お好み夜話-Ver2

アトムの正体

3ヶ月ぶりに車を運転した。

前回運転したのは、まだばあさんが入院する前、墓参りに連れて行った時で、それからまったく車を必要とする用がなかった。

仕入れには、バイクか自転車か自らの足を使うことで用が足り、どこかへ遊びに行くなんてこともなく、すっかり駐車場でホコリをかぶっていた。

こんなに車に乗らないと、保険も車検も無駄な気がするが、しかしまだ時々病院車としての役目があるのだ。


そのお役目が、定休日の今日だった。

2ヶ月ちょっと入院していたばあさんが、退院することになり、というか、今の医療制度では退院せざるを得なくなり、デイサービスやショートステイにかわる施設を探していたのだが、ようやく見つかったので、その施設を見学に行くために車の出動と相成った。

老人介護施設というのは、なんだかよくわからないことが多く、それでも何度も説明を聞いて、ばあさんに合う施設というのが今のところ「小規模多機能型居宅介護」というものしか選択肢がないということがわかった。


それは何かというと、

「小規模多機能型居宅介護とは、平成18年4月の介護保険制度改正により創設された、地域密着型サービスのひとつで、介護が必要となった高齢者(主に認知症高齢者)が、今までの人間関係や生活環境をできるだけ維持できるよう、「通い」を中心に「訪問」「泊まり」の3つのサービス形態が一体となり、24時間切れ間なくサービスを提供できるのがその大きな特徴」

という施設らしい。

2ヶ月あまりの入院生活で、最近ようやく話しがハッキリしだして、リハビリにも意欲的になってきたので、あとはばあさんの適応力と施設のスタッフの方を信じてお願いするしかない。


施設を見学してその報告をばあさんにすると、納得したのだが、話の途中に

「またアトムが来たんだよ」

という謎の言葉が入った。

この「アトム」がなんだかわからない

これまでにも何度か話の最中に登場していた「アトム」は、ばあさん的には怖いから嫌いなんだそうな。

そんなダークな「アトム」を手塚治虫が描いたことはないと思うが、ばあさんの「アトム」はただやって来て、じっと見ているだけのようなのだ。

いったい「アトム」ってなんなのだろう

病院のスタッフの中に、「アトム」チックな髪型をしたお兄さんがいるのかと見渡してしまう。

まあなんだかわからないけれど、退院して新しいところへ行けば、もう「アトム」は来ないんじゃない。

そう言うと、

「そうだね」

とばあさんが頷いた。

でもその瞬間、オヤジの脳裏に浮かんだ。

今度行くところに「鉄人」がいたらどうなるんだろうか、と

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