淡水環境に適応していることがわかりました。
  • 本研究成果は、板鰓類における広塩性の進化と、広塩性種の生活史の理解に繋がる重要な基礎的知見を提供し、希少な広塩性板鰓類の生活史研究や保全の推進にも貢献することが期待されます。


◆概 要
 東京大学大気海洋研究所と国立遺伝学研究所、理化学研究所、岡山大学の共同研究グループは、アカエイの淡水進出を可能にする腎臓の機能を初めて明らかにしました。

 板鰓類(エイ類・サメ類)は、ほとんどが海水にのみ生息する種ですが、例外的に河川などの淡水環境にも適応できる能力(広塩性)を持つ種が存在します。これまでの先行研究によって、広塩性のサメ類であるオオメジロザメでは、腎臓のネフロンの特定分節で発現する膜輸送体の遺伝子が淡水適応に重要であることが示唆されていましたが、このメカニズムがすべての広塩性板鰓類に共通かは不明でした。

 本研究では、淡水に移行したアカエイの血液・尿の組成と、腎臓での遺伝子発現を詳細に解析することで、オオメジロザメとは異なるネフロンの分節が、淡水中での溶質再吸収亢進に大きく貢献することを明らかにしました。

 本研究の成果は、板鰓類における広塩性の機能発達と獲得起源についての進化的洞察を提供するもので、希少な広塩性板鰓類の生活史研究や保全の推進にも貢献することが期待されます。

 本研究成果は、2022年8月9日(英国夏時間)に「Frontiers in Physiology」のオンライン版に掲載されました。
 

本研究で用いたアカエイ(Hemitrygon akajei)。日本を含む東アジアに広く分布する。
 

淡水移行に伴うアカエイの体液(尿・血液)組成の変化。尿中濃度と血中濃度の比をとることで、正規化を行っている。淡水移行したアカエイでは、腎臓での溶質再吸収が亢進するため、尿中の浸透圧と塩分(Na+およびCl-濃度)が低下し、結果として尿中濃度と血中濃度の比が小さな値になる。
 

アカエイの海水及び淡水移行個体の腎臓でのNKCC2とNKAの遺伝子局在解析。それぞれの遺伝子が発現する分節は、その発現量に応じて紫~青色の発色を呈する。矢じりで示す遠位尿細管前部(EDT)では、淡水環境下で両遺伝子の発現量が上昇し、海水個体よりも強い発色を呈する。スケールバーは50 μmを表す。


◆論文情報
 雑  誌  名:Frontiers in Physiology(2022年8月9日付)
 タイトル:Molecular and morphological investigations on the renal mechanisms enabling euryhalinity of red stingray Hemitrygon akajei
 著  者:Naotaka Aburatani*, Wataru Takagi*, Marty Kwok-Shing Wong, Shigehiro Kuraku, Chiharu Tanegashima, Mitsutaka Kadota, Kazuhiro Saito, Waichiro Godo, Tatsuya Sakamoto, Susumu Hyodo
 D  O  I:10.3389/fphys.2022.953665
 U  R  L:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fphys.2022.953665/abstract


◆研究資金
 本研究は科研費「川を遡上するオオメジロザメの広塩性に関する生理生態学的研究(17H03868)」「軟骨魚類研究への逆遺伝学的解析の導入(19K22414)」「軟骨魚類の広塩性メカニズムの解明:「海水魚」がなぜ低塩分環境に適応できるのか(21J20882)」の支援により実施されました。


◆発表者
 油谷 直孝(東京大学大学院理学系研究科 博士課程)
 高木 亙(東京大学大気海洋研究所 助教)
 齊藤 和裕(岡山大学理学部附属牛窓臨海実験所 技術専門職員)
 坂本 竜哉(岡山大学学術研究院自然科学学域/岡山大学理学部附属牛窓臨海実験所 教授)
 工樂 樹洋(国立遺伝学研究所 教授)
 兵藤 晋(東京大学大気海洋研究所 教授)


◆詳しいプレスリリースについて
 アカエイの淡水進出を可能にする腎機能の解明-なぜエイ類にはサメ類よりも汽水域や淡水域に生息する種が多いのか?-
 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r4/press20220809-1.pdf


◆参 考
・東京大学大気海洋研究所
 https://www.aori.u-tokyo.ac.jp/
・岡山大学理学部附属牛窓臨海実験所
 https://www.science.okayama-u.ac.jp/~rinkai/
・国立遺伝学研究所
 https://www.nig.ac.jp
 



◆本件お問い合わせ先
<研究に関して>
 東京大学大気海洋研究所 海洋生命システム研究系海洋生命科学部門
 助教 高木 亙(たかぎ わたる)

 東京大学大気海洋研究所 海洋生命システム研究系海洋生命科学部門
 教授 兵藤 晋(ひょうどう すすむ)

<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

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国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています

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【岡山大学】岡山大学・米国務省「重要言語奨学金(CLS)プログラム」 夏期オンラインコース閉講式を挙行しました

2022-08-12 22:18:33 | 学生

2022(令和4)年 8月 10日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
 



◆概 要
 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区津島中、学長:槇野博史)は、全米から選抜された23人の大学生・大学院生を対象に実施した日本語と日本文化を集中的に学ぶ米国務省「重要言語奨学金(CLS)プログラム」夏期オンラインコース(6月14日~8月6日)の終了にあたり、2022年8月6日に閉講式を挙行しました。

 閉講式は、本学及びプログラム関係者と参加学生をテレビ会議システムでつなげて実施。横井篤文上席副学長からビデオメッセージで開会のあいさつがあった後、槇野博史学長から、体験することの重要性について、「無可無不可(かもなくふかもなし)」という禅語を引用して、この言葉がもともとは「物事の良し悪しを最初から決めつけないで実践せよ」という意味であるという話があり、「CLS奨学生のみなさんも、是非、何事も自分の目で見て、体験していただきたい。そうすると新たな出会いと繋がり、発見、気づきが生まれると信じています。みなさんの輝かしいご成功とご活躍をお祈りしています。」と式辞がありました。
 

槇野学長の式辞

槇野学長の式辞

 

CLS学生代表としてあいさつをするローレンさん

CLS学生代表としてあいさつをするローレンさん


 その後、CLS学生代表のLauren Gatewoodさんから、さまざまな年齢や多様な背景を持つ人々と毎日関わることにより、日本語能力の上達だけでなく、相手の観点から日本の文化を解釈することもできるようになったとの話がありました。そして、「SDGsや文化活動に関しては、アメリカの日常生活では経験できないことを体験することができました。このプログラムに参加するまで、SDGsについてほとんど何もわかっていませんでしたが、環境や社会問題をSDGsの視点から勉強し、自分の世界観が広がったと感じます」と岡山大学のCLS日本語プログラムを通して多くの学びがあったことが述べられました。

 続いて、本学プログラム関係者(担当教員、ランゲージパートナー、学習サポーター)のあいさつ及びアメリカン・カウンシルズのCLS日本プログラムオフィサーのSydney Sparrow氏から本学関係者への謝辞があり、その後、8週間のプログラムの活動の様子を記録したサプライズビデオを全員で鑑賞し、楽しかった思い出を振り返りました。

 最後に舟橋理事(教学担当)からのあいさつで8週間のプログラムを終了しました。
 

記念撮影

記念撮影



◆米国務省重要言語奨学金 (CLS)プログラムとは
 国家安全保障や経済発展の観点から重要な役割を果たす、ロシア語や中国語など世界15言語の人材養成を目的に、米国務省が実施しています。国内では2010年に受け入れがスタートし、同プログラムは国際教育・交流を専門とする米非営利団体American Councils for International Education(アメリカン・カウンシルズ)によって運営されています。
・岡山大学・米国務省「重要言語奨学金(CLS)プログラム」歓迎式典を挙行(2019年6月20日)
 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/topix/topix_id507.html
・米国務省「重要言語奨学金(CLS)プログラム」の留学生らが松琴寺、犬島を訪問(2019年7月11日)
 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8627.html
・岡山大学・米国務省「重要言語奨学金(CLS)プログラム」秋期オンラインコース開講式を挙行(2020年10月5日)
 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id9679.html
・岡山大学・米国務省「重要言語奨学金(CLS)プログラム」秋期オンラインコース閉講式を挙行(2020年11月25日)
 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id9812.html
・CLS第一期生・フルブライト奨学生のデイビッド・アンダーソンさんが来学
 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/topix/topix_id610.html
・【岡山大学】岡山大学・米国務省「重要言語奨学金(CLS)プログラム」 夏期オンラインコース開講式を挙行しました
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000127.000072793.html
・【岡山大学】岡山大学・米国務省「重要言語奨学金(CLS)プログラム」夏期オンラインコース閉講式を挙行しました
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000231.000072793.html
・【岡山大学】岡山大学環境理工学部「水域環境管理学」講義と米国務省「重要言語奨学金(CLS)プログラム」夏期オンラインコースが合同授業を実施しました
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000173.000072793.html
・【岡山大学】岡山大学・米国務省「重要言語奨学金(CLS)プログラム」 夏期オンラインコース開講式を挙行しました
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000725.000072793.html


◆参考情報
・全学でのSDGsの取り組みを国連本部で発表:槇野学長ら、閣僚級のハイレベルフォーラム参加
 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8668.html
・槇野学長らがミシガン大学を訪問 「ミシガン大学Okayama Field Station」70周年(2020年)に向けての連携強化へ
 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8156.html
・【岡山大学】在大阪・神戸米国総領事館リチャード・メイ総領事らが来学されました
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000436.000072793.html

 

岡山大学津島キャンパス(岡山市北区)

岡山大学津島キャンパス(岡山市北区)



◆本件お問い合わせ先
 岡山大学 グローバル人材育成院/国際部留学交流課
 TEL:086-251-7079
 http://global.okayama-u.ac.jp/
 https://intl.okayama-u.ac.jp/

 岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
 岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
 岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
 岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
 「岡大TV」(YouTube):https://www.youtube.com/channel/UCi4hPHf_jZ1FXqJfsacUqaw
 産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2022年8月期共創活動パートナー募集中:
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000794.000072793.html

 岡山大学『THEインパクトランキング2021』総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
 岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html
 岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html

国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています

国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています

 

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000812.000072793.html


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