お好み夜話-Ver2

三途の川も銭しだい

我が家は一応浄土真宗で、実家の仏壇や位牌はそれに則っているわけで、定期的に坊さんもやって来てはお布施を持ってっちまっていたのだが、しばらく前にばあさんがその坊さんを断わり、自分が死んだら葬式も戒名も坊主のお経もいらないと常づね言っていたから、今回のお別れ会になったのだ。

12年前に逝ったじいさんの場合は、病院で息を引きとったのち霊安室で家族だけで別れを済ませ、そのまま焼き場へ直行して骨にして、その足で霊園へ行き墓に入れてしまった。

息子たちの意見などまったくきかず、ばあさんの独断でたった1日で済ませてしまった。

しかし今回はそんなに簡単に済ませられない事情もあり、かといって坊主やお経はノー・サンキュウだし、葬儀屋さんとの兼ね合いもあって、ああなった。

まあいざとなったら、誰も頭が回らなかったということだ。


しかしそれにしても、日本の葬儀はヘンな風習ばかりだ。

施設からばあさんの亡骸が家に戻ってベッドに寝かせたとき、葬儀屋さんが祭壇を設け布団の上に小刀を置いた。

何のためか 初めての喪主はそれまで気にもしなかったことを調べた。

これは「守り刀」といって、死者が武士の場合に枕元に刀を置いた名残であるとか、魔除けや死霊に対する鎮魂のため、死者の魂が持ち去られることを防ぐため、死霊を封じ込めるため、などの様々な言い伝えがある、ということだ。

でも、浄土真宗系ではやらないそうな


それから、かあちゃんがご飯茶碗にメシを山盛りにして箸を2本差して祭壇に置いた。

これは何かと聞くと、陰膳だと答えたが、にわか喪主はちょっと府に落ちなくて調べたら、陰膳とは旅人の安全祈願のためもので、葬儀の風習とは違った。

正しくは「一膳飯」とか「枕飯」というんだそうな。

これを死後すぐに供えるのは、食べ物の魅力で死者を生き返らせたいという願いがあるんだって

う~ん、白飯だけで生き返るんなら、鰻なんか供えたら飛び起きるかもしれん。

しかしこれも、浄土真宗では不用らしい


それもこれも葬儀屋さんのサービスかと思えばさにあらず、しっかり料金の内であります。

それに、坊主もお経もなく、会の間のBGMはこれもばあさんのリクエストで、唱歌や童謡を流していたのだけれど、ちょっと焼香はヘンだったよね。

とっさにいい案が思い付かなかったせいだ


気にしていたのは香典返しの数や、親族に振るまう食事の数などだ。

だいたい多めに頼むものだけれど、1人でいくつも持ってっちゃう人がいたり、飲み食いだけして帰っちゃう輩もいたりして、足りなくなっちゃうこともあるので気をつかう。

まあ現に喪主とかあちゃんの分は、無くなっちゃったんだけど


そんなこんなで出棺、焼き場へGO

事前に葬儀屋さんから5千円札を数枚用意しとくようにと言われたが、これは霊柩車の運転手、焼き場の係りの人、ご案内の人らに5千円づつ包むためだ。

葬儀屋さんが渡すと、1人づつ喪主にお礼の挨拶をしてくれるのだ。

値切ったり渡さなかったら、いったいどうなるんだろう

回り道してなかなか焼き場に着かなかったり、レアな焼き上がりだったり、移動の案内がいっさい無かったり・・・・。

三途の川を渡るのにも銭、銭、ゼニ、なんて、まったくヘンな風習だ。


ばあさんがこのヘンな風習を嫌ったのが、今は解る。

もしオヤジにその時がきたら、もうなんにもしないで貰いたい。

じいさんの時と同じくとっとと焼いて、きれいに灰にしてもらい墓には入れずに、まあその辺の海とか山にてきとうに蒔いてもらえればいい。

しかしたった一つ望みがあるとすれば、末期の水には冷えた生ビールを

自分で飲めない場合は、素敵な女子に口移しでお願い。

聞いてますか~、添削好きなお姉さんたち

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コメント一覧

受付嬢
なかなか素敵なお別れ会でしたと思いますわよ。
でも、消えないお線香は必要だね。喪主がもう若くなかったからねー
それと口移しはきっと(未来の)旦那様がNGだから無理かな。点滴に混ぜとくね(*'▽'*)b
投げ子
おっけーおっけー☆!!
ネクターをバケツでね~(´U`人)
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