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お好み夜話-Ver2

FLY ME TO THE MOON

1969年の7月21日、昭和の良い子は「大腸カタル」でウンウン唸って寝込んでいた。

すると居間から大人たちのざわめく声が聞こえてきて、そうだ今日はアポロの日だと思い出すが、腹が痛くてそれどころではなく、トイレに立ったついでに「うるさい‼️」と怒鳴って居間の襖をパシンと閉めた。

昭和の我が家はドアなどという音をシャットアウトするようなものはなかったので、襖と障子をしっかり閉して布団を引っかぶり汗をダラダラかいて唸った。

アポロ11号の月着陸を見たくて見たくてしょうがなかったが、目を開けていることも辛かったから布団に丸くなって耐えていたのだ。

 

今から55年も前に人間が月に降り立ったことは夢のようだが、現代の技術をもってしても、巨額の費用をかけてもそれを再現することは容易ではないというから、まさに奇跡の出来事だったのだ。

月に降り立ったアームストロング船長とオルドリン飛行士の姿がテレビ中継され全世界の人々が釘付けになり、宇宙時代の幕開けを夢みて興奮したものだ。

しかしその反面、それがフェイクだと主張する人々も現れた。

「スチュアート・チョイス」の

『信じる者には、証拠というものは不必要なものである』

という言葉どおりに、地球は球ではなく聖書にあるとおり平らであると主張する「地球平面協会」というキリスト教根本主義の一派が月着陸はNASAの捏造だと弾劾したことをはじめ、フェイク・ドキュメンタリーの「Alternative 3」(第3の選択)を信じてしまったり、1977年に公開された「カプリコン・1」のようなことがあったんじゃないかと思ってしまう人などなど・・・。

 

 「矢追純一」のUFOシリーズが好きで、オカルト雑誌「ムー」を読んでいた昭和の良い子も、ついうっかりそんなフェイクや陰謀論に感化されかけた。

 

だから、今さらながらに『人類初の(月面着陸)の裏で起きていた(奇想天外な極秘プロジェクト)』を描いた「FLY ME TO THE MOON」はぜったい観ちゃう映画だった。


それに出演作はほぼ全作観ているだろう「スカーレット・ブラック・ヨハンソン・ウィドウ」が出ているのだからなおさらだ。
 
けれどこの映画は「カプリコン・1」のようなアクション・サスペンス映画ではなく、宇宙計画に愛あるウイットに溢れたコメディなのだ。

「スタンリー・キューブリック」がフェイク映像を監督したという陰謀論者の定番説の1つも笑いに変えて、敵をバッタバッタと倒していた「スカーレット・ブラック・ヨハンソン・ウィドウ」はマリリンのように尻をフリフリ「女」を武器にして難局を乗りりきってゆく。

そして「偽の月面着陸を描く」この映画に、NASAがたくさんの未公開映像を提供したこともすごいし、「サターンV型ロケット」が轟音とともに飛び上がる迫力のシーンをスクリーンで観られたことも、単純に嬉しい。

だから昭和の良い子の時にプラモデルで作った「司令船コロンビア」や「月着陸船イーグル」をあらためて観て、また組み立ててみたいと思ってしまったり、「オメガ スピードマスター」もカッコよくて欲しかったけど手が出なかったなぁなどと思い出した。

 

「スカーレット・ブラック・ヨハンソン・ウィドウ」の宇宙もの❓というと前作の「アステロイド・シティ」を思い浮かべてしまうが、ちょっとマリリンみたいなところはあってもこちらは嘘つきで詐欺師ながらも有能なプロデューサーで、やっぱり魅力的だ。

月面に下り立ったオルドリン飛行士は、そこにウサギでも月面人でもなくネコを目にすることになる。

そうこの映画でもまたネコが、「不吉な」黒猫がいい味出してます、ハリウッドのネコは上手い👏

 

映画を観終わったあとはタイトルの「FLY ME TO THE MOON」がちゃんと聴きたくなってしまうが、多くのシンガーが歌っているこの名曲を、ウイスキーかワイン片手には「フランク・シナトラ」か「ナット・キング・コール」」、たまには「松田聖子」や「宇多田ヒカル」も良いかもね。

「ひとりの人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ」

けだし名言。


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